競技中に狙われる軽装の女子選手…望遠カメラ向けたら職務質問、私服警官が目を光らす

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 陸上やバレーなどの女子選手を性的な意図で撮影する「アスリート盗撮」を防ごうと、京都府警が取り組みを強化している。7月には大学生による女性安全対策チームを設立。関係機関との連携も深め、対策を進める。(坂戸奎太、河部啓介)

たけびしスタジアム京都の周辺を私服で警戒する警察官。「盗撮禁止」の看板もある(右京区で)
たけびしスタジアム京都の周辺を私服で警戒する警察官。「盗撮禁止」の看板もある(右京区で)

 今月下旬、京都市右京区の競技場「たけびしスタジアム京都」で開かれた高校生の陸上競技大会に合わせ、府警の警察官約10人が私服で近辺を歩き、目を配った。場内は一般観客の入場が認められておらず、周辺から望遠カメラなどで選手が狙われる可能性があるためだ。期間中の計3日間で場内にカメラを向けるなどしていた7人に職務質問をした。

 昨年8月の取り締まりでは、女子選手の下半身を撮影した男を見つけ、後日に府迷惑防止条例違反容疑で書類送検した。今回は検挙に至らなかったが、右京署の田土義之・生活安全課長は「声をかけると被害実態を知っている人が予想以上に多く驚いた。フェンスに目張りをし、警察官による警戒を場内アナウンスで知らせた効果が表れたのかもしれない」と振り返った。

 アスリート盗撮をめぐっては、軽装の女子選手が競技中に狙われ、胸や下半身を拡大した画像などがネット上に拡散されている。日本オリンピック委員会などスポーツ関係7団体は2020年11月、被害防止を訴える共同声明を発表したが、被害は後を絶たない。

啓発カードを配る「Abelia」のメンバーら(右)(右京区で)
啓発カードを配る「Abelia」のメンバーら(右)(右京区で)

 府警と京都産業大(京都市北区)は7月、学生35人による女性安全対策チーム「Abelia(アベリア)」を発足。安全対策の研究や、啓発グッズの作成に取り組む。たけびしスタジアム京都の大会にもメンバーが足を運び、不審者を見かけたら通報するよう呼びかける啓発カードを保護者らに配った。

 カードを受け取った女性(48)には陸上競技をする中学3年の長女がおり、「娘はユニホームの下に着る肌着の色にも神経を使っていてかわいそう」と話した。チーム代表の2年大村瑞希さん(20)は「選手が安心して競技に集中できるよう活動を続けたい」と意気込む。

 府警は高体連や中体連と会議を重ねるなど連携を強化。今後は体操や水泳など別競技での取り締まりも視野に入れている。府警人身安全対策課の西田勝志課長は「コロナ禍が収束すれば、関係者以外もスタンドに入場できる大会が増えるだろう。被害の防止対策を徹底したい」と話している。

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