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ご意見・ご感想


石原知事定例記者会見録
平成19(2007)年5月11日(金)


質疑応答

【記者】菅(義偉)総務大臣が提唱されましたふるさと納税という議論が浮上しておりますが、知事はこれについてどうお考えでしょうか。

【知事】ふるさと納税なるもののまだ詳細を存じていませんがね、地方税ということで考えるのはおかしいね。住んでいるところで、やっぱりいろんな行政の利益を応益している人が住民税を払うわけですからね。自分が生まれて、それから人によっては転々とする人もいるでしょうし、遠く離れたところに長いこと住んでいる人もいるでしょうけどね。つまり、何をもってふるさととするかというのは、人間のセンチメント(感情)の問題で、法律で決められる問題ではないし、それが税金で、住民税という形で払うのは、極めておかしいですな。

【記者】その主張を、対抗手段といいましょうか、具体的な行動として何か考えられている部分というのは、今のところございますか。

【知事】ありません。もっと他にいろんな問題が出てきそうですからね。それに対する対抗手段を考えていますけども、そのふるさと納税というのは聞こえはいいけどね、税の体系としたらナンセンスだと思うね。

【記者】別の問題というのは、法人2税の問題であるとか。

【知事】そうですね。それから法人2税、そうですね。それから、またいろんな問題が出てくるでしょう。菅大臣が言っていることと、それから、どういうのかな、尾身大臣(尾身幸次財務大臣)が言っていることとかなり違う部分もあるけど、東京に対する収奪というのかしら、我々はそうとしかとれませんがね。いずれにしろ、税の、税収の上での格差というのはあるでしょう。しかし、それをもってそのまま財政上の格差とは言えませんよ。すべき努力を東京と同じようにしたの?要するに格差を唱えている各自治体が、例えば人員の整理をしましたか。歳費(歳出)の節減をしましたか。国だってやっていないじゃないの、あなた。それでね、すべき努力も内部努力もしないで。東京は必死になってやってきたよ。2万人、人を減らし、8,000億、歳出を切りましたよ。そういうこともしないでね、それで生じてきた財政上の格差をね、東京は富裕だ、富裕だ、と自分たちはピンチだと言って、それをそのまま税収というものになぞらえて、差がある、あるというのは、私は非常に乱暴な論だと思います。そこら辺のところをあなたははっきり考えた方がいいね。

【記者】すみません、今のふるさと納税制度のことで関連してなんですけど、今度の参院選に向けて自民党さんの方で、公約に掲げたいという方針を掲げているようなんですが、それについて自民党に異議を申し立てるとか、その辺、そういった考えはおありでしょうか。

【知事】具体的に出てきたら私は私で反論しますがね。まだ詳細は知りませんから。

【記者】全国知事会の方でも、国に対して提案する地方税制改革原案の中に、このふるさと納税を検討すべきだという意見があるようなんですけども、知事会の中で知事がご意見を言うような機会はあるでしょうか。18日に決定するという話もあるようなんですが。

【知事】全国知事会で?

【記者】はい。

【知事】そうしたら、それはそれなりに東京も発言しなくちゃいかんでしょうね。異論を述べるなりですね。それから、どういう形でふるさと納税なるものを行うのかね。つまりそれは、国税として行うなら、まだ要するに一種の寄附行為で納得できないこともないけど、住民税という地方税の形でやるというのはおかしいと思いますよ。要するに、そこに住んでて行政の応益をしている、つまり利益を得ている、例えば水を水道で使っている、電気を食う、あるいは町によっては治安が非常にいいところ、悪いところ、そういった問題もね、受益者が、私は住民税を払うべきものだと思うからね。私はずっと昔、そこで生まれたから、今故郷が貧乏してるからその分をどうのこうのという、そういう形の、私、税法というのは、国がそれを考えて寄附行為としてやるなら結構ですけれどね、地方税だとか住民税として行うのはおかしいと思います、それは。

