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クエリ検索: "フィトクロム"
607件中 1-20の結果を表示しています
  • 杉本 徹, 山本 興太朗
    生物物理
    1981年 21 巻 4 号 202-209
    発行日: 1981/07/25
    公開日: 2009/05/25
    ジャーナル フリー
  • *大薄 麻未, 山内 雪香, 川勝(池田) 恭子, 伊藤 博紀, 高野 誠, 井澤 毅
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2011年 2011 巻
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/12/02
    会議録・要旨集 フリー
    短日植物イネには3つの
    フィトクロム
    があり、花芽誘導を抑制する。これまでに、長日条件下の朝においてのみ、
    フィトクロム
    光信号伝達系が開花抑制因子Ghd7を誘導することが分かっている。この誘導は、
    フィトクロム
    による花芽形成遅延および日長に対する応答に必須である。しかし、個々の
    フィトクロム
    変異体の開花期表現型は、それぞれの
    フィトクロム
    が独立して、または他の
    フィトクロム
    と協調して、花芽形成を抑制することを示唆している。本研究では、
    フィトクロム
    一重/二重欠損体を用いて、
    フィトクロム
    によるイネ花芽誘導関連遺伝子の転写を詳細に解析した。
    まず個々の
    フィトクロム
    についてGhd7誘導における役割を調べた。その結果、phyAphyBphyAphyC変異体はGhd7を光誘導できなかったが、単独変異体は誘導し、phyAおよびphyBphyCが冗長的にGhd7を誘導することが明らかになった。また、phyB変異体ではGhd7や他の開花抑制因子の発現量は大きく変化しなかったが、Ghd7によって強く抑制される開花促進因子Ehd1が日長に依らず高発現した。さらに、日長非依存的に花芽誘導が早い変異体と同等のEhd1が発現しているにも関わらず、長日条件下におけるphyB変異体のHd3aの発現は抑制されていた。これらの結果とEhd1過剰発現体を用いた実験から、各種
    フィトクロム
    によるイネ花芽誘導の作用点について考察する。
  • *村本 拓也, 金本 浩介, Matthew J. Terry, 河内 孝之
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    の発色団は直鎖状テトラピロール化合物フィトクロモビリン(PΦB)であり、発色団の構造が
    フィトクロム
    の波長認識特性や植物の生育にとって重要である。藍藻の集光性色素フィコビリンの発色団フィコエリスロビリン(PEB)はPΦBと共通した経路によって生合成される。PEBは発色団として
    フィトクロム
    と結合するが、
    フィトクロム
    の立体構造変換と維持に必要なC15位C16位間の二重結合を欠くため、
    フィトクロム
    の立体構造が光変換しないことが示されている。我々は植物の生育における
    フィトクロム
    発色団の構造の役割を知るために、PΦBを持たないhy2変異体にPEB合成系の遺伝子を導入した
    フィトクロム
    発色団改変植物体(PEB植物体)を作製した。PEB植物体の暗所芽生えの胚軸や根の細胞において543nmの励起光によって580nm付近にピークを持つ蛍光が観察された。明所では胚軸伸長が抑制されなかったことから、hy2変異体の表現型が相補されず、機能的な
    フィトクロム
    が存在しないことが考えられた。一方、テトラピロール合成系遺伝子の欠損株は、葉緑体の発生と核にコードされる葉緑体タンパク質の遺伝子発現とが協調性を失うgun (genome uncoupled) 表現型を示す事が明らかにされているが、PEB植物体もgun 表現型を示した。これらの解析から、
    フィトクロム発色団の構造とフィトクロム
    の機能の関係や、テトラピロール生合成とgun 表現型との関係などについて議論したい。
  • *小林 俊達, 西ヶ谷 有輝, 三島 正規, 田畑 亮, 赤木 香予, 酒井 伸也, 加藤 悦子, 高野 誠, 山崎 俊正, 児嶋 長次郎
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2006年 2006 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/27
    会議録・要旨集 フリー
    赤・近赤外光受容体である
    フィトクロム
    は、約1200残基の巨大分子である。
    フィトクロム
    内の約650残基からなるN末端ドメインは光のセンシング及びシグナル伝達に関与し、約550残基からなるC末端ドメインは
    フィトクロム
    の二量体化及び核移行に関与する。このように
    フィトクロム
