大相撲名古屋場所で綱取りに挑む大関稀勢の里に対する不満がくすぶっているという。今や関取衆の3分の1以上を占める外国出身の力士たちだ。
事情に詳しい角界関係者はこう明かした。
「夏場所で優勝していない稀勢の里が、どうして今場所で綱取りになるのか。そこに疑問を感じている外国人力士の数は少なくない」
横綱昇進の条件は「大関で2場所連続優勝」または「準ずる成績」。しかし実際には、1990年の旭富士(現伊勢ヶ浜親方)以降に誕生した8人の横綱全員が2場所連続優勝で昇進している。双羽黒が一度も優勝しないまま廃業となり、基準が厳格化されたためだ。
稀勢の里も今場所優勝して初めて綱取りの挑戦権を得るのが、本来の流れのはず。今回の“基準緩和”の背景には、和製横綱の誕生を人気回復の起爆剤にしたい相撲協会の思惑も見え隠れする。厳格すぎる基準が和製横綱の誕生を阻んできた経緯もあるだけに、日本人ならば心情的に「柔軟な姿勢」と受け止められなくはない。
ただ、相撲を「スポーツ」として捉える傾向が強い外国人力士の目には「突然のルール変更」と映っていることも事実のようだ。ちょうどスキー・ジャンプなどの五輪競技で、日本人選手にとって不利なルールが導入されるように…。
しかも稀勢の里といえば、大関取りの際にも「3場所合計33勝」の目安に1勝足りない成績で昇進を果たした前例もある。実際、外国人力士の間では「12勝でも優勝すれば横綱に上げるのでは」との臆測が、まことしやかに飛び交っているという。
稀勢の里には全く非はないことに加え、もちろん外国人力士の全員が同じ意見というわけではない。とはいえ、周囲で不満がくすぶっていることは確か。対戦相手の中には、全力で潰しにくる力士もいるだろう。思わぬタイミングで浮上した横綱昇進基準の「緩和問題」。稀勢の里が“満場一致”で横綱になるためには、誰もが納得できる内容と結果で優勝するしかなさそうだ。
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