butyric acidとは? わかりやすく解説

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酪酸

分子式C4H8O2
その他の名称n-酪酸、ノルマル酪酸、Butyric acid、Butanoic acid、n-Butyric acidnormal Butyric acid、3-Methylpropionic acid、3-Methylpropanoic acid
体系名:3-メチルプロパン酸、ブタン酸、酪酸、3-メチルプロピオン酸


酪酸

(butyric acid から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/07/20 16:33 UTC 版)

酪酸
略称 C4:0
識別情報
CAS登録番号 107-92-6
KEGG C00246
特性
化学式 C4H8O2
モル質量 88.11 g mol−1
示性式 CH3(CH2)2COOH
外観 無色油状液体
密度 0.96 g/cm3, 液体
相対蒸気密度 3 (空気=1)
融点

−7.9 ℃

沸点

164 ℃

危険性
安全データシート(外部リンク) ICSC 1334
関連する物質
関連する異性体 イソ酪酸
出典
国際化学物質安全性カード
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

酪酸(らくさん、: butyric acid英語発音: [bjuːˈtɪrɪk ˈæsɪd])、IUPAC名ブタン酸 (: butanoic acid) もしくはn-ブタン酸 (: n-butyric acid) は、分子式 C4H8O2、示性式 CH3(CH2)2COOH の直鎖カルボン酸である。構造異性体イソ酪酸 (CH3)2CHCOOH がある。

哺乳類は極微量でも酪酸の臭いを探知することができ、イヌでは 10 ppbヒトでも 10 ppm まで感知することができる。特有の不快臭を有する。

性質

酪酸は、常温において pKa 4.82 の弱酸で、類似化合物の酢酸は pKa 4.76 である[1]。酪酸の密度は 0.96 g/cm3 で、分子量は88.11 である。したがって純粋な酪酸は 10.9 mol/L である。常圧において、融点 −7.9 ℃、沸点 164 ℃ であり、常温常圧では、無色の油状の液体として存在する。

カルボキシ基を持つためとはよく混和するのに対して、食塩水には溶けにくいことから、酪酸水溶液に多量の食塩を加えると分離することができる。

酪酸は特有の不快臭を有し、また揮発性がそれほど高くないため、一旦建物の壁や柱に酪酸が染み付くと、リフォームを施してもなかなか臭いが取れない。

存在

バターから得られたので、ラテン語でバターを意味する「butyrum」から、酪酸「butyric acid」の名で呼ばれるようになった。

天然に広く分布しており、脂肪酸の分解過程で生合成される。また、体外へと分泌される皮脂にも含まれており、蒸れた足などから発せられる悪臭の原因物質の1つでもある。他に、同じく体外へと分泌される乳汁を原料としたバターやチーズなどにも含まれている。植物にも含まれ、例えば、銀杏の異臭の原因でもある。

さらに、微生物によって酪酸が作られる場合もある。例えば、哺乳類の大腸反芻胃では細菌が食物の中のセルロースヘミセルロースを嫌気醗酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが草食性動物の体内では重要なエネルギー源となっている。消化管から吸収された酪酸は、β酸化によりアセチルCoAに分解され、クエン酸回路によりエネルギー源として利用される。なお、大腸内で産生された酪酸は、結腸の細胞で優先的にエネルギー源として利用される[2]。酪酸は、腸管増殖因子として作用し、抗炎症作用を有し、傷害腸管の修復にも関与している[3]

合成

工業的にはブタノールブチルアルデヒドの酸化によって作られている。また、酪酸エチル、酪酸イソアミルなどのエステルパイナップルの香気成分(香料)として知られる。

危険性

皮膚粘膜に対する腐食性があり、水生生物に有害である。ICSCでは「漏洩物処理」項目で、環境中へ無処理での放出を禁じている。消防法に定める第4類危険物 第3石油類に該当する[4]

関連項目

  • トリブチリン英語版 - グリセロールと酪酸がエステル結合した構造の脂肪。バターに含まれる。
  • ブタン - 酪酸の炭素骨格。酪酸とは異なりカルボキシ基を持たないため、融点沸点ともに酪酸よりも低い。
  • コハク酸 - 別名、ブタン二酸。つまり、酪酸分子の炭化水素側の末端もカルボキシ基になった構造をしている。
C3:
プロピオン酸
飽和脂肪酸 C5:
吉草酸

出典

  1. ^ Adimix Sodium Butanoate information.
  2. ^ Keith A. GARLEB, Maureen K. SNOWDEN, Bryan W. WOLF, JoMay CHOW, 田代 靖人訳、「発酵性食物繊維としてのフラクトオリゴ糖の医療用食品への適用」『腸内細菌学雑誌』 16巻 1号 2002年 p.43-54, doi:10.11209/jim1997.16.43
  3. ^ 佐々木 雅也ほか、「腸管細胞増殖と腸管フローラ」、『腸内細菌学雑誌』2005 年 19 巻 1 号 p. 1-8、doi:10.11209/jim.19.1
  4. ^ 法規情報 (東京化成工業株式会社)


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