Englische Suiten Nr.1, A-Dur BWV 806とは? わかりやすく解説

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バッハ:イギリス組曲 第1番 イ長調

英語表記/番号出版情報
バッハイギリス組曲 第1番 イ長調Englische Suiten Nr.1, A-Dur BWV 806作曲年: -1725年  出版年1805年  初版出版地/出版社Hoffmeister & Kühnel 

作品概要

作品解説

2007年7月 執筆者: 朝山 奈津子

 現在でもしばしば演奏されるバッハ鍵盤組曲は、1720-30年代作曲ないし改訂された。正確な経緯不明ながら、この《イギリス組曲》はその中で成立が最も古いとされている。タイトルは、バッハ最初伝記作者J. C. フォルケルが「イギリス貴人のために作曲された」と記したことにより、18世紀の間にすでに定着した事実検証不可能であるし、バッハ息子たち親交のあったフォルケル言葉には一定の説得力認めねばなるまい
 しかし、6曲の組曲イギリス特徴表している、という通説様式の上からみて正しとは言えない。《フランス組曲》が《イギリス組曲》に比して洗練されているように聞こえるなら、それは前者がより当世風ギャラント様式意識し慣習的な語法多く用いて書かれているからだろう。いずれにせよ、《イギリス組曲》にはじまる後期鍵盤組曲通じて作曲家目指したのはおそらく、フランス由来する伝統的なジャンルドイツ的な響き融合させること、端的に言えば和声的要素優位とする書法模倣対位法組み込んでいくことである。これはバッハをおいて他に例がない試みであり、《6つのパルティータ》で完成の域に達する。また、バッハ自身が「前奏曲つき組曲」と呼んだとおり、《イギリス組曲各曲には長大前奏曲がおかれている。それら第1番を除く5曲の前奏曲には、イタリア風の協奏曲ないしダ・カーポ・アリア形式原理見出せるが、同時にまた、2声の対位法的な書法による緻密な動機労作内包している。これをイタリア的なものとドイツ的な響き融和と呼ぶこともできよういずれにせよイギリス組曲》の名称には、音楽外的な由来上のものを考えることはできない
 《イギリス組曲》は、すべて同じ配列、すなわち前奏曲-アルマンド-フランス式クーラント-サラバンド-挿入舞曲-ジーグ6つ楽章から成る。ただし、調選択と6曲の配列には、《フランス組曲》や《パルティータのような一貫性論理性見られず、作曲され順番ないし楽曲難易度沿って単純に並べられたとみる向きもある。
 なお、舞曲中にはフランス音楽家ロンドンでも活躍したシャルル・デュパール(ca.1667-ca.1740)の『6つ組曲』(1701)と明らかに類似するものがある。バッハはデュパールの作品いくつか筆写しており、また『6つ組曲』も冒頭序曲を持つことから、《イギリス組曲》の成立にこの曲集が関与していることは間違いない

1.イ長調プレリュードアルマンドクーラントI、クーラントII2つのドゥーブル、サラバンドブーレジーグ / BWV806
 プレリュードシチリアーノ風。クーラント2つ持ち、さらにドゥーブルとして2つ変奏を伴うのが特徴的である。資料の上でもこの曲だけが別の場所に筆写されているものがあることなどから、第1番は他の5曲とは異な成立過程を持つと推測されている。ジーグ旋律は、デュパールの曲集第1番ジーグさらにはガスパール・ル=ルーの《クラヴサン曲集》(1705)の中のジーグとも関連がある。前者バッハ自身筆写しており、またル=ルー作品バッハ親類親交のあったJ. G. ヴァルター数多く収集している。




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