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年表:医療・福祉制度の歴史

歴史・年表
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◆194807 医療法、医師法、保健師助産師看護師法など施行
 GHQによる戦後医療改革がスタート

◆195812 国民健康保険法施行

◆1961 国民皆保険が実現
  健康保険:本人ほぼ自己負担なし(つまり10割給付)・家族5割自己負担、国民健康保険:本人・家族5割自己負担(つまり5割給付)

*北場勉 2000『戦後社会保障の形成――社会福祉基礎構造の成立をめぐって」,中央法規
  「1961年に九州社会福祉協議会、民社党、自民党がそれぞれ老人福祉法案や老人福祉法案要綱を発表し、更に、1962年7月の参議院選挙の際に、自民党が老人福祉法制定を選挙公約に掲げたことから、法制定が急速に具体化」(北場[2000:66])
  1963年第43回国会に政府提案として提出され、成立。

◆1963 老人福祉法
  国民健康保険:本人3割・家族5割自己負担

◆1968 国保法改正:本人・家族とも3割自己負担

◆1972 老人福祉法改正(翌73年から70歳以上の高齢者医療費無料化)

◆1973 高齢者医療費無料化
    健保法改正:家族3割自己負担・高額療養制度の創設、政府管掌健康保険の国庫補助の定率化

◆1975 国保:高額療養制度の完全実施

◆1978
  ショートステイ制度化

◆197910「厚生行政基礎調査報告」(厚生省大臣官房統計情報部編)――厚生労働省「寝たきり老人」の統計的把握の開始
  デイサービスの制度化
  老人ホームの費用徴収制度改定(利用者の費用徴収額が措置費支弁額(月24万円)に満たない場合、扶養義務者からも利用量を徴集する方式の導入)

◆1980代 当時の中曽根内閣は軍事拡大を基本路線とする。背景には、1970年代の二度のオイルショックによる経済成長の低迷、アメリカのベトナム戦争敗北、 

◆198006 厚生省「老人保健医療対策本部」設置、1981年度の国家予算編成とあわせて、老人保健法の法案作りに着手

◆19800904 第一次私案→国民の抵抗→法案提出は1981年5月→国民の抵抗→国民抵抗・国会上程後1年3ヶ月にわたり3回の国会で成立が阻止される
 →1982年「自己負担を若干抑える」との合意で、1982年8月、老人保健法が自民・公明・民社の賛成によって制定(1983年2月実施)され、老人医療費が有料化された。

◆19810710 第二次臨時行政改革推進審議会(第二臨調)の第一次答申→医療費抑制が国家的基本路線に位置づけられる。

◆1981 健保:家族入院2割自己負担

●198203 三郷中央病院事件――「検査漬け」「薬漬け」の実態が明らかになる

◆19820723
*二木立 1994 『『世界一」の医療費抑制政策を見直す時期』,勁草書房,pp.47-48 
「厚生省社会保障長期展望懇談会が厚相に提出した提言「社会保障の将来展望について」では、「将来における国民医療費の規模については、国民所得の伸びに人口の高齢化を加味した伸び率の範囲内にとどめることを目標にしていくべきであろう」と明記されていた(1)。
   この提言は、当時、「厚生省が臨調に対抗するためにあたためてきた」ものであり、「財界や臨調の社会保障負担の当面の増大を食い止めようとするキャンペーンに釘をさしている」と評価された(2)。<0047<
   …ところが、翌1983年3月に、吉村保険局長が「社会保険旬報」へ投稿した「医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方」では、それが無視され、突然、「医療費総枠の抑制」として「国民所得の伸び率程度の伸びが示された(3)。<0048<
(1)厚生省社会保障長期展望懇談会の提言「社会保障の将来展望について」19820723『社会保険旬報』1403号,pp.28−32
    (2)(時論)「長期懇の提言」『社会保険旬報』1403号,pp.3
    (3)吉村仁 1983「医療費をめぐる情勢と対応に関する私の考え方」『社会保険旬報』1424号,pp.12-14

◆19820817「老人保健法」の制定
  「派遣事業運営要綱」改定(ホームヘルパーの派遣対象が生活保護世帯、所得税非課税世帯から所得税課税世帯へ拡大 課税世帯に対する有料制)

