一筆多論

はびこる中国の権威主義 習近平氏は民主主義の衰退を狙っている 宇都宮尚志

 アジアに再び権威主義がはびこるのか-。このほど訪中したトランプ米大統領を明・清時代の宮殿「故宮(紫禁城)」でもてなし、皇帝のように振る舞った習近平国家主席の姿を見て、そう感じた。

 習氏は10月の共産党大会で「習近平による新時代の中国の特色ある社会主義思想」を党規約に盛り込み、自らを毛沢東や鄧小平に並ぶ指導者に位置づけた。

 中国では言論弾圧が一層強化され、思想の統一が進んでいる。幼稚園児すら習氏の演説を聞かされ、公園ではお年寄りが習氏をたたえる歌を歌うなど、文革時代さながらの光景が再現されているという。

 習氏には一人のブレーンがいる。今回の党大会で政治局常務委員に選出された王●寧(おう・こねい)氏(序列5位)だ。黒子に徹し、表舞台に出ることがなかった同氏だが、彼こそ「習思想」を支える党の「知恵袋」だ。トランプ大統領の顧問を務め、今も影響力を持つスティーブン・バノン前首席戦略官にも例えられる。

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