「黒人歯磨き粉」の中国語名とロゴを見直し 米日用品大手
米日用品大手コルゲート・パルモリーブは、同社傘下ホーリー&ヘーゼル(1933年香港で創業)の歯磨き粉ブランド「Darlie」について、人種的ステレオタイプに基づくものかどうか見直しを行っている。
同ブランドのパッケージには顔を黒く塗った男性の風刺画があしらわれ、「黒人歯磨き粉」を意味する中国語の名称でアジアの広い地域で販売されている。
歯磨き粉ブランド「Darlie」は、もともとは黒人を指す差別用語「Darkie」という名称だった。株主や複数団体からの圧力を受けて1989年に名称が変更されたが、ブラックフェイス(黒人以外が黒人を真似る黒塗り)のロゴはそのままになっていた。
「あらゆる側面を見直す」
コルゲートの広報担当はBBCに対し、「我々は35年以上にわたり、名称やパッケージの大幅な変更を含め、同ブランドを進化させるために連携してきた。現在我々のパートナーと共に、名称を含む同ブランドのあらゆる側面を見直し、さらに進化させるよう取り組んでいる」と述べた。
コルゲートは1985年、Darlieを生産するホーリー&ヘーゼルの株式の50%を5000万ドルで取得した。市場調査会社ユーロモニター・インターナショナルのデータによると、同ブランドは中国の歯磨き粉市場の17%を、シンガポールでは21%を、マレーシアでは28%を、台湾では25%を占める。
ミネソタ州で黒人男性ジョージ・フロイドさんが白人警官に首を圧迫されて死亡した事件や、「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められた「Black Lives Matter」運動によって人種的不公平に注目が集まり、米産業界は人種問題への取り組みを迫られている。
さまざまな会社が変更を検討
米ペプシコ傘下のクエーカー・オーツ社は17日、黒人女性のイラストをあしらったパンケーキミックスやシロップなどを展開している同社ブランド「アント・ジェマイマ」について、人種的ステレオタイプに基づくものだと認め、ブランド名を変更すると発表した。
米マース社も17日、1940年代から続く同社のパーボイルドライスのブランド「アンクル・ベンズ」について、変更を加える可能性を検討中だとした。
米南部では、アント(おばさん)やアンクル(おじさん)といった呼び名が、よりフォーマルな「ミス」や「ミスター」の代わりに黒人を指す言葉として使われていた。
イギリスでも、ビール醸造所グリーン・キング、保険組合ロイズ・オブ・ロンドン、ロイヤルバンク・オブ・スコットランド(RBS)やロイズ・バンキング・グループといった金融機関など多数の企業が、奴隷貿易とのつながりを認めるよう圧力を受けている。