◆198302 老人保健法実施(高齢者医療費無料制度の廃止)
  70歳以上の老人を既存の医療保険制度から別にし、その財源を各医療保険から拠出する仕組み、一部負担金を控除した額の5割を公費(国2/3、都道府県・市町村が各1/6)、残り5割を各医療保険制度の保険者が拠出
  老人一部負担金の導入:外来通院一ヶ月400円、入院一日300円(二ヶ月を限度)
  老人病院における医療の適正化を目的として、70歳以上の老人を6割以上かかえるう医療機関を、特例許可外老人病院とし、特例許可病院や一般病院と区別
  →診療報酬点数に差異がある、職員(医師・看護職員・介護職員など)の配置基準についてもあらたに決められた

  特例許可老人病院に対して「特定患者収容管理料」の設定
  特例許可老人病院「特定患者収容管理料」+「老人処置料」の包括化
  許可外病院「入院医療に対する包括した評価」(処置・検査・注射)の設定
  

◆19841001 健保法改正
  @健保本人本人に2割(当面は1割、1997年より2割)の医療費自己負担A特定療養費制度創設の導入による差額徴収の公認と「自由診療」の拡大(療養費支給制度の一種)B国保への国庫負担の大幅削減C国庫負担ぬきの退職者医療制度の新設
  「特定療養費制度」:「特に定められた高度な医療や特別なサービス(アメニティ部分)を含んだ療養を受けた場合、療養全体にかかる費用のうち一般治療と共通する部分に保険を適用(特定療養費)し、特別サービス部分を自己負担とする制度
   大学病院等の特定承認保健医療機関でのみ行なわれる「高度先進医療」に係るものと、すべての医療機関が実施できる、「患者の選定に係る特別の病室の提供その他の厚生大臣の定める療養に係るもの」の二種類(二木[1994:112-113])
  「退職者医療制度」創設理由:サラリーマンなどの高齢退職者は、退職後国保の被保険者となるため、給付水準が下がる(1984年改正までは、勤めている間は10割給付だが、退職し国保にはいることで7割給付になる)ため改善を迫られていた
   →退職者を「退職者医療制度」という別枠にし8割給付を保証する。ただし、この制度の財源は健保や共済などの保健からの拠出金でまかなうことにすることで、国庫負担の削減をはかる。

◆1985
  第1次医療法改正
  ・地域医療計画・医療法人の指導監督規定などの整備(立入調査、人事への介入、自己資本20%)・一人医師医療法人制度の創設
  生活保護費、老人福祉措置費など福祉措置費について国庫負担率を8割から7割へ引き下げ

*二木立 1994 『『世界一」に医療費抑制政策を見直す時期』,勁草書房より
 厚生省編 1985『厚生白書昭和六十年度版――長寿社会へ向かって選択する』,厚生統計協会
  「国民医療費の伸びは国民所得の伸びの範囲内に抑えていく」(二木[1994:43])

◆1986 社会福祉基礎構想懇談会が「社会福祉改革の基礎構想」を提言
  老人保健法改正:一部負担引上げ(外来一ヶ月800円、入院一日400円)、加入者按分率引上げ

  老人保健施設創設:病院と在宅の中間施設、入院期間原則3ヶ月以内・1日あたりの報酬額に薬剤・検査・リハビリを包括、施設基準(部屋の広さなど)を満たすことが難しいなどで中間施設としてはあまり機能しなかった
  また、食事代などは「利用料」として月5万円程度の自己負担がある

◆1987 老人保健法改正:保険料滞納者に対する保険証の取り上げ


◆1988
  「昭和63年度厚生科学研究特別研究事業・寝たきり老人の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究・研究報告書」(厚生省大臣官房老人保健福祉部老人保健課)

◆1989(昭和64年/平成元年)

◆198903 福祉関係三審議会(中央社会福祉審議会・身体障害者福祉審議会・中央児童福祉審議会)の意見具申「今後の社会福祉のあり方について」

◆19890401 消費税実施(税率3%)
  「高齢者保健福祉推進十か年戦略」いわゆる「ゴールドプラン」の策定(今後10年間でヘルパー10万人の確保を掲げる)
   生活保護などに関する国庫負担は7.5割に、福祉措置費については5割にホームヘルプ事業の自治体委託先として営利法人が認められる

