Suite B-Dur BWV 819とは? わかりやすく解説

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バッハ:組曲 変ホ長調

英語表記/番号出版情報
バッハ組曲 変ホ長調Suite B-Dur BWV 819作曲年: about1725-29年  出版年1866年  初版出版地/出版社Peters 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 アルマンド Allemande7分00 No Image
2 クーラント Courante2分00 No Image
3 サラバンド Sarabande3分30秒 No Image
4 ブレ Bourrée1分40 No Image
5 メヌエット I & II Menuet I & II 2分30秒 No Image

作品解説

2007年11月 執筆者: 朝山 奈津子

5楽章アルマンドクーラントサラバンドブレメヌエットI・IIトリオ

 この作品は《組曲イ短調 BWV818》と同じく組曲集に採用されなかった組曲ではないか考えられる確証得られないが、おそらく《イギリス組曲》を終えたのち、《フランス組曲》をまとめるまでに書かれたようだ。しかし音楽内容は、BWV818が古い方を向いているのに対し、BWV819は《フランス組曲後半、特に第6番あたりと似通っている。これが《フランス組曲》すなわち「前奏曲持たない組曲集」の候補作であったという根拠は、バッハ時代作られ2種類の手稿資料において、6曲セット組曲集のひとつとして、またゲルバーの手稿譜では組曲集の第8番として(BWV818とともに置かれていることにある。また、バッハはBWV819にも改訂加えアルマンド新たに作曲しなおしている。結局これが組曲集に入らなかったのは、調ツィクルスとして同じくEs-Durの第4番競合したこと、あるいはまた、BWV819が全体第6番似ていたためかも知れない
 現在BWV819aという作品番号通用しているものは改訂稿セットのことである。旧来新しアルマンドのみを指していたが、今では改訂され全体を表す。

 アルマンド改訂によって大きく変わったが、とりわけ半音階趣味が目立つようになった前半7-11小節などは、いささかわざとらしさすら感じさせる。しかしよく見れば、この4小節7度転回対位法になっているまた、第3小節と第5小節鏡像関係にある。後半は第20-21小節にやはり7度転回が起こる。こうした模倣は、ごく短い和声定型の中で行われる技法実験のようなのである息の長い独立したパッセージ形成しないので、意識してなければ聴き手にはもちろん弾き手にも見過ごされてしまうだろう
 これに対し初期稿平易簡明だが、摸続進行にやや退屈さがある。これを解決するため、八分音符動機随所に付けられた装飾音工夫せねばならない
 クーラントは2分の3という異例拍子書かれている八分音符の連付け方は4×3であるが、実際リズム6×2のところが多い。すなわち、この曲全体2拍子系の複合拍子である。第3小節、第9小節など右手八分音符の4×3左手四分音符の3×2となっているようなところも、別段ヘミオラというわけではない。変則的なリズム意識して仕掛けた作曲者遊びということができる。
 サラバンドトリオ・ソナタ風、すなわち左手弦楽器よるバス、右が2つ旋律パートとなっている。前打音はあまり鋭くならないように、書かれ音符同じだけの重み感じて奏さねばならないだろう。
 ブレには明らかに、《イギリス組曲》と《フランス組曲》の中間の様式顕れている。すなわち、四分音符刻み支配的な古いタイプのものと、無窮動八分音符特徴的なタイプ過渡期である。《フランス組曲第5番第6番などのブレでは、♩ ♫のブレ特有のリズム八分音符走り回るような動機同一声部に短い周期交互に現れ、さらに両手とも八分音符パッセージに加わるところがかなりあるが、《イギリス組曲》では、四分音符刻みどちらか声部が必ず保持する上、交代周期長い。BWV819aのブレ見事にこの中間のスタイル取っており、すなわち八分音符ブレリズム応じたり、両手ブレリズム奏したりしつつも、四分音符刻みがまだかなり残っている。
 この組曲2つのメヌエット締めくくられる。Es-DurのメヌエットIに対しトリオにあたるメヌエットIIはなんとフラット6つのes-Mollである。《平均律クラヴィーア曲集》を別とすれば、この調で書かれ鍵盤曲はバッハには他にない。あるいは他の調で書かれた曲を移調したのかも知れない
 バッハ改訂に際してもこの組曲ジーグ加えていない。メヌエット鍵盤組曲閉じることは当時それほど異様なことではなかった。とはいえ、《フランス組曲》にはアルマンドクーラントサラバンド-(挿入舞曲)-ジーグ定型破ったものがひとつも無いことを考えると、BWV819が加えられなかった理由はここにもあるのかも知れない




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