1999_GRAND_CROSS_TOURとは? わかりやすく解説

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1999 GRAND CROSS TOUR

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/09 13:38 UTC 版)

L'Arc〜en〜Ciel > ディスコグラフィ > 1999 GRAND CROSS TOUR

1999 GRAND CROSS TOUR』(いちきゅうきゅうきゅう グランド・クロス・ツアー)は、日本ロックバンドL'Arc〜en〜Ciel1999年に開催したコンサートツアー。この項では、ライヴビデオ『1999 GRAND CROSS CONCLUSION』についても併せて解説する。

概要

L'Arc〜en〜Ciel
1999 GRAND CROSS TOUR
L'Arc〜en〜Ciel の コンサート・ツアー
場所 大阪府
福岡県
岩手県
北海道
愛知県
東京都
関連アルバム ark
ray
初日 7月17日
大阪コスモスクエア 特設ステージ
最終日 8月22日
東京ビッグサイト 駐車場特設ステージ
公演数 12
L'Arc〜en〜Ciel ツアー 年表
Tour '98 ハートに火をつけろ!
1998年
1999 GRAND CROSS TOUR
1999年
CLUB CIRCUIT 2000 REALIVE
2000年
映像外部リンク
WOWOW×L'Arc〜en〜Ciel 30th L'Anniversary Special Collaboration - YouTube

「L'Arc〜en〜Ciel 1999 GRAND CROSS TOUR」は、L'Arc〜en〜Cielが1999年7月に発表した6枚目のアルバム『ark』と、7枚目のアルバム『ray』を引っ提げ、同年7月17日から同年8月22日にかけて全国6都市で12公演を開催したライヴツアー。L'Arc〜en〜Cielとして初となる野外会場のみで構成されたツアーとなった。

ツアータイトルに含めた「GRAND CROSS」は、西洋占星術のグループ・アスペクトの1つで、凶座相を意味する「グランドクロス」から取られている。このグランドクロスは、1999年8月に実際に起こった「太陽系の惑星が地球を中心に十字に並ぶ天体現象(惑星直列の一種)」であり、当時流行していた『ノストラダムスの大予言』に代表されるような「世紀末不安」と重なり、不吉の前兆を意味する用語とされていた。ちなみにアルバム『ark』及び『ray』は、『ノストラダムス大予言』における「恐怖の大王が襲来する日」に合わせ発売されており、リリースプロモーションで<ノストラダムス大予言の日にアルバム2枚同時リリース!>という宣伝文句が使われていた。なお、hydeはこのライヴツアーで、ツアータイトルを表現した"十字状のマイクスタンド"を携えてパフォーマンスを行っている。

このツアーは、メンバーとスタッフの「誰もコンサートをやっていないところで開催する[1]」というテーマを踏まえ、既存のスタジアムを基本的に用いず各会場に特設ステージを設置する大掛かりなものとなった(北海道公演は真駒内オープンスタジアムの既存会場で開催)。巨大駐車場などをステージとして利用した結果、全12公演で約65万人を動員する、L'Arc〜en〜Ciel史上最大規模のライヴツアーになっている。

ただ、ライヴ会場がコンサートで使用されることを想定して作られた場所ではないことから、ほぼ全ての会場で基盤整備を行う必要があったという。バンドの所属事務所の代表を務める大石征裕は、2014年のインタビューでこのツアーを振り返り「全部地ならししなきゃいけないんですよ。砂利を引かなきゃいけなかったりとか[1]」と述べている。ちなみに、大阪公演で使用した大阪コスモスクエアの駐車場では、現状のままだと観客を入れることができないという理由から、大阪湾埋め立て工事が実施されている[2]。余談だが、福岡公演が行われた場所は現在、マリノアシティ福岡の駐車場になったほか、名古屋公演が行われたポートメッセなごやの駐車場はレゴランド・ジャパンとして再開発され、東京公演が行われた東京ビッグサイトの駐車場では東京都道304号日比谷豊洲埠頭東雲町線晴海通り)が延伸している。

