電通女性社員自殺

「残業隠し」過少申告を指導 全社的な隠蔽工作か 労働局が調査

 昨年12月に過労自殺した電通新入社員の高橋まつりさんが、労使協定で決められた残業時間(所定外70時間)内に収まるように、勤務時間を勤務表に過少申告するよう指導された疑いがあることが20日、分かった。東京労働局は、電通が残業時間をごまかすために全社的な隠蔽工作がなかったかどうか調べている。

 関係者によると、電通の社員は勤務表をパソコンで入力。始業と終業の時間を自己申告し、上司が承認して管理している。申告に基づく高橋さんの残業は、自殺する直前の昨年10月が「69・9時間」、同11月が「69・5時間」で、労働組合との取り決め上限である「70時間」のぎりぎりで記載されていた。

 しかし、遺族側弁護士が、自動的に記録される入退館ゲートのデータを基に集計した残業は、月に130時間を超えることがあった。弁護士は「残業が70時間を超えると、正確に申告がなされなくなっていた。指導があったとみられる」と指摘する。

 三田労働基準監督署(東京)は、昨年11月上旬に高橋さんが鬱病を発症したと判断し、発症前の1カ月(昨年10月9日〜11月7日)の残業を「105時間」と認定、勤務表の記載時間とは大きく乖離(かいり)している。

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