海がきこえる/ゲド戦記
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海がきこえる/ゲド戦記

「コクリコ坂から」公開前夜に贈るジブリのキラめく才能を満喫できる4時間!

思春期の少年・少女の複雑な心の動きを描く意外な共通点を持った2作品を一気観!!

海がきこえる/ゲド戦記 7月16日の「コクリコ坂から」公開前夜の「金曜特別ロードショー」は、日本テレビ開局40周年に製作された伝説の名作アニメ「海がきこえる」と、「コクリコ坂から」の宮崎吾朗初監督作「ゲド戦記」を豪華2本立てでお届け! 「ゲド戦記」は超高画質でのテレビ初放送だ。

「海がきこえる」は、「月刊アニメージュ」に連載された氷室冴子の小説が原作。高知の高校を卒業し東京の大学に進学した拓と、彼の親友の松野、自由奔放な転入生の里伽子の淡い三角関係を描いた青春ラブストーリーだ。ワガママで自分勝手だが時折弱い面を見せる、まさにツンデレ系のヒロイン・里伽子。そんな里伽子に翻弄されるうちに、彼女に対する松野の思いを知りながらも彼女に惹かれていく拓。2人の心の揺れ動きとすれ違いが、水彩画のような淡いタッチで描かれる。監督の望月智充は、「魔法の天使クリィミーマミ」など青春アニメで高い評価を受ける実力派。大学生の現在と中学・高校時代の思い出をカットバックで見せる手法や、時にそれぞれのキャラクターの目線で風景を切り取るカット割り、カメラの置かれる位置も独特で思わず目をひかれる。また、原作の雑誌連載時に挿絵も担当した作画監督の近藤勝也、「となりのトトロ」をはじめ宮崎駿作品の背景を手掛ける男鹿和雄を師と仰ぐ美術監督の田中直哉ら、その後のジブリを背負って立つ若手アニメーターが飛躍するきっかけとなった作品でもある。物語が瑞々しく透明感にあふれているのは、作品のテーマのせいだけではなく、彼らの若さが担った部分も大きいだろう。

海がきこえる/ゲド戦記 一方の「ゲド戦記」は、宮崎駿もアニメ化を熱望したアメリカを代表するファンタジー作家、アーシュラ・K.ル=グウィンによる原作を独自に再構成した意欲作。世界のバランスが崩れ、生きるすべての者が「自分」を見失いつつある世界が舞台だ。自らが生みだした闇に脅え、父王(小林薫)を殺した青年・アレン(岡田准一)と、顔にあざを持つ少女テルー(手嶌葵)。偉大な魔法使い・ハイタカ(真の名はゲド。声は菅原文太)に導かれ、2人が世界を救うために悪の魔法使い・クモ(田中裕子)に立ち向かう! 恐怖や憎しみの連鎖が生む心の闇。その闇に光を当てることができるのは、自らの成長でしかないという思春期の青年に向けた普遍的なテーマを、内向的なアレンの心象風景に沿って丁寧に描き出している。若い才能を育てたいという思いから、宮崎吾朗監督がかつての“マンガ映画”の画の動きを追求。冒頭の竜の飛行シーンや、塔の底が抜けるクライマックスなど、見どころが満載だ。

パステル調の「海がきこえる」と油絵のような「ゲド戦記」では、一見作風も物語のテーマも異なるように見えるが、実は大きな共通点が。主人公がちょっと屈折した思いを抱いている思春期の少年少女であること。美しい海を舞台にしていること。原作者が女性であること。そして鑑賞後にスッキリと前向きな後味を与えてくれること。そんな2作品を同時に見比べることができるというのは、ジブリファンにとって非常に幸運な出来事に違いない。

そしてなにより、海の近くに住む高校生が、自分の生きる道を模索して葛藤する姿を描く新作「コクリコ坂から」とも共通点が多数。劇場に足を運ぶ前にこの2作を観ておけば、「コクリコ坂から」を何倍も面白く体験できること請け合いだ!

中学から高校へ、3人の男女の揺れる恋心と友情を描き出す「海がきこえる」

海がきこえる/ゲド戦記 高知の中高一貫の私立学校から都内の大学に進学した杜崎拓(飛田展男)。高校の同窓会が開催されることになり、拓は久しぶりに実家に帰ることに。そんな彼の脳裏に、かつての淡い恋の思い出がよみがえってくる…。

中学校3年生の時、拓はある男と出会った。進学率のダウンを懸念した学校側が、一方的に修学旅行の中止を発表。学校サイドの無謀なやり方に堂々と反旗を翻したのが、拓とその彼だったのだ。男の名は松野(関俊彦)。互いに似た価値観を持つ2人は、あっという間に親友に。そしてある日、拓は松野からクラスメイトの里伽子(坂本洋子)を紹介される。彼女は両親の離婚の都合で東京からやってきた転入生で、クラスに打ち解ける気がハナからないらしい。松野が彼女に惹かれていることを知り、拓は複雑な思いを抱く。

