Nextz
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/26 23:00 UTC 版)
Nextz(ネクスツ)は、愛知県安城市に本拠地を置く、愛知県とその周辺の若手技術者を中心とした人力飛行機製作チーム「Team'F'」によって開発され、運用されている人力飛行機。速度競技専用[解説 1]に開発された人力飛行機であり、2012年10月22日に日本初となる国際航空連盟(FAI)規定に基づく閉回路飛行速度記録を樹立した。2012年12月現在における日本航空協会(JAA)公認の人力飛行機による閉回路飛行速度の日本記録保持機である[3]。また、2010年に開催された第33回鳥人間コンテスト選手権大会(以下、鳥人間コンテスト)人力プロペラ機タイムトライアル部門[解説 2](以下、タイムトライアル部門)の優勝機である[4]。JAA公認記録上の機体名は「F-01T Nextz」[3]。 機体名には「新たな時代の始まり」という意味が籠められている[5]。
解説
- ^ Nextzの三面図には「Human Powerd Air Racer」即ち人力エアレーサーと記述されている。[1][2]
- ^ 2006年に開催された第30回大会から導入された競技。人力飛行機を用いて湖上に設置されたターンマークと称するブイを旋回し、帰還するまでの時間を競う。
- ^ FAI規定によると人力飛行機は人力航空機:クラスIに属する蓄積装置を持たない固定翼機:サブクラスCに分類される。閉回路速度の他に直線飛行距離、滞空時間、閉回路飛行距離などが設定されている。[6]
- ^ 重量を主翼面積で割った値であり、飛行機の低速性能を大まかに示す指標となる値。翼面荷重が小さいほど低速向きの機体と言える。Nextzの巡航時の対気速度は10m/s程度であり、日常的な風速と比較すると決して速くない。そのため追い風環境下では長時間の滑走が必要になるなど離陸性能が低下する。従って速度競技用の機体であっても、ある程度低速で飛行可能な設計が求められる。
- ^ 高アスペクト比の主翼では剛性を確保しづらいため、補助翼を装備した場合にエルロン・リバーサルが生じて操縦者の意図と逆の挙動を示す可能性がある。[7]剛性の低い材料で形成される人力飛行機の主翼ではその懸念がさらに大きくなる。また、大きなアスペクト比はアドバース・ヨーに繋がり、補助翼の装備が一概に高機動性に繋がるとは言えない。[8]Nextzは補助翼を全可動式とすることでエルロン・リバーサルを抑制した。アドバース・ヨーは直線飛行距離の世界記録機であるダイダロスの原型機ミシェロブライトイーグルにおいても観測されており、意図した旋回方向と逆向きの回頭を示した。[9]また人力飛行機の旋回に関する別の計算においてもアドバース・ヨーの発生が示唆されている。[10]
- ^ 高アスペクト比の主翼を持つ人力飛行機では実用機に見られるような後縁部のみを可動する補助翼を用いると、翼のねじれ中心から遠い後縁部圧力分布が変化することにより翼が捻れてエルロンリバーサルが発生しやすい。Nextzが採用した全可動式では補助翼は桁を軸にして舵角が変化するため、圧力分布は通常の翼において迎角が変化した場合と同様となり、翼のねじれを抑えることができる。
- ^ 東北大学Windnauts所属のパイロットとして2004年の第28回鳥人間コンテスト出場経験を持つ。第28回大会は台風接近に伴う悪天候のため、人力プロペラ機部門は出場機の半数以上が飛行できないまま競技不成立となった。[11]
- ^ 本大会から行程500m折り返しの1kmとなった。さらに翌第34回大会からゴールライン後に着水するまでの時間計測となったため、同一条件下での競技は行われておらず、単純なタイム比較はできない。
出典
- 1 Nextzとは
- 2 Nextzの概要
- 3 諸元
Nextz
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/16 03:27 UTC 版)
愛知県の技術者を中心としたチーム、「Team'F'」開発。速度競技用機として開発された小型、高速、高剛性な機体。2012年、日本初の閉回路飛行速度記録を樹立(記録:時速27.69km)。
※この「Nextz」の解説は、「人力飛行機」の解説の一部です。
「Nextz」を含む「人力飛行機」の記事については、「人力飛行機」の概要を参照ください。
- Nextzのページへのリンク