AGARAKiiLifeみかんKiiSearch

養殖スマ、販売へ向け出荷作業 ブランド名「海の三ツ星」

 和歌山県水産試験場(串本町)などが人工的に産卵させて育てた「スマ」(サバ科)の16日からの販売に向けて15日、串本町大島の大島漁港で出荷作業が行われた。胸びれ下腹部にあるおきゅうの痕のような黒く小さい点を星に見立て「海の三ツ星」のブランド名で県内外の3カ所で販売される。

 スマは通称「ヤイト」「ヤイトガツオ」と呼ばれる小型のマグロ類。身はピンク色で「全身トロ」といわれるほど美味とされるが、ほとんど市場に出回らないという。

 養殖業の低迷を受け、試験場が東京海洋大学と串本町の養殖業者「丸東」と協力し、2012年度から研究を進めてきた。

 この日は、大島漁港から約100メートルの所にある16メートル四方のいけすで、丸東のスタッフが釣りざおを使ってスマを釣り上げた。14年8月に試験場でふ化し、10月にいけすに移されたもので現在は1・5キロ〜2キロ、全長約50センチに育ち、約50匹いる。和歌山市の和歌山マリーナシティ黒潮市場用に10匹釣り上げ、鮮度を保つために素早く締め、氷水に漬けて陸に運んで梱包(こんぽう)した。

 出荷先は黒潮市場以外に日本橋三越本店内の「吉川水産」(東京)、阪急うめだ本店の「まぐろ寺本」(大阪)。高級マグロに匹敵する価格帯で取引される見込み。

 県水産試験場増養殖部の白石智孝副主査研究員(36)は「丸々大きくなってうれしい限り。今後は事業ベースに持っていくため、各工程の低コスト化や生存率の向上などを目指したい。県ならではのスマを全国にPRし、新たな水産業として盛り上げていきたい。次の出荷は来季の今ごろで、この時が完全養殖での出荷となる」と話した。

■「全国初」先越され 県の養殖スマ販売

 県が12日、「全国初」と銘打って発表した、人工的に産卵させた養殖スマの販売について、愛媛県が1日早くリードしていたことが分かった。

 和歌山県は16日に、東京の日本橋三越本店、大阪の阪急うめだ本店、和歌山市の和歌山マリーナシティで販売すると発表した。一方、愛媛県産養殖スマは15日から、大阪市の阪神百貨店梅田本店で数量限定での試食販売を開始した。16日まで2日間の予定。

 県農林水産部の鎌塚拓夫部長は「残念。愛媛県でも研究をしていることは知っていたが、愛媛県のスケジュールは知らなかった」と話した。


【水揚げされたスマ(15日、和歌山県串本町大島で)】

更新)


ロード中 関連記事を取得中...