千賀滉大はメッツの入団会見に臨んだ(撮影・山田結軌)
【ニューヨーク19日(日本時間20日)=山田結軌、竹濱江利子通信員】ソフトバンクから海外フリーエージェント(FA)権を行使してメッツと5年総額7500万ドル(約103億円)の大型契約を結んだ千賀滉大投手(29)が、本拠地シティ・フィールドで入団会見を行った。背番号は「34」に決定。新天地への思いを語るとともに、来年3月に開催される第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に〝途中参戦〟する可能性を示唆した。
6年越しの思いがかない、表情は晴れ晴れとしていた。2011年に育成選手としてキャリアをスタートした千賀はメッツでの入団会見冒頭を英語であいさつ。自らセリフを書き込んだノートを手にマイクを握った。
「素晴らしいチームに入団できて、幸せで興奮しています。レッツ・ゴー・メッツ!!」
2017年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では準決勝の米国戦で登板。ドジャースタジアムのマウンドでメジャーの強打者に立ち向かったのが夢の原点だ。「テレビで見ていたラインアップと対戦できて、僕の中で今まで沸いたことのない感情が出てきた。野球ってエンジョイしてやるものだ、と再認識できた」。同年オフからソフトバンクとの契約更改交渉で思いを訴え続けた。
海外FA権を行使した今オフは最大8球団での争奪戦から、パドレスなど4球団に絞り込んでいた。最終的にメッツ入りを決めたのは、11月の直接交渉で感じた熱意と誠意に加えて、最強投手たちの存在だった。
「レジェンドであるシャーザーやバーランダーという2人の存在が僕にとって大きかった」
メジャー通算244勝のバーランダーがアストロズからFAとなり、メ軍と12月8日に正式契約したことで千賀の気持ちはニューヨークに向かった。「どこまで学べて、どこまで成長できるか。レベルアップすることを考えて行動しました」。スーパーエースたちの近くで勉強できる機会も重要な選考理由だった。
新天地でワールドシリーズ制覇を目指す前には、侍ジャパンでの世界一も視野に入れる。「日本大会とかキャンプ(宮崎合宿)からは参加できないので、途中からになってしまう」。メジャー1年目の調整を最優先とするため、米マイアミでの準決勝からの参加ならば可能、という考えは日本代表の栗山監督に伝えた。
「それでも、栗山さんが僕を必要だ、と言ってくれるならぜひ声をかけてください、と僕は言わせていただきました」。2023年、KODAI SENGAは侍ジャパンとメッツの両方で王座奪還に貢献する。
▼ニューヨーク・メッツ 1962年のエクスパンション(球団拡張)で誕生。69年のワールドシリーズ(WS)初制覇は「ミラクル・メッツ」と呼ばれた。86年にもWS制覇。2000年はヤンキースに敗れた。同じニューヨークに本拠地を置くヤンキースとの一戦は「サブウエーシリーズ」とも呼ばれる。本拠地はシティ・フィールド。過去に所属した日本選手は野茂英雄、吉井理人、新庄剛志、松井稼頭央、石井一久ら。