高度先進医療
はじめに
高度先進医療は、新しい医療技術の出現や医療に対するニーズの多様化に対応して、先進的な医療技術と一般の保険診療の調整を図る制度です。
保険診療をベースとして、別に特別な料金を負担することにより、先端的な医療をうけやすくしようというものです。
この制度は昭和59年にスタートし、高度先進医療の種類、取り扱い病院ともに増加を続けていますが、普及性の高いものは、一般の保険診療に取り入れられてきています。
高度先進医療とは
<大学病院などで受ける>
平成18年4月現在で、承認された高度先進医療は101種類あります。そのいずれかを取り扱う病院は112で、各病院ごとに実施している高度先進医療を総計すると309件となっています。
高度先進医療を行う病院は、高度な技術を持つ医療スタッフと、質・量ともに十分な施設・設備が必要です。高度先進医療を取り扱うのは、専門家や関係審議会でこうした条件を満たしていると認められた病院に限られます。
条件を満たして高度先進医療の実施を承認された病院を「特定承認保険医療機関」といいます。その多くは大学病院ですが、病院ごとに取り扱う高度先進医療の種類が承認されることになっていますので、どこの病院でどんな種類の先進医療を受けられるか知っておくことがたいせつです。
<高度先進医療の特別料金を自費で負担>
高度先進医療を受けた時の費用は、次のように取り扱われ、患者は一般の保険診療の場合と比べて、高度先進医療の費用(特別料金)を多く負担することになります。
1.高度先進医療に係る費用(特別料金)は、患者が自費で負担します。特別料金は、医療の種類や病院によって異なります。
2.特別料金以外の、通常の治療と共通する部分(診察・検査・投薬・入院料等)の費用は、健康保険の一般の保険診療と同様に扱われます。
つまり、一般保険診療と共通する部分は特定療養費として保険給付され、高度先進医療に係る部分は自費負担となります。
《例》総医療費が100万円、うち高度先進医療の特別料金が20万円だったケース (家族の入院の場合)
- 高度先進医療に係る特別料金20万円は、全額を患者が負担します。
- 通常の治療と共通する部分は(診察、検査、投薬、入院料)、
-
- 健康保険(7割給付)で56万円が現物給付
- 一部負担(3割)として24万円を支払います。
- 健康保険(7割給付)で56万円が現物給付
高度先進医療を受けるとき
<保険証でかかる>
高度先進医療を受ける場合であっても、病院にかかる時の手続きは一般の保険診療の場合と同じで、被保険者証(老人医療対象者は健康手帳も)を窓口に提出します。
高度先進医療は、一般的な保険診療をうけるなかで、患者が希望し、医師がその必要性と合理性を認めた場合に行われることになります。
<説明を受けて納得の上で同意書署名>
高度先進医療を受ける時は、治療内容のあらましや、必要な費用などについて説明してもらいます。説明を十分に納得したうえで、同意書に署名をし、治療を受けることが大切です。
<領収書はたいせつに保管>
高度先進医療をうけると、高度先進医療にかかる特別料金、通常の治療と共通する部分についての一部負担金(自己負担金)、食事についての標準負担額などを支払いますが、それぞれの金額を記載した領収書が発行されます。
この領収書は、税金の医療費控除を受ける場合に必要となりますので、大切に保管してください。
特定療養費
特定療養費制度は、健康保険法等の改正法により、それまで、診療の中に保険が適用されないものが含まれると原則としてその診療全体が保険給付外とされていたのを改めて、新しい医療技術の出現や患者のニーズの多様化等に対応し高度先進医療や特別のサービス等について保険給付との調整を図るために創設されたものです。特定療養費の基本的考え方は、特に定められた特別のサービス(アメニティ部分)や高度医療を含んだ療養については、療養全体にかかる費用のうち基礎的部分については保険給付をし、特別サービス部分を自費負担とすることによって患者の選択の幅を広げようとするものです。
特定療養費については、特定承認保険医療機関における高度先進医療の他に、選定療養があり、その種類は、現在、次の通りです。
また、実際の自費負担にあたってはそれぞれにルールが定められています。
<選定療養>
- 特別の療養環境の提供
- 前歯部の材料差額
- 200床以上の病院の初診
- 予約診療
- 時間外の診療
- 金属床総義歯
- 医薬品の治験に係る診療
- 小児う触の治療終了後の指導管理
- 200床以上の病院の再診
- 医療機器の治験に係る診療
- 薬事承認後、保険収載前の医薬品に係る診療
- 180日間を超える入院
- 保険収載された新薬の適応外投与
- 薬事承認後、保険収載前の医療機器に係る診療
- 一定の要件を満たした医療機関における先進医療
- 制限回数を超えて受けた診療
また、特定療養費については、概略次のような取扱が定められています。
1.取扱医療機関の掲示
特別サービスのアメニティ部分などを自費負担することで、患者の選択の幅を広げようというものであり、この制度を取り扱う医療機関は、院内の患者の見やすい場所に特別サービスの内容と費用等について掲示をして、患者が選択しやすいようにする。
2.患者の同意
特定療養費制度による特別料金方式は、患者の自由な選択によるものであり、医療機関は、事前に治療内容や負担金額等を患者に説明をし、同意を得ることになっている。患者サイドでも、特別サービスについての院内掲示をよく見たり説明を聞くなどして納得したうえで同意することが必要となる。
3.領収書の発行
特定療養費に係る特別料金部分については、領収書を発行する。
特定承認保険医療機関
- 特定承認保険医療機関制度は、新しい医療技術の出現やニーズの多様化等に対応し、高度先進医療について保険給付との調整が図られたものです。
- 高度先進医療を提供する医療機関で、厚生労働省令で定める要件に該当し、特定承認保険医療機関として地方社会保険事務局長の承認を受けたものにおいて行われた高度先進医療については、その療養のうち、一般の療養と同様な基礎的な診療部分については、特定療養費として保険給付の対象となるものです。
○特定承認保険医療機関に関する告示及び通知について
○高度先進医療の承認申請書等について
○高度先進医療承認状況はこちら
(照会先) 保険局医療課