2019 年 39 巻 4 号 p. 391-399
局所麻酔薬中毒の発生率は非常に広い幅があるが,重篤な例はまれである.区域麻酔が選択される場合,局所麻酔薬中毒を起こしやすい病態でもありえることを認識し,投与量を必要最小限とし,厳重な観察と迅速に対応できる準備を行う.重症局所麻酔薬中毒に脂肪乳剤の投与が推奨されているが,エビデンスとして確立しておらず,エピネフリンの投与量に関しても議論がある.ベンゾカインやプロピトカインをはじめいくつかの局所麻酔薬ではメトヘモグロビン血症がまれに発生し,酸素投与でも改善しないSpO2の低下やチアノーゼを呈する.CO-oximetryで確定できるが,症候出現時やメトヘモグロビン30%以上ではメチレンブルーで治療する.