本日、国際環境保護団体グリーンピース・ジャパンは「日本政府による捕鯨票買いチェックリスト」(PDFファイル,184KB)と題するレポートを発表し、1994年度から現在までに、日本から「水産無償資金協力」というODA(政府の途上国援助)がどの国に渡り、その資金が2006年の国際捕鯨委員会での投票行動、特に日本の捕鯨を推進するという主張がはじめて過半数を獲得した「セントキッツ宣言」に影響を与えた可能性を明らかにした。

このレポートは、2月13日より15日まで、日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)を「正常化」するという趣旨の任意会合を東京の三田で開くことにあわせ発表したもの。レポートでは、2006年、日本とセントキッツ宣言に賛成した国々が「水産無償資金協力」による利害関係を強く持っており、そのため日本政府の言う「正常化」は本当の意味でのIWCの正常化ではないことを指摘している。

「日本政府による捕鯨票買いチェックリスト」の主な内容は以下のとおり:

昨年のIWCで日本の主張が過半数を獲得した「セントキッツ宣言」に賛成票を投じた33カ国中22カ国が、合計約564億円(1994年度から現在までの合計)の水産無償資金を受け取っている。
アフリカ諸国では11カ国中9カ国、太平洋諸国では6カ国中5カ国、そして中南米諸国では8カ国中8カ国が資金を受け取っている。
33カ国のうちで、国民が商業捕鯨に賛成しているかどうかの世論調査データが存在する国々は11ヵ国。そのうち日本とグレナダを除いた9カ国で商業捕鯨に反対が多数を占めている。
IWCに加盟していないアルジェリアに2005年度と2006年度と2年度続けて合計5.94億円の水産無償資金が渡っている。また、すでにIWCに加盟し、もともと捕鯨には反対であったが2006年のIWCで加盟金を支払わず投票ができなかったペルーも2006年度にはすでに2度にわたり合計13.2億円の水産無償資金協力を受けている。この2カ国に日本政府がIWCへの加盟、IWCでの投票方針の変更を勧めている可能性もある。
「昨年セントキッツ宣言に賛成した国々は、それぞれの国の世論を代表して捕鯨問題を考えているのではなく、資金協力という利害関係のためにこの会合に参加していることが明らか」とグリーンピース・ジャパンの海洋生態系問題担当部長の佐藤潤一は語り、「IWCが機能不全に陥っており、正常化が必要なことは同意する。ただ、まず、日本を含めたそれぞれの国の捕鯨に対する世論が反映されるような状態にすることが本当の意味での“正常化”だろう」と続けた。

13日からの「正常化」会合にはグリーンピースのスタッフも2名オブザーバーとして参加する予定。
また会合2日目の2月14日にはバレンタインデーにちなみ、会合参加国代表に地球環境への愛情を取り戻してもらおうと「捕鯨から保護へ、これが本当の正常化」とのメーッセージを伝えることにしている。

グリーンピース・レポート「日本政府による捕鯨票買いチェックリスト
~水産無償資金協力とセントキッツ宣言の関係~」 (PDFファイル,184KB)をご覧ください。

参考サイト: グリーンピース・ジャパンのくじラブアイコン「くじラブ・キャンペーン」サイト 

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