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仙台駅前再開発にドンキ名乗り 3年手つかずにようやくメド

 JR仙台駅前の超一等地にもかかわらず、3年もの間手つかずとなっていた「さくら野百貨店仙台店」跡地の再開発に、ディスカウント店ドン・キホーテの運営会社が名乗りを上げた。開発の遅れは、百貨店閉店後の破産手続きが長引いたため。仙台市も中心地で目立つ廃ビルに頭を抱えていただけに、担当者は「ほっとした」と漏らす。

 仙台駅西口につながり、多くの人々が行き交う青葉通。仙台を代表する大通りに面した約5500平方メートルの土地に、8階建てビルがそびえる。色あせたピンク色の壁とさびたシャッター。にぎやかな周囲とは対照的な姿に、市の担当者は「ますます廃虚感が出てきた」と苦笑いする。

 さくら野百貨店仙台店の運営会社は2017年2月、約31億円の負債を抱えて破産した。同店前の20年公示地価は、東北の商業地トップとなる1平方メートル当たり402万円。にもかかわらず、地権者への未払い賃料や原状回復費用などをめぐって争いがあり、再開発は進まなかった。

 ようやく訴訟や調停が片付いた昨年3月から、匿名組合が出資する地権者の「さくら野DEPT仙台合同会社」が開発業者探しに着手。ドン・キホーテを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京)が手を挙げた。

 同社は跡地の土地と建物の約8割を取得。郡和子市長は「大手のデベロッパーが来ると思っていた」と驚きながらも「魅力ある開発になるよう精いっぱい支えたい」と歓迎する。

 構想では、現在の建物を取り壊し、下層階に商業施設が入る高さ最大150メートルのホテル棟とオフィス棟を建設する。市も建物の容積率の緩和で後押しする考え。実現すれば、新たなランドマークとなりそうだ。24年度に着工、27年度の完成を目指している。

 巨大事業だけに、市の担当者は残り2割を所有する5地権者との調整に「1~2年かかる」と予想する。同社は今後、地権者と市を交えた勉強会を月1回ほど重ねていく考えだ。同社の広報担当者は「駅前の一等地で可能性のある場所。より良い街づくりにつなげていきたい」としている。

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