領事館を閉鎖、支払いは茶葉で…スリランカ、外貨準備の不足が深刻に

ニューデリー=奈良部健
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 インド洋の島国スリランカ外務省は27日、在ナイジェリア大使館やドイツのフランクフルト、キプロスのニコシアにある領事館を31日から一時閉鎖すると発表した。同省は声明で「外貨の節約や支出の削減が必要だ」と説明。背景にはコロナ禍で拍車がかかった経済危機がある。

 スリランカでは新型コロナウイルスの影響で主要産業の観光業が打撃を受け、外貨準備高が不足。債務の返済に苦労している。輸入に使う外貨の不足で食料の供給が滞り、燃料や小麦粉、砂糖などの必需品の値上がりも招いている。

 21日には、スリランカ特産の紅茶をイランに輸送し、イラン産石油の輸入による2・5億ドル(約280億円)の支払いにあてることでイラン政府と合意した。外貨が足りないため、茶葉で払うというわけだ。

 スリランカは国営イラン石油公社から輸入した石油代金の返済を迫られており、毎月500万ドル相当の紅茶をイランに輸送し、返済したことにする。スリランカ政府が、紅茶の代金を自国の業者に支払うという。

 スリランカの外貨準備高は1年間で約7割減り、今年11月には約15・9億ドルに。1カ月分の輸入がまかなえる程度しかないという。通貨ルピーの下落も続き、格付け会社フィッチ・レーティングスは、今後数カ月内の債務不履行(デフォルト)の可能性が高まったとして、スリランカを格下げしていた。

 スリランカは2000年代以降に中国による巨大投資で道路や港湾開発を進めたが、借金が膨らんで返済に窮する「債務のわな」に陥った。その結果、中国の融資で整備した南部のハンバントタ港の運営権を99年間にわたり中国企業に譲渡した。(ニューデリー=奈良部健

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