    は一つの分子内で多様な機能を有する事から、我々は
    フィトクロム
    の機能・分子メカニズムをより詳細に調べる事を目的として、個々のドメインの構造・機能解析を行ってきた。
    これまでの溶液NMR法を用いた研究から、
    フィトクロム
    C末端ドメインに存在するPAS1ドメインの構造が明らかとなった。得られた構造から、機能欠損型ミスセンス変異の集中する領域(Quail-box)がPAS1ドメインのβ-シートに存在し、β-シート表面上に
    フィトクロム
    に共通して保存された残基がクラスターを形成する事が明らかとなった。またこのβ-シート表面を介して二量体を形成する事が示唆された。さらに、
    フィトクロム
    B, C (phyB, C)においてPAS1を含む領域が二量体を形成するのに対してphyAのPAS1ドメインは二量体を形成しない事から、このPAS1ドメインがタイプI及びタイプII
    フィトクロム
    の機能の違いに関与していると考えられる。会場ではPAS1ドメインに加えてN末端・C末端ドメイン中の他の構造ドメインの解析結果についても報告したい。
  • *松下 智直
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2009年 2009 巻
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/23
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は、植物の「視覚」を構成する光情報受容体の中でも、主に赤色光・遠赤色光成分の受容を担い、植物のほぼ全ての光応答に関わる極めて重要な色素蛋白質である。そしてその分子は、光受容に働くN末端側領域と、二量体化に働きキナーゼドメインを持つC末端側領域からなる。従来、
    フィトクロム
    はC末端側領域内のキナーゼ活性により下流にシグナルを伝達すると信じられてきたが、我々の最近の研究によりその「常識」が覆され、
    フィトクロム
    の最も主要な分子種であるphyBが、C末端側領域からではなくN末端側領域からシグナルを発信することが証明された。この発見により、
    フィトクロム
    のシグナル伝達機構を一から見直す必要が生じた。我々はこれまでに、大規模な順遺伝学的解析から、phyBのN末端側領域内でシグナル発信に直接関与するアミノ酸残基を同定した。そして最近になり、海外の複数のグループによって、細菌やラン藻の
    フィトクロム
    分子についてそのN末端側領域の結晶構造が解かれたことにより、高等植物
    フィトクロム
    のN末端側領域からのシグナル伝達機構について、原子レベルでの議論が可能となりつつある。本講演では、
    フィトクロム
    のシグナル伝達機構について、我々の研究成果および国内外の最新の知見を紹介しながら、主にその初発反応に重点を置き、
    フィトクロム
    分子内構造との関わりから論ずる。
  • *嘉美 千歳, 岩田 尚子, J. Clark Lagarias, 横田 明穂, 河内 孝之
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2003年 2003 巻
    発行日: 2003/03/27
    公開日: 2004/02/24
    会議録・要旨集 フリー
     高等植物の赤色/遠赤色光受容体である
    フィトクロム
    は、フィトクロモビリン(PΦB)を発色団に持つ。我々はこれまでに
    フィトクロム
    発色団生合成の研究においてビリベルジンよりPΦBを合成する酵素に対するHY2 遺伝子を同定した。また関連してHY2 遺伝子と相同性を示すラン藻の遺伝子(pcyA )がフィコビリタンパク質の発色団、フィコシアノビリン(PCB)を合成する酵素をコードすることを明らかにした。PCBは、PΦBの代替化合物として外から加えると光可逆的なホロ
    フィトクロム
    発色団を形成し、その光吸収極大はPΦBよりも約10-20nm短波長側にあることが明らかになっている。そこで、発色団の構造と
    フィトクロム
    の初発反応との関連について植物を用いて解明することを目的に、シロイヌナズナhy2 変異体を宿主にプラスチド局在型pcyA を過剰発現させ、PCBを
    フィトクロム
    発色団に持つ形質転換体を作出した。得られた形質転換体はhy2 が示す胚軸伸長や早咲きの表現型を相補した。単離
    フィトクロム
    の光吸収極大は野生型よりも短波長側へシフトした。また遠赤色光の連続照射における芽生えの胚軸伸長抑制が認められないことが明らかになった。つまり、PCB-
    フィトクロム
    はPΦB-
    フィトクロム
    の機能を部分的に相補するが、遠赤色光の認識にはPΦBの構造が重要であることが示唆された。
  • *河内 孝之, 嘉美 千歳, 小林 聡和, 向川 佳子, 村本 拓也
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
