京都競馬場、改修前最後の開催 牡牝同時三冠なるか
10日から秋の京都競馬が始まる。この開催を最後に京都競馬場は改修工事に入り、2023年春までの長期間、開催休止となる。スタンド1棟が建て替えられるほか、名物だった円形のパドック(下見所)も見納めとなる。レースでは史上初の牡牝同時の三冠馬誕生なるかが見どころとなる。牡馬はコントレイル(3歳、栗東・矢作芳人厩舎)が25日の菊花賞(G1)に、牝馬はデアリングタクト(同、栗東・杉山晴紀厩舎)が18日の秋華賞(G1)に三冠達成をかけて出走する。
京都競馬場には1980年と99年に建った2棟のスタンドがあり、今回は老朽化が進む80年建築の方を建て替える。新たに高さ34メートルの地上6階建て、延べ床面積6万1千平方メートルのスタンドを建てるほか、99年建築についても内装や設備を改装する。
中央競馬では京都だけだった円形のパドックは、楕円形にする。日本中央競馬会(JRA)は「直線部分での馬の歩様を見てほしい」と、その理由を説明する。観客が雨にぬれずに済むよう、パドックの周囲には屋根も取り付ける。改築で見やすくなるのは確かだろうが、円形パドックは京都競馬場らしさを感じさせる名物だっただけに名残惜しい。
ほかにもレースの出走馬が使う厩舎などのバックヤードも一度、更地にし、建物の配置を見直したうえで改築する。芝、ダートコースの路盤も改修する。第3コーナーの坂など、なじみのコースレイアウトは変えない。「名勝負を生んできたし、現状がベスト」(JRA)と判断した。菊花賞の翌週、11月1日の開催を最後に長期の休止期間に入る。2023年の天皇賞・春が改修後、最初のG1となる予定だ。
長期休止の直前に、京都競馬場は過去にない大一番を迎える。18日の秋華賞ではデアリングタクトが史上初の無敗での牝馬三冠達成を狙う。春の2冠では同世代の牝馬には敵無しを印象づけた。秋華賞へは前走、5月24日の2冠目、オークス(G1、東京)から直行する。休養明けとなるが、近年はこうした臨戦過程で好走する馬も増えている。地力の高い同馬なら、問題無く好勝負できるだろう。
一方、牡馬のコントレイルは9月27日の神戸新聞杯(G2、中京芝2200メートル)で復帰。中団馬群から鋭く抜け出して勝った。「いまの競馬場で最後の菊花賞で、(三冠を)成し遂げたい」と矢作調教師は語る。菊花賞の距離3000メートルが三冠達成への課題だが、父ディープインパクトと親子2代続けての三冠となれば、これも史上初の快挙となる。
(関根慶太郎)