ツイッター、新SNS「スレッズ」めぐり提訴の構え

バーンド・デバスマン・ジュニア、BBCニュース(ワシントン)

Person holding phone with Threads app.

画像提供, EPA

ソーシャルメディア「ツイッター」を運営する米企業「X」は5日、米メタ社が同じ日に提供を開始したソーシャルメディア「スレッズ」について、提訴する姿勢を示した。「スレッズ」はツイッターに似た仕様と機能で、ツイッターに代わる「フレンドリー」なサービスだとメタ社幹部は説明している。

メタ社によると、6日までにすでに3000万人以上が「スレッズ」に登録したという。

これについて「ツイッター」を所有する米富豪イーロン・マスク氏は、「競争は結構だが、ズルはだめだ」と述べた。しかしメタ社は、旧ツイッター社のスタッフがスレッズ開発を手伝ったというマスク氏側の主張は、事実と異なると反論している。

米ニュースサイト「Semafor」が最初に伝えた内容によると、ツイッター社からツイッターの運営を継承した「X」社のアレックス・スパイロ弁護士は5日、メタ社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)に書状を送り、メタがスレッズを開発するために「ツイッターの営業秘密など知的財産を、体系的かつ意図的に、ならびに違法に不正流用している」と批判した。

スパイロ弁護士はさらに、メタ社がスレッズ開発のために数十人の元ツイッター社員を採用したと主張。この元社員たちは「ツイッターの営業秘密や、社外秘できわめて機密性の高い企業情報を知り得る立場に、かつても今もあった」ことから、究極的にメタ社が、ツイッターを「模倣」してスレッズを開発できたのは、こうした元ツイッター社員の協力があったからこそだとしている。

「ツイッターは自らの知的所有権を厳密に履行する方針で、ツイッターの営業秘密や機密性の高い情報の使用を、メタがただちに中止することを要求する」、「ツイッターはすべての権利を留保する。これには、今後通告なく民事上の救済措置と差し止め命令を請求する権利も含まれる」と、同弁護士は書いている。

BBCニュースはこの書状の写しを確認したうえで、メタとツイッターの双方にコメントを求めている。

マスク氏は弁護士の書状に言及したツイッターでの投稿に答える形で、「競争は結構だが、ズルはだめだ」と書いた。

スレッズ上ではメタ社の広報担当、アンディ・ストーン氏が「スレッズのエンジニア・チームには、ツイッター社の元従業員は1人もいない。まったく話が違う」と書いた。

マスク氏もザッカーバーグ氏も、スレッズについてお互いがライバル関係あることを認めている。

スレッズはメタ社の先行アプリ「インスタグラム」のアカウントにひも付けて、アカウントを登録する仕組みになっているが、独立したアプリとして機能する。

スレッズの提供を100カ国以上で開始すると共に、ザッカーバーグ氏は約11年ぶりにツイッターに投稿した。投稿したのは、「ほぼそっくりの『スパイダーマン』同士がお互いを指さしている図」という非常に有名なインターネット・ミーム(インターネットで拡散されてきた図)で、ツイッターとの対決姿勢を示したものとされている。

それから間もなくして、「スレッズ」という単語がツイッター上で世界的にトレンド入りし始めると、マスク氏は「痛みを隠すインスタグラムの偽りの幸せに浸るより、ツイッターで見知らぬ人たちから攻撃される方がはるかにましだ」と反応した。

ツイッターのリンダ・ヤッカリーノ最高経営責任者(CEO)は6日、「私たちはしばしばまねされてきた。しかし、ツイッターのコミュニティーは決して複製できない」と書いた。

ツイッターはかつて、月間2億6000万人が利用するとされていた。

メタもツイッターもそれぞれ今年に入り、大規模な人員削減を実施している。メタは今年4月、1万人を解雇する方針を発表した。

ツイッターはマスク氏による昨年10月の買収を契機に、それ以前の従業員7500人の8割に達する人数を、相次ぐ人員削減で減らしていった。