    植物の赤色光/遠赤色光受容体である
    フィトクロム
    は、開環状テトラピロール化合物であるフィトクロモビリン(PΦB)を発色団にもつ。近年、藍藻も
    フィトクロム
    様タンパク質をもち、その発色団は光合成色素でもあるフィコシアノビリン(PCB)であることが示された。この発色団の違いは生物学的に意味があるのであろうか。我々は、PΦB生合成経路に欠損を持つシロイヌナズナhy2変異体へのビリン還元酵素遺伝子導入により、
    フィトクロム
    発色団を植物体内で改変する系を開発した。PCBを
    フィトクロム
    発色団とするシロイヌナズナPCYA1は、野生型(WT)よりも10-20nm短波長側へシフトした
    フィトクロム
    吸収波長特性を示した。光生理応答を詳細に解析したところ、低光量反応と超低光量反応にはWTとほぼ同様の応答を示すこと、遠赤色光高照射反応において発色団の吸収波長シフトの影響が顕著に現れることがわかった。また、PCYA1の芽生えは、連続照射条件や暗条件ではWTと同様の胚軸の伸長が観察されるが、明暗周期を与えるとWTよりも高い胚軸伸長抑制を示した。このPCYA1の応答は消灯前に遠赤色光照射処理を行うと失われることから、発色団構造の違いによって
    フィトクロム
    Bの暗反転速度がWTと異なると考えられた。この知見は大腸菌における組換えホロ
    フィトクロム発現系を利用したフィトクロム
    の分光学的解析により支持されたので、併せて報告する。
  • *児嶋 長次郎
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は2量体として細胞質に存在し、赤色光の吸収による活性型への構造変化とともに核内へ移行し、転写因子を含めた様々なタンパク質との相互作用によって発芽から花成といった種々の光形態形成を制御する。
    フィトクロム
    のC-末端ドメインは2つのPASドメインとヒスチジンキナーゼ様ドメインからなり、
    フィトクロム
    の機能失活に関与するミスセンス変異の多くが最初のPASドメインで見いだされている(Quail Box)。またこれらのミスセンス変異では核内移行阻害またはNuclear Body形成阻害が観測されている。この様にC-末端ドメインは少なくとも核内移行またはNuclear Body形成過程を介して光形態形成に必須と考えられている。我々は未だ明らかとなっていない
    フィトクロム
    の核内移行シグナルやNuclear Body形成機構を解明するために、
    フィトクロム
    のC-末端ドメインの構造生物学研究を進めてきた。今回NMRを用い、イネ由来
    フィトクロム
    Bの2つのPASドメインの溶液構造の決定に成功したので、その詳細を報告する。
  • *清水 久代, 七夕 高也, 謝 先芝, 稲垣 言要, 高野 誠, 篠村 知子
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2006年 2006 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/27
    会議録・要旨集 フリー
    植物の根に
    フィトクロム
    が存在することは報告されているが、その生理作用は光屈性以外にはあまり知られていない。私たちはイネの
    フィトクロム欠損変異体を用いて根の光形態形成におけるフィトクロム
    作用を調べたので報告する。
    野生株イネ(Nipponbare)を1/2濃度のMS培地(ゲランガム0.2%)に播種し暗所で7日間生育させた場合、種子根はほぼ重力方向に8cm以上伸長した。一方、連続白色光照射下では、発芽誘導から2日後、種子根が約2cmに達したところでコイル状に屈曲し、伸長を停止した。この反応は窒素濃度に依存し、窒素濃度が0.1mMより低い濃度では見られず、0.1~10mMでは窒素濃度が高くなるにつれて高頻度で見られた。この反応は暗所で発芽誘導させてから48~72時間目に光を照射した場合に最も効果的に引き起こされた。
    フィトクロム
    欠損変異体を使った単色光照射実験、ウエスタンブロッティングによる根の
    フィトクロム
    タンパク質の検出、および光の局所的な照射実験の結果から、種子根に存在する
    フィトクロム
    分子が光を受容して種子根の伸長抑制の生理反応を調節することがわかった。
    フィトクロム
    分子種の根の光形態形成における役割分担様式の特徴を考察する。
    本研究は、農水省プロジェクトIP1006の委託を受けて実施した。
  • *吉原 静恵, 松岡 大介, 直原 一徳, 河内 孝之, 徳富 哲
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は植物の様々な光応答に関わる光受容体だが、近年ではバクテリアのゲノムからも多くの
    フィトクロム
    様遺伝子が見いだされている。
    フィトクロム
    の特徴として、開環テトラピロールを共有結合し、赤色光吸収型(Pr)/遠赤色光吸収型(Pfr)可逆的光変換する性質が知られている。
