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デイヴィッド・コパフィールド

(David Copperfield から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/05/24 05:13 UTC 版)

デイヴィッド・コパフィールド
David Copperfield
表紙
著者 チャールズ・ディケンズ
イラスト ハブロット・K・ブラウン
発行日 1850年
発行元 Bradbury and Evans
ジャンル 自伝的小説、教養小説
イギリス
言語 英語
形態 著作物
前作 ドンビー父子
次作 荒涼館
ウィキポータル 文学
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デイヴィッド・コパフィールド』(David Copperfield)は、チャールズ・ディケンズの長編小説。1849年から1850年にかけて、雑誌に月刊連載された。「デイヴィット・コパフィールド[注 1]」「デーヴィッド・コッパーフィールド[注 2]」「デェヴィド・カッパフィールド[注 3]「デイヴィッド・カッパーフィールド」[要出典]など多数の表記ゆれがあるが、ここでは『デイヴィッド・コパフィールド」で統一する。

デイヴィッドは幼少期に辛酸を嘗めるが、大伯母に助けられ作家として成功する。個性豊かな人物が数多く登場し、また前半部は自伝的要素が強い。

あらすじ

デイヴィッドが生まれた時、すでに父は死んでいた。デイヴィッドの大伯母ベッツィ・トロットウッドは、女の子を希望していたため、男の子であったことに失望し、家を出ていく。心優しい母と陽気で献身的な乳母ペゴティーらとデイヴィッドは幸せに暮らしていたが、冷酷な男マードストンに言葉巧みに言い寄られて母は再婚する。結婚後マードストンとその姉はわがもの顔で家に居座り、母は心身衰えて死亡する。デイヴィッドはこの義父とその姉からひどい暴力を受けたが、母の死後は学校をやめさせられ酒屋に小僧に出される。貧乏人ミコーバーのもとで暮らすが、やがてミコーバーは借金のため逮捕され、デイヴィッドは大伯母に助けを求めるためにカンタベリーへ向かった。

カンタベリーで大伯母に保護されると、その友人である弁護士ウィックフィールドのもとで暮らし、学校に通うようになる。そこでは理想的女性のアグニス、不気味な悪人ユライア・ヒープらと知り合う。学校を卒業するとかつての旧友スティアフォースに出会い、その後一緒にペゴティー家のもとを訪れる。しかしスティアフォースは幼馴染エミリーと駆け落ち、デイヴィッドの心に深い傷を残した。

ロンドンで法律を学ぶためデイヴィッドはスペンローの法律事務所を訪れたが、そこの娘ドーラに一目惚れし、密かに婚約。ところが大伯母が破産、さらにユライア・ヒープが事務所を乗っ取ろうとしていることが判明する。スペンローが突如他界すると、デイヴィッドは速記を習得し報道記者として自立、ドーラと二人で暮らし始めるが、ドーラは伴侶として不足していることに気づく。一方、事務所を乗っ取ったユライア・ヒープに対し、その秘書となっていたミコーバーはユライアの姦計をみごとに暴き証拠として突きつけた。

病弱だったドーラは、病にかかるとまもなく死亡した。デイヴィッドはヨーロッパ大陸旅行に出かけることを計画するが、その出発前にスティアフォースが海で遭難して死んだのを知った。傷心のうちにヨーロッパを彷徨う中、デイヴィッドは自分の心はアグニスに惹かれていると自覚する。大陸で作家として成功したデイヴィッドは、イギリスに戻りアグニスと結婚して幸せになる。

主な登場人物

デイヴィッド・コパフィールド (David Copperfield)
主人公。幼少期は不遇だが、大伯母であるベッツィに助けられ自己を形成していく。
クレアラ・ペゴティ
コパフィールド家の乳母。デイヴィッドには深い愛情を注ぐ。
ウィルキンズ・ミコーバー
貧乏人。だがかなりののんき者で、デイヴィッドは好意を持つ。家族と仲睦まじく暮らしている。
ベッツィ・トロットウッド
風変わりで神経質だが心優しいデイヴィッドの大伯母。幼少のデイヴィッドを保護し、成長を見守る。
ウィックフィールド
弁護士。大伯母の友人。
アグニス・ウィックフィールド
ウィックフィールドの娘。優しく賢く、デイヴィッドの理想的女性。
ドーラ・スペンロー
デイヴィッドの母親似で容姿が美しく、デイヴィッドが一目惚れし結婚。だが、妻としての能力はまったくない世間知らずで、病弱体質。
エミリー
孤児。ペゴティー家で育てられる。幼少時はデイヴィッドと仲がよかった。婚約を交わした相手がいながら、スティアフォースと駆け落ちする。
ジェームズ・スティアフォース
デイヴィッドのセイレム校時代の旧友。やや傲岸で誇り高い性格。
ユライア・ヒープ
ウィックフィールド事務所の書記。事務所とアグニスの乗っ取りをたくらむ大悪人。

作品解説

作者自ら「すべての著作の中で1番好き」と語っている通り、ディケンズの代表作である。モームが選んだ「世界の十大小説」の一つで、まとまりがディケンズの作品の中で非常によい。作者の自伝的要素が色濃い作品であり、主人公デイヴィッドが酒屋へ小僧に出されたり、法律事務所で働いたり、速記習得に励むのも、すべてディケンズが経験したことで、『オリバー・ツイスト』などでも描かれている。

多種多様な登場人物がこの小説の最大の魅力であり、のんき者のミコーバー、心優しいペゴティー、大悪人ユライア・ヒープなどは、今なお多くの人々に愛され続けているキャラクターである。

日本語訳

  • 中野好夫訳『デイヴィッド・コパフィールド』(新潮文庫 全4巻、1967年、改版2006年)
  • 石塚裕子訳『デイヴィッド・コパフィールド』(岩波文庫 全5巻、2010年)
    • 旧版・市川又彦訳『デイヴィド・コパフィールド』(岩波文庫 全6巻、1950年)
  • 田辺洋子訳『デイヴィッド・コパフィールド 新訳』(あぽろん社 上下巻、2006年)

漫画化

映像化作品

1911年のサイレント映画以降、何度も映像化されている。

脚注

注釈

  1. ^ 和治元義博、橋野朋子、立石美雪注釈『デイヴィット・コパフィールド』など。
  2. ^ 田中寅三註解『デーヴィッド・コッパーフィールド』など。
  3. ^ 猪俣礼二訳『デェヴィド・カッパフィールド』など。

出典


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