サプフィル-21
RP-21
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/31 08:57 UTC 版)
一方、これらの防空軍における状況とは別に、ソ連空軍は、前線戦闘機として1959年よりMiG-21Fシリーズの運用を開始していた。MiG-21FシリーズはMiG-21の第1世代にあたるもので、比較的簡素なSRD-5Mレーダーしか備えておらず、基本的には昼間戦闘機であった。 しかし1950年代後半から1960年代にかけての時期、戦闘機に全天候能力は必須であると考えられるようになりつつあった。これを受けてミコヤーン・グレーヴィチ記念設計局は、MiG-21にTsD-30シリーズを搭載することを検討しはじめた。まずテストベッドとしてYe-7が試作され、続いて全規模試作機としてMiG-21F-13をもとにMiG-21P-13が設計された。これらの成果を踏まえて、最終的には操縦席後方に膨らみを設けて燃料搭載量を補ったMiG-21PFが初の量産型となった。 MiG-21P/PFの搭載したレーダーは、RP-9UKと同じTsD-30TPであり、これは間もなくRP-21U(РП-21У)として制式化された。TsD-30TP/RP-21Uは、戦闘機大の目標に対する最大捜索距離は 20 km、捕捉距離は 10 km であるとされていたが、実運用においては、それぞれ 13 km と 7 km に短縮した。動作モードとしては、捜索、捕捉、追尾、照準の4つがある。運用される武装は、当初はSRD-5Mと同様に、赤外線ホーミング式のK-13A空対空ミサイル(制式名: R-3S、NATO名: AA-2A)のみであったが、のちに就役した改良型のTsD-30TK(制式名: RP-21M、NATO名: スピン・スキャンB)では、さらにセミアクティブ・レーダー・ホーミング(SARH)式のK-13R(制式名: R-3R、NATO名: AA-2B)とK-5が追加された。なお、TsD-30TK/RP-21Mの輸出版としてRP-21MA(ワルシャワ条約機構諸国向け)およびRP-21ML(それ以外)がある。 TsD-30/RP-21シリーズは、第1世代のMiG-21(MiG-21Fシリーズ)で搭載されていたSRD-5Mレーダーと比べると、探知距離など性能面ではあらゆる面で向上していた。しかしながら、MiG-21の狭隘なノーズコーンによる制約により、その性能を十分に発揮することは難しかった。第3世代のMiG-21であるMiG-21S以降においては、より先進的なRP-22によって代替されている。また、後継機種のMiG-23においては、さらに性能を向上させたRP-23(サプフィール23、Сапфир-23)が搭載されているが、輸出版の一部では、RP-21が搭載された。
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