ウクライナ、米長射程ミサイルを初使用 「秘密裏」に供与

ウクライナのゼレンスキー大統領は17日のビデオ声明で、長射程の地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」を米国から供与され、ロシア軍への攻撃に使用したことを明らかにした。米主要メディアは同日、米国やウクライナ当局者の話として、ウクライナ軍によるATACMSの使用は初だと指摘。計18発のATACMSが発射されたとも伝えた。

米メディアによると、米国は過去数日間にATACMSの供与を実施。発表すれば露軍が警戒し、装備をATACMSの射程外に移動させる可能性があったことから、供与は「秘密裏」に行われたという。

ゼレンスキー氏は声明で「米国に感謝している。バイデン米大統領との合意が正確に履行されている。ATACMSがそれを証明している」と述べた。ATACMSの発射数や攻撃目標などには言及しなかった。

ただ、ゼレンスキー氏の声明に先立ち、ウクライナ軍は17日、露軍の占領下にある東部ルガンスクと南部ベルジャンスクの飛行場を16日夜~17日未明にかけて攻撃し、ヘリコプター9機や防空システム、弾薬庫などを破壊したと発表。米メディアは、この攻撃にATACMSが使われたことを米当局者が暗に認めたと伝えた。

ATACMSは米国が供与済みの高機動ロケット砲システム「ハイマース」から発射可能で、射程は最大約300キロ。ウクライナが反攻作戦に必要だとして供与を求めてきた。バイデン米政権も露国内への攻撃には使用しないとの条件付きで供与する方針を固め、ゼレンスキー氏に伝達したと報じられていた。

米韓合同軍事演習で発射される地対地ミサイル「ATACMS」(韓国国防省提供・ゲッティ=共同)
米韓合同軍事演習で発射される地対地ミサイル「ATACMS」(韓国国防省提供・ゲッティ=共同)

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