「吉澤野球博物館」の貴重な史料、14億円相当を船橋市に寄付

 ■東京六大学やイチロー、松井秀喜…

 野球ファンに惜しまれながら休館した吉澤野球博物館(船橋市本中山)は20日、所蔵する戦前の東京六大学野球の貴重な史料など約4300点と、同所の土地(約630平方メートル)、建物の計14億円相当を船橋市に寄付した。市は来春にも市民ギャラリー(同市本町)で企画展を開く計画だ。

 市職員研修所(同市湊町)で同日、博物館の海保(かいほ)睦子代表理事が「地域のスポーツ文化のために役立ててください」と松戸徹市長に目録を手渡した。松戸市長は「史料に新しい命を吹き込んで子供たちの世代に伝えていきたい」と語った。

 博物館は昭和54年、小学生の頃から東京六大学野球を観戦していたというファン・吉澤善吉さんが私財を投じて開館した。

 「黄金時代」といわれる昭和初期に活躍した選手たちの写真やサインボール、伝説の沢村栄治投手の旅券、先の大戦で戦地に赴く選手に贈られた寄せ書き入りの日章旗など歴史を物語る史料、さらにイチロー選手のバットや松井秀喜選手のスパイクなどを収集し、展示した。野球以外の展示物だったルノワールや梅原龍三郎、竹久夢二らの絵画、北大路魯山人(ろさんじん)らの陶磁器も価値が高いという。

 同博物館は35年間にわたって全国の野球ファンに親しまれてきたが、昨年休館した。かつて慶応大野球部やプロ野球で活躍した船橋市スポーツ総合展示企画アドバイザー、江藤省三さんは「東京六大学は日本の野球の原点。手袋のようなグローブや重いバット、名選手のサインボール、入場券など貴重な史料を展示したい」と笑顔で語った。

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