◆19900331
  「寝たきりゼロをめざして―寝たきり老人の現状分析並びに諸外国との比較に関する研究」(厚生省大臣官房老人保健福祉部老人保健課)
  「寝たきり老人を作らないためには、自立に向けての「生活意欲」を各老人が持つこと、さらに、社会全体がそれを支援していくことがまず出発点である。具体的な予防の方策は、まず「寝たきり」に導く原因疾患の発生を予防すること、原因疾患が発生したらそれによる障害を予防すること、不幸にして障害が発生したら障害の悪化を予防するため、逆に積極的にあらゆる方策を用いて「動かす」ことが重要である。これらの諸方策は数多くあり、種々のレベルで複雑にからみ合っている。今回提言を明確なものにするため、あえて重複を恐れず、二つの別の立場から、つまり一つは老人個人に着目し、個人に必要とされる諸方策を、健常な老人から障害を起こすまでの時間的経過に対応して整理し、また、もう一つは実施・支援する側に着目し、例えば実施・支援する人や場に対応して整理し、さらに、この二つの方策を推し進めるための地域ケア体制の確立のため、国、自治体等が行うべき方策について以下にまとめた。」(p.23)
  「寝たきり老人ゼロ作戦」の推進

◆199004 診療報酬改定 患者6人に対し介護職員1人以上の特例許可老人病院に定額制(マルメ方式)の導入
  「老人福祉法等の一部を改正する法律」(福祉関係八法改正) 老人保健制度上での医療費加入者負担率を100パーセントに変更 特別養護老人ホームなどの施設入所の権限を町村に移転。措置権者が市町村に一元化。在宅サービスの法的位置づけ 各都道府県・各市町村に対する「老人保健福祉計画」策定の義務付け

◆1991 老人保健改正:人訪問看護創設、介護に着目した公費負担引上げ(3割から5割へ)
  自己負担額外来1ヶ月1000円(800円からひきあげ)、入院1日800円(400円からひきあげ)、
  老人医療費の伸びを一定の率で自己負担額に上乗せするスライド制の導入、低所得者の入院一部不負担は現行通り1日300円(2ヶ月程度)

◆19910401『厚生白書〈平成2年版〉――真の豊かさに向かっての社会システムの再構築 豊かさのコスト――廃棄物問題を考える』(厚生省編:厚生問題研究会)

◆19911118「『障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準』の活用について」(厚生省大臣官房老人保健福祉部長による通知) 全国一律の「障害老人の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準」

◆1992
  第2次医療法改正
  ・医療提供の理念規定の整備,法文化・医療施設機能の体系化(特定機能病院、療養型病床群の制度化)・広告規制の緩和、院内掲示の義務・医療機関の業務 外注業者の許可基準の制定・医療法人に関する規定の整備(標榜科名の政令化)
  「老人訪問看護ステーション」創設

◆19920122 臨時脳死及び臓器移植調査会(脳死臨調)が脳死を「人の死」とし、脳死者からの臓器移植を認める答申 脳死容認反対の少数意見も付記

*和田勝 1992「21世紀の医療体制と制度改革」『週間社会保障』1716号,pp.26-29
「今の医療保険制度の枠組みとの関係で、われわれなりに苦労しながら、いろいろな制度上のテクニックを使って改正のための財源を捻出してきた。…いろいろなことをやってきたが、現在は、これらのテクニックをやり尽くしてしまった。つまりタコの足八本を順番に食いつくしてしまい、いよいよ食べるものがなくなってきたというのが最近の状況である。」(二木[1994:50])

◆1993
  合計特殊出生率が1.46まで下がり 過去最低となる(発表は1994年)
  保育所入所の措置制度を契約制に転換しようとする「保育サービス法」構想 
  →反対により廃案→老人福祉措置制度解体への方向転換(介護保険構想へ)
 
 「療養型病床群」創設:長期療養患者を対象、介護力強化・一般病院とは異なる人員配置基準、老人収容率によって看護料を設定し、看護・検査・投薬・治療を包括

 199309末 厚生省「病院経営緊急状況調査」によると、1992年度の病院経営の悪化:民間病院の30.7%が赤字、56.8%が前年度に比べ経営悪化(二木[1994:46])


◆1994 健保法等改正:付き添い看護・介護の撤廃(95年度末までに実施)、在宅医療の明確化と訪問看護の拡大、入院時食事療養費創設、患者食事一部負担導入、育児休業中の被用者保険料免除、差額ベッド要件の大幅緩和
  
   差額ベッドの拡大:4人部屋まで拡大→一部病院団体や医療団体などが主導を握り推進
   病院給食の自己負担化:原則1日800円、2年間に限り600円、民間企業に委託→病院関係反対
   付き添い看護・介護の撤廃:それまでは基準看護をとっていない病院においては、患者が付き添い婦をつけてよく、かかった費用を健康保険に請求すれば5割〜7割返還されていた(ただし返還されるのは2〜3ヶ月後のため先に全額用意の必要あり)


◆199403 「二一世紀型福祉ビジョン――少子・高齢社会に向けて」(厚生大臣私的諮問機関「高齢社会福祉ビジョン懇談会」)