海がきこえる/ゲド戦記 その後、結局予定通り開催された修学旅行でハワイを訪れた拓たち。そこで財布をなくしたという里伽子に拓はお金を貸してあげる。拓にとって決して少なくない金額だったが、お金は返ってこないまま迎えた高校3年生のゴールデンウィーク。拓の家に、クラスの女子・小浜(荒木香恵)から突然電話がかかってきた。里伽子とコンサートに行くはずが、彼女が突然東京に行こうと言い始めて困っているというのだ。仕方なく空港に向かった拓は、成り行きで里伽子と一緒に東京に行くはめに。しかし、里伽子の父親は既に別の女性と暮らし始めていて、結局拓と里伽子は父親の手配したホテルで一夜を明かすのだが…。

次第に高まって行く里伽子への拓と松野の恋心。しかし、3人の思いはすれ違い続けたまま時間だけが過ぎていく。3人の恋と友情の行方は…?

自らの命と使命に向き合うことになる青年の苦悩と成長を描いた「ゲド戦記」

海がきこえる/ゲド戦記 古代から伝わる「真の名」を操ることで相手を支配できる…そんな魔法の力が強く存在している多島海世界「アースシー」。その世界の均衡が失われつつあった。人間界に現れるはずのない竜が共食いを始め、船を操る風の司は海と風の真の名を思い出すことができない。人々はまがい物に心を奪われ、職人は自らの技を忘れて仕事ができなくなってしまう。

偉大な魔法使いの“大賢人ゲド”ことハイタカ(菅原文太)は、世界の均衡を崩した元凶を探る旅の途中、狼に襲われそうな青年・アレン(岡田准一)を助ける。エンラッドという国の王子であるアレンは、正体不明の恐怖心に駆られて父王(小林薫)を殺め、国から逃げ出したのだった。2人は美しい港町ホート・タウンへと旅を進めるが、そこもまた、奴隷の売買が横行する荒れ果てた都市へと変貌を遂げていた。

海がきこえる/ゲド戦記 ふとしたキッカケで自暴自棄になるアレンを救うため、ハイタカは昔馴染みのテナー(風吹じゅん)のもとへ。彼女の家には、顔にあざを持つ真っ直ぐな瞳の少女、テルー(手嶌葵)が住んでいた。そこで畑仕事や家畜の世話をするうち、世界の成り立ちを学んでいくアレン。命を大切にしないアレンに強い嫌悪感を持っていたテルーも、少しずつ彼の存在を認めるように。

そんな折、世界の均衡を崩しているのが、かつてハイタカが怒りに任せて酷い目に合わせた魔法使い・クモ(田中裕子)だと知ったハイタカ。クモはハイタカへの復讐を遂げるために周到な計画を巡らせていた。闇に囚われたアレンを自らの城へおびき寄せ、手下のウサギ(香川照之)を使ってテナーを誘拐するクモ。ハイタカは彼らを救出に向かうが…!

圧倒的な力でハイタカとアレンに襲いかかるクモ。彼らはクモの呪縛から逃れ、世界に均衡を取り戻すことができるのか!?

海がきこえる

キャスト

<杜崎拓>
飛田展男
<武藤里伽子>
坂本洋子
<松野豊>
関俊彦

スタッフ

<原作>
氷室冴子(徳間書店刊)
<脚本>
中村香
<監督>
望月智充
<作画監督>
近藤勝也
<美術監督>
田中直哉
<音楽>
永田茂
<主題歌>
「海になれたら」
作詞:望月智充 作・編曲:永田茂 歌:坂本洋子
ゲド戦記

キャスト

<アレン>
岡田准一
<テルー>
手嶌葵
<クモ>
田中裕子
<ウサギ>
香川照之
<テナー>
風吹ジュン
<ハジア売り>
内藤剛志
<女主人>
倍賞美津子
<王妃>
夏川結衣
<国王>
小林薫
<ハイタカ(ゲド)>
菅原文太

スタッフ

<原作>
アーシュラ・K.ル=グウィン「ゲド戦記」
(清水真砂子訳・岩波書店刊)
<原案>
宮崎駿「シュナの旅」(徳間書店刊)
<監督>
宮崎吾朗
<脚本>
宮崎吾朗
丹羽圭子
<音楽>
寺嶋民哉
<作画演出>
山下明彦
<作画監督>
稲村武志
<美術監督>
武重洋二
<色彩設計>
保田道世
<デジタル作画監督>
片塰満則
<映像演出>
奥井敦
<主題歌>
「時の歌」
作詞:新居昭乃 宮崎吾朗 作曲:新居昭乃 保刈久明 編曲:寺嶋民哉 歌唱:手嶌葵
<挿入歌>
「テルーの唄」
作詞:宮崎吾朗 作曲:谷山浩子 歌唱:手嶌葵
(シングル・アルバム「ゲド戦記歌集」/ヤマハミュージックコミュニケーションズ)
(サントラ/徳間ジャパンコミュニケーションズ)