    一方、pixJ1は単細胞性のシアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の正の走光性に必須な遺伝子であり、
    フィトクロム
    の色素結合領域に相同性を示すことから走光性の光受容体であると考えられた。シアノバクテリアから単離したHis-PixJ1タンパク質は
    フィトクロム
    のように開環テトラピロールを共有結合しているが、青色光吸収型(Pb型、最大吸収435 nm)と緑色光吸収型(Pg型、最大吸収535 nm)の間を可逆的に光変換する新規の光受容体であることをすでに報告した。我々は、PixJ1に結合している発色団を同定するために、PixJ1の色素結合ドメインと複数種の発色団との結合、吸収特性を調べた。その結果、Synechocystis
    フィトクロム
    Cph1の発色団であるphycocyanobilin(PCB)を結合したPixJ1は、シアノバクテリアから単離したPixJ1のものに似た吸収スペクトルを示した。しかし、Synechocystis
    フィトクロム
    Cph1はPCBを結合してPr(最大吸収656 nm)/Pfr(最大吸収702 nm)可逆的光変換を示すことが知られている。PCBが青色光/緑色光可逆的光変換に関わる可能性について考察する。
  • *永島 明知, 鈴木 玄樹, 佐治 健介, 黒羽 剛, 藤沢 紀子, 上原 由紀子, 岡田 清孝, 酒井 達也
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2007年 2007 巻
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/12/13
    会議録・要旨集 フリー
    光受容体、
    フィトクロム
    、クリプトクロム、フォトトロピンは、植物の発達・生育の様々な局面を制御している。胚軸の光屈性ではフォトトロピンが主要な役割を担っているが、
    フィトクロム
    やクリプトクロムもこれの調節に関わるものと考えられている。我々は、胚軸の光屈性における
    フィトクロム
    の機能を調べるために、赤色光照射によって胚軸屈曲が促進される突然変異体、flabbyを単離した。ポジショナルクローニングの結果、原因遺伝子はオーキシンの排出に関わるABCトランスポーター、PGP19/ MDR1をコードすることが判明した。作成した phyA phyB flabby三重変異体では、赤色光による胚軸屈曲が抑制されていたことから、
    フィトクロム
    には胚軸屈曲を促進する効果があり、PGP19はこの効果に対し抑制的に機能することが示された。さらに、赤色光照射により活性化した
    フィトクロム
    は、胚軸上部でのPGP19の蓄積を減少させ、胚軸の求基的なオーキシン輸送活性を減少させた。よって、
    フィトクロム
    によるオーキシン輸送制御は、胚軸の光屈性に重要な役割を担う事が示唆された。青色光照射により phot1 phot2 flabby三重変異体も胚軸屈曲の促進を示し、胚軸中PGP19の蓄積もクリプトクロム依存的に減少した。よって、クリプトクロムも
    フィトクロム
    と同様に胚軸屈曲を制御するものと考えられた。これらの結果と合わせて、PGP19を介したNPAの効果と、 pgp1 pgp19二重変異株の表現型についても報告する。
  • *高野 誠, 謝 先芝, 稲垣 言要, 篠村 知子
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
    イネには3種類の
    フィトクロム
    分子種(phyA, phyB, phyC)が存在する。私たちは、イネにおける
    フィトクロム
    の機能を明らかにする目的で、すべての
    フィトクロム
    突然変異体を単離し、さらにそれらを交配して2重、3重突然変異体を作製した。それらの形質を比較・解析することにより、それぞれの
    フィトクロム
    独自の機能や相互作用に関する様々な知見が得られた。まず、phyA単独の突然変異体は、明確な表現型を示さなかったが、phyABあるいはphyAC2重突然変異体では、開花時期や形態に著しい変化が認められた。したがって、phyAは、phyBやphyCとの相互作用を介して開花や形態形成に重要な役割を果たしていることがわかった。phyABC3重突然変異体は、
    フィトクロム
    の機能をすべて欠いているにもかかわらず致死ではなかったが、赤色光下で育てると黄化芽生えと同じ形態や挙動を示した。したがって、
    フィトクロム
    が唯一の赤色光受容体であることが初めて明確に証明された。phyABC3重突然変異体を圃場で栽培すると半矮性で、極早稲の表現型を示した。草型は通常のイネとは大きく異なり、短い葉が、株元からではなく桿の途中から横に突き出るように出ていた。これは、通常は伸長しない下位の節間がphyABC3重突然変異体では伸びていることに起因すると分かった。したがって、
    フィトクロム
