ホルモン療法を受けるトランス女性の乳がんリスクはシス男性の50倍
Breast cancer risk in transgender people receiving hormone treatment: nationwide cohort study in the Netherlands
背景
トランスジェンダーは割り当てられた性別と性自認の不一致を解消するためにホルモン投与を受けている場合があるが、こうしたホルモン療法が乳がんリスクに与える影響は十分理解されていない。オランダVU University Medical Centreのde Blokらは、同施設ジェンダークリニックのトランス女性2,260名、トランス男性1,229名からなる後向コホートにおいて、乳がんの罹患率およびその特性を調査した。
結論
トランス女性では33,991人年で15件の浸潤性乳がんがあり、これはシスジェンダー男性と比して46.7倍(標準罹患比)、シス女性と比べると0.3倍であった。多くは乳管からの発症、ER・PgR陽性であり、8.3%はHER2陽性であった。トランス男性で14,883人年では4件の浸潤性乳がんがあり、シス女性と比して0.2倍であった。
評価
オランダのトランスジェンダーの95%をカバーするコホートの調査で、ホルモン療法を受けるトランス女性の乳がんリスクがシス男性の50倍にのぼることを明らかにした。絶対リスクは小さいものの、定期的なスクリーニングが必要な集団と認識されるべきである。