【記者】関連で、原案をまとめてる知事会のトップの麻生さん(麻生渡 福岡県知事)が再度会長に立候補されて、他に立候補する方がいなくて無投票再選されるようなんですけども、先日お伺いしたときには、前任の梶原さん(梶原拓 前岐阜県知事)とはかなり体質が違うというところで知事の評価は終わってらっしゃいましたが、改めてどういうところが体質が違うのか、知事自身は、麻生さんの知事会運営をどう見ていらっしゃるのか。

【知事】梶原さんに比べて、やっぱり国の言うこと聞いてるね。梶原さんは梶原さんでね、割と県知事の立場でいろんな主張をしようとしたけども、それに比べると、非常にマイルドになられましたな。そんな印象です。

【記者】具体的にこういうところが気に入らないみたいなことは。

【知事】まあそれは具体的には切りないね。あなた方も、そうしたらやっぱり、私の言うことを踏まえて全国知事会を傍聴されたらどうですか。

【記者】それからもう一点、ちょっと質問があるんですけれども、知事、DC特区、以前も会見で質問ありましたけれど、この構想について説明を受けられたようですが…。

【知事】DC特区ってあれですか、要するにワシントン並みの特区に東京をするというの?猪瀬さん(猪瀬直樹 地方分権改革推進委員会委員、作家)なんかもそんなこと言ってるみたいですけどね。私はそれも1つの案になって出てくると思いますね。やっぱり、東京というものがね、集中・集積し過ぎていてね、それで、これはにわかに変わるものじゃないでしょうけどもね、別に私、特区制度に賛成ということじゃないんですよ。ただ、そういう論は出てくると思う。例えば、亡くなったけど諸井君(諸井虔 元地方制度調査会会長)がですね、そっちの座長ですか委員長をやって、私に意見聞きに来たときもその話が出ました。やっぱり、発想の一つで当然出てくるだろうな。それで、道州制、道州制と言われてますけどね、これは批判ではないんですよ。だけど、非常に親しい神奈川県の松沢君(松沢成文 神奈川県知事)なんかもね、首都圏道州制ということを考えてるみたいでね。それを成就するなら神奈川県最後の知事でいいとまで言っているけども、これ、道州制という形が進んだ結果、今の東京都、埼玉県、神奈川県、千葉県が合わさった、それが一つの地方のセクターになるというのは絶対にあり得ないと思う。それは、国の中に非常に大きな同心円をつくる形になってね、そのコントロールというのはもっと難しくなるしね。私はやっぱりそういうことは、多分実現しないと思いますね。むしろそのかわりに、23区を特区にするとか、もっと違う形で、一種の天領のようなものにする。ただ、それをコントロールする首長をどうやって決めるか。ワシントンなんかは、昔は一種の勅任官だったけど、選挙制度にしたら、歴代のアフリカ系アメリカ人が市長になって、その中の1人が麻薬までやり出して、とんでもない事件がレーガンの頃起こったけども、まあ日本ではそんなことはあり得ないでしょうが。ただ、それをアメリカが最初やったみたいに勅任官のような形にしてスタートしても、政府がくるくる、くるくる替わるときに、一体どういうサイクルでその勅任官を決めるのか。政府が替わったら今の大臣みたいにくるくる替わるんじゃ、同じ政府の中でも1年で替わるんじゃね、これはやっぱりとてもじゃないけど、いかに特区としてそれを区切って小さなものにしてもね、東京の集中・集積というのはコントロールできないと思いますね、1年や2年で。まして半年で替わる大臣なんかはね、ざらにいるんだから。だから、特区化したときの首長というものを、市長と呼ぶのか知事と呼ぶのか知りませんけどね。それがどういう形で身分として保障されるのか、難しい問題はいろいろあるでしょうね。



(東京都公式ホームページ石原知事記者会見より抜粋)



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