    は外界からの光情報によって節間伸長を制御し、イネの形態形成に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
  • *星 章子, 大西 賢司, 近藤 陽一, 沓名 伸介, 眞鍋 勝司
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
    会議録・要旨集 フリー
     ランソウには
    フィトクロム
    様遺伝子が存在し、細胞内でタンパク質として発現していることが確認されている。好熱性ランソウThermosynechococcus elongatus BP-1の
    フィトクロム
    候補は、データベース(CyanoBase)ではtll0569、tll0899、tlr0911、tlr0924、tlr1999の5遺伝子があげられている。しかし、この候補の中に高等植物
    フィトクロムのようにフィトクロム
    ドメインを持つものはなかった。
     我々は上記5個の候補の他に、GAFドメインを持つ
    フィトクロム
    様タンパクをコードするtlr1215遺伝子にも着目し、破壊株を作製した。走光性の作用スペクトルを岡崎大型スペクトログラフを用いて測定したところ、この破壊株では赤色光域特異的に走光性の活性が減少していた。またこの遺伝子を大腸菌で発現させ、色素団ビリベルジンを加えてビリン色素の結合性をZinc-stain法で検討した。その結果、Tlr1215タンパクにはビリン色素が結合することが明らかになった。さらに、ランソウ
    フィトクロム
    の色素団と考えられているフィコシアノビリンとの結合実験を試みたので報告する。
     また他の光受容体候補遺伝子や、その破壊株の走光性の観察結果も交えて、ランソウ細胞内での機能について報告する予定である。
  • *安居 佑季子, 西谷 亜依子, 上本 充大, 硯 亮太, 向川 佳子, 中井 勇介, 中平 洋一, 佐藤 雅彦, 河内 孝之
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2010年 2010 巻
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/11/22
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は植物の主要な光受容体であり、生涯を通して重要な機能をもつ。
    フィトクロム
    はシグナル伝達時に細胞質から核へ移行し下流因子の発現を調節する。しかし、生長した植物における
    フィトクロム
    シグナルの詳細は未だ明らかにされていない。花成応答に着目したスクリーニングにより、新規の
    フィトクロム
    相互作用因子として、VOZ (Vascular plant One-Zinc finger) を単離同定した。VOZは、シロイヌナズナにおいてVOZ1 VOZ2の二分子種が存在する。これまでに、変異体を用いた遺伝学的解析、発現解析によりVOZがphyBの下流、FTの上流で花成を促進する因子であり、機能を重複することを示していた。
    フィトクロム
    シグナルにおけるVOZの機能を解明することを目的に、VOZの局在解析を行った。まず、機能的な細胞内局在を明らかにするため、核移行/核搬出シグナルを用いた解析を行った。それぞれのシグナルをVOZに融合し、voz1 voz2二重変異体に導入することで、表現型の相補実験を行った。その結果、核移行シグナル株でのみvoz1 voz2二重変異体の遅咲きを相補したことから、VOZが核内で機能することが示された。また、GFP融合VOZ2発現株を作出し、VOZの蓄積部位を解析した。VOZが機能する細胞内局在、蓄積部位を合わせて、
    フィトクロム
    シグナルにおけるVOZの機能を考察する。
  • *長谷 あきら, 小野 裕也, 岡 義人, 望月 伸悦
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2009年 2009 巻
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/23
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    には複数の分子種が存在する。なかでも
    フィトクロム
    A(phyA)は、他の
    フィトクロム
    分子種にはない特殊な性質を示す。系統樹解析によれば、
    フィトクロム
    は種子植物成立の直後にphyA/C型とphyB/E型に分岐した。被子植物のphyAが獲得したと考えられる特殊機能として、1)超低光量応答を示す、2)連続遠赤色光に応答する、3)暗所で高レベルに蓄積し明所で速やかに分解される、ことなどが挙げられる。これらの特徴は、phyAが進化の過程を経て、高感度な光受容体として特殊化したことの表れと理解できる。我々は、phyAの特殊機能の構造的基盤を探るため、
    フィトクロム