◆199404 ドイツで介護保険法が成立

◆199409 社会保障審議会内 社会保障将来像委員会 第二次報告で「介護保険」構想が登場

◆19941102 年金改革法が成立(厚生年金の満額支給開始年齢を段階的に65歳まで遅らせることに)

◆199412「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」(高齢者介護・自立支援システム研究会)
「新ゴールドプラン策定」(新・高齢者保健福祉推進十か年戦略)

◆199507 社会保障制度審議会 33年ぶりの勧告で「介護保険制度」の創設を提言
  「新たな高齢者介護システムの確立について」(老人保健福祉審議会)――社会保険方式による高齢者介護システムを提言

◆199508 ヘルパーの労働条件改善の勧告(総務庁行政監察局から厚生省と労働省へ)

◆19951216「高齢社会対策基本法」

◆19951226 11月の完全失業率が総務庁の発表で3.4%となり、1953年以来最悪に
  「介護休業法」が成立(施行は99年4月から)

◆199604 「高齢者介護保険制度の創設について」(老人保健福祉審議会)

◆199606 健康保険法の改正 入院時病院給食への自己負担の導入
  介護保険制度案大綱の作成(厚生省)
  「高齢社会白書」(年次報告書)はじまる (高齢社会白書とは、高齢社会対策基本法に基づき、平成8年から毎年政府が国会に提出している年次報告書であり、高齢化の状況や政府が講じた高齢社会対策の実施の状況、また、高齢化の状況を考慮して講じようとする施策について明らかにしているものである)

◆199610 厚生労働省の外郭団体である長寿社会開発センターに「福祉のターミナルケア研究会」設置

◆1997 第3次医療法改正
  ・療養型病床群の診療所設置・「地域医療支援病院」の制度化・医療提供に当たっての患者への説明・医療計画の見直し・医療法人の業務範囲の拡大・特別医療法人制度の創設・広告事項の追加

◆19970401 消費税の税率を3%から5%に引き上げ
  健保法等改正:本人2割自己負担、外来薬剤に対する一部負担導入
  老人保健:一部負担引上げ

◆199705 介護保険法案、衆院を通過

◆199706「財政構造改革の推進について」閣議決定

◆19970616 健康保険法等改正法成立(被用者保険の加入者本人の一部負担金が2割になる)

◆19971209「介護保険法」成立

◆199804 第三次改正医療法施行
  インフォームド・コンセントを義務化、地域医療支援病院を創設
  70歳以上、外来1回500円(4回/月まで、5回目から無料)

◆20000401 介護保険スタート
  「ゴールドプラン21」策定 政府は2000年度からのゴールドプラン21において、「新寝たきり老人ゼロ作戦」を打ち出した。そこでは、「高齢者が寝たきり状態になることを予防するためには、高齢者それぞれの状態に応じ、リハビリテーション医学に基づく、急性期、回復期、維持期の適切なリハビリテーションが提供されることが必要である」

◆200103 第4次医療法改正
  ・病床区分の再編成(急性期・慢性期病床の人員配置基準・構造設備基準)・必要病床数の算定式・カルテ開示の義務化・広告規制の緩和・医師・歯科医師の臨床研修の必修化

◆200204 診療報酬改定(−2.7%)
  医療行為に対する診療報酬の本体部分について初のマイナス改定(−1.3%)

◆200210 健保法改正 
  70歳以上の高齢患者の窓口負担:外来1回800円(4回/月まで、5回目から無料)の定額負担か、1割定率負担(上限3000円/月)を診療所が選択導入
  入院は1割定率負担(上限37,200円/月、低所得者24,600円/月)

◆200304 健保法改正施行、70歳未満の患者の医療費窓口負担が3割に引き上げ

◆2004 新医師臨床研修制度開始
  研修先の選択制により研修医の市中病院への流出と大学医局の人員不足が進む

◆2005 医療制度改革大綱

◆200604 診療報酬改定(−3.16%)、診療報酬本体部分の大幅マイナス改定(−1.36%)

◆20060401 改正介護保険法施行

◆200704 がん対策基本法施行、患者側の意思決定への参加を規定した初めての医療制度

◆20070409 厚生労働省の「終末期医療の決定プロセスのあり方に関する検討会」により、いわゆる「終末期医療のガイドライン」制定

◆20071015「救急医療における終末期医療に関する提言(ガイドライン)」

◆20080401 長寿(後期高齢者)医療制度施行


作成:老い研究会
UP:20080623 REV:20110804 20121106
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