    分子を4つのドメイン(N-PAS, GAF, PHY, C-末端)に分割し、それぞれをphyA/phyB間で交換したキメラ遺伝子を14種構築し、シロイヌナズナのphyAphyB二重変異体背景で、GFP融合タンパク質の形で発現させた。得られた形質転換植物を用いてキメラ分子の性質を詳しく比較した結果、phyA機能を示すために必要なドメインの組合せは、連続赤色光による核内蓄積、連続赤色光生理応答、光依存的分解のそれぞれで異なることが分かった。超低光量反応についても今後解析を進める予定である。本講演では、phyAとphyBに関するこれまでの知見を概説し、上記の研究成果を紹介するとともに、
    フィトクロム
    機能の多様化機構について考察する。
  • *安居 佑季子, 硯 亮太, 西谷 亜依子, 向川 佳子, 佐藤 雅彦, 河内 孝之
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2009年 2009 巻
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/10/23
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は植物の主要な光受容体であり、花成制御に重要な役割を持つことが知られている。
    フィトクロム
    は光を吸収することで核から細胞質へと移行してシグナルを下流に伝達する。しかし、生長した植物における
    フィトクロム
    シグナルの詳細は未だ明らかにされていない。抽苔時のシロイヌナズナcDNAライブラリーを用いた酵母ツーハイブリット法によるスクリーニングにより、
    フィトクロム
    相互作用因子として、転写因子VOZ (Vascular plant One-Zinc finger) を単離同定した。VOZは、シロイヌナズナにおいてAtVOZ1AtVOZ2の二分子種が存在し、voz1 voz2二重変異体は長日条件下において遅咲きの表現型を示す。また、phyBとの三重変異体の解析からVOZがphyBの下流で花成を制御すること、WTとvoz1 voz2二重変異体における花成促進因子の発現解析からVOZがFTの発現を促進していることが示され、VOZが
    フィトクロム
    と FTの間をつなぐ因子であることが考えられた。そこで、VOZが花成経路において担う働きを分子レベルで解析するため、GFP融合コンストラクトを用いて各光質条件におけるVOZの細胞内局在を解析した。VOZの細胞内局在から、VOZと
    フィトクロム
    シグナルとの関係、そしてVOZの花成経路における機能を考察したい。
  • *片岡 秀夫, 村本 拓也, 大和 勝幸, 河内 孝之
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2006年 2006 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/27
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は植物が持つ主要な光受容体である。本研究では下等植物における
    フィトクロム
    の機能、性質について知見を得ることを目的とし、苔類ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)を用いて
    フィトクロム
    と光形態形成の解析を行った。ゼニゴケは地球上に存在する生物の中でも最初に陸上に上がった生物であると考えられ、生活環の大半が半数体であることおよび非常に単純な体制を持つことからモデル植物として優れている。本研究ではESTデータベースおよびゼニゴケPACゲノムライブラリーを用いてゼニゴケ
    フィトクロム
    遺伝子(MpPHY)を同定した。MpPHY遺伝子は植物の持つ典型的な
    フィトクロム
    同様、4つのエキソンおよび3つのイントロンから構成されており、イントロンの挿入位置は保存されていた。また、高等植物の
    フィトクロム
    と異なり、シングルコピーであり1分子種しか存在していないことをゲノミックサザン解析により明らかとした。さらに、大腸菌を宿主とした機能的なMpPHYの発現、および相同組み換えによるMpPHY遺伝子ターゲッティングを試み、MpPHYの機能解析を行った。また、ゼニゴケでは通常の蛍光灯での培養条件下では生殖成長に移行しないことが知られていたが、遠赤色光照射によって生殖生長への移行が速やかに行われることを見出した。現在、生殖生長への移行とMpPHYとの関連について解析を進めている。
  • *吉原 静恵, 松岡 大介, 直原 一徳, 河内 孝之, 徳富 哲
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2006年 2006 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/27
    会議録・要旨集 フリー
    フィトクロム
    は植物の様々な光応答に関わる光受容体だが、近年ではバクテリアのゲノムからも多くの
    フィトクロム
    様遺伝子が見いだされている。
    フィトクロム
    の特徴として、開環テトラピロールを共有結合し、赤色光吸収型(Pr)/遠赤色光吸収型(Pfr)可逆的光変換する性質が知られている。
    一方、PixJ1は単細胞性シアノバクテリアSynechocystis sp. PCC 6803の正の走光性に必至な
    フィトクロム
    様光受容体であり、シアノバクテリアから単離したHis-PixJ1タンパク質は
    フィトクロム
    のように開環テトラピロールを共有結合しているが、青色光吸収型(Pb型、最大吸収435 nm)と緑色光吸収型(Pg型、最大吸収535 nm)の間を可逆的に光変換する新奇の光受容体であることをすでに報告した。さらに、赤色光を吸収する発色団phycocyanobilin (PCB)を結合したPixJ1がシアノバクテリアから単離したPixJ1のものに似た吸収スペクトルを示すことから、PCBまたはPCBに似た発色団がPixJ1に結合していると考えられた。PCBの結合様式を調べるために、保存された発色団結合部位に変異を導入した結果、
    フィトクロム
    の発色団結合に必至な残基の変異は発色団の結合に影響を与えないが、変異タンパク質は光変換を示さなかった。PCBが青色光/緑色光可逆的光変換に関わる機構について考察する。
  • *山内 雪香, 三原 基広, 井澤 毅
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2006年 2006 巻
    発行日: 2006年
    公開日: 2006/12/27
    会議録・要旨集 フリー
    光受容体
    フィトクロム
    は、植物の様々な光応答を制御している。短日植物であるイネの
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    欠損変異体se5は、赤色光下での幼葉鞘伸長を示し、また短日長日のいずれの条件においても花芽形成を促進するが、その直接の下流にあるシグナル伝達経路はわかっていない。シロイヌナズナにおいては
    フィトクロム
    と直接結合するbHLH型転写因子のphytochrome interacting factor (PIF)ファミリーが、発芽、葉緑素生合成および花芽形成等の
    フィトクロム
    依存的な生理反応に重要な役割を果たしていることが知られている。そこで、私たちはイネのPIFファミリーに着目し、ゲノム情報から10個のイネPIF類似遺伝子を同定した。シロイヌナズナのPIFは、N末端の
    フィトクロム
    結合部位(APB)、C末端側にbHLHを持つことが知られているが、イネには7個の同じドメイン構造を持つ遺伝子があり、加えて、APBしかない持たないタイプのPIF類似遺伝子が3個あることがわかった。これらのイネPIF類似遺伝子の発現を定量RT-PCRにより測定した。その結果、播種後2週間の幼植物でいずれの遺伝子も発現が確認でき、またその中には日周期変動や光応答のパターンが野生型se5で異なるパターンを示すもの等があった。これらの結果は、イネPIF類似遺伝子の発現に
    フィトクロム
    信号伝達系が関与している事を示唆している。
  • *小林 俊達, 三島 正規, 田畑 亮, 赤木 香予, 酒井 伸也, 加藤 悦子, 高野 誠, 山崎 俊正, 児嶋 長次郎
    日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
    2005年 2005 巻
    発行日: 2005/03/24
    公開日: 2006/01/11
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    光は幾つかの光受容体を介して波長や強度・照射時間に応じた植物の様々な生理応答を誘導する。細胞内において2量体として存在する
    フィトクロム
    もこれら環境センサーとしての光受容体の一つである。細胞質に存在する不活性型の
    フィトクロム
    は、赤色光の吸収による活性型への構造変化を生じた後に核内へ移行し、転写因子を含めた様々なタンパク質との相互作用によって発芽から花成といった種々の光形態形成を制御する事が明らかとなっている。
    フィトクロム
    は大きく二つのドメインに分けられる(N-及びC-末端ドメイン)。これまでの研究から、C-末端ドメイン中のPASドメインを含む領域のミスセンス変異の多くは、核内移行阻害といった
    フィトクロム
    機能失活に関与することが明らかとなっている。しかしながらPASドメインを含めた
    フィトクロム
    に関する生化学的・構造学的知見に関しては未だ乏しい。このため我々は、イネ由来
    フィトクロム
    B (phyB)を用いてPAS1ドメインの溶液構造を決定した。その過程でPAS1ドメインのN末端領域が2量体形成に関与すること、PAS1ドメインとPAS2ドメイン間には分子内・分子間相互作用が存在しないこと、PAS1中に存在する機能欠失型ミスセンス変異によりPAS1ドメインの高次構造が部分的に失われることを明らかにした。
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