また、一回きりのライヴではなく、ツアーというかたちで全国各地をまわり開催したため、設営の日程がタイトで苦労が多かったという。L'Arc〜en〜Cielのライヴ制作の統括を長年担当していた近藤琢哉(愛称:コメット)は、2006年に公開されたインタビュー映像において「まず、「墨出しスリー」ってのがいて。舞台監督の益子さんと、舞台装置の木下さんと、あともう一人、当時バックステージで僕と一緒に制作をしていた宮岸って奴がいるんですけど。その3人が月曜日の朝一に会場入りするんですね。そこで…墨出しっていうのは、"どこに舞台を設置するのか"っていうのを測量するんですね。それはまあ大概、あらかじめだいたい決まってるんですけど、"じゃあステージを設置する"っつってもそこが平らじゃないことがあるんですよ、傾斜がついてると。そうするとステージを設置する部分を水平になるように削ったりとかするのが月曜の朝から、測量とかそういうのをやってて。月曜の昼からもう土台の設置が始まるんですね。で、僕とかは火曜日の朝に会場に着く人で、で、ずっと組んでいって、土台が出来て、"さぁ照明が吊れますよ"って状態になるのが水曜日ぐらいで。水曜日に照明さんが来て。とにかく水曜に人が一番いっぱい来て、ちゃんと設置を始めて。照明だ、PAだ、なんだかんだと、コンサート会場のようなかたちになるのが木曜日の夜、みたいな。で、金曜になるとメンバーがやって来て、リハーサルやって。土・日と本番やって。ずっと後バラしを夜通しやって。で、さっきの「墨出しスリー」はバラし終わんないけど、次の会場に朝一番に行かなきゃいけないんで、バラしも途中に出ていくと。で、ずっとバラして、日曜日もずっとバラして。月曜日の夜にバラしが終わるんですけど、そうすると僕も次の会場に行くと…いうようなのをずーっとやってました[3]」「とにかく桁外れなんですよ、装置もそうだし大掛かり具合とかそういうのが。これを"やりたい"と言い出すやつがいて、"でも、それは出来ません、こうこうこういう理由で無理です"と言ってしまうのも簡単なんですけど、"いや、これなんとか出来たらすごいかもしんないな"と。で、"じゃあどうすれば出来んだ"と話が動いていって。結局、だから要するにそういうことを発想するメンバーがすごいんじゃないですか、多分。で、その話を真に受けて、"出来るようにするにはどうすりゃいいんだ"って考える俺たちがバカなのか、なんなのか、みたいなとこなんじゃないかと思います[3]」「日本人のロック・アーティストで、あんなことをしようとする人もいないでしょうし、出来る人もそんなにはいないような気がするんですよ、結果。バカバカし過ぎてやらないとかもそうだし[4]」とこのツアーを述懐している。結果、莫大な費用が掛かるツアーとなり、興行収益は大赤字だったという[1]。こういった事情もあり、大石曰く、当時のソニー・ミュージックエンタテインメントで社長を務めていた丸山茂雄に「だから土木はやめろ[1]」と言われたという。

ステージセットは、メインステージとサブステージの2つが設けられている。メインステージは、全て仮設ながら横幅が170mにおよび、ステージの中央部にはアルミニウム製の状の巨大球体装置が設置された[1]。この球体装置は川崎重工業が製作したもので[1]、開閉式の前面ゲート部は「空気の供給によって動作する」という仕組みになっている[5]。また、この球体装置は、当初ただの球体だったが、「宇宙船」をイメージし、コックピットやアーチ形状の舞台装置が追加されることになった[4]。さらに、メインステージには炎を出す演出・特効装置が複数台設置されている[3]。なお、この特効装置は、当時日本にあった装置では一番遠くの観客に炎の演出が見えないという理由で、ラスベガスの業者から取り寄せられたという[4]。また、メインステージからサブステージへの移動は「HEAVEN'S DRIVE号」と呼ばれる改造車が用いられたが、東京公演のみ許可が下りず、花道まで徒歩移動になった。そして全国各地の会場に巨大装置を含めたステージセットを運搬するために、100台を超える数のツアートラックが用意されたという[4]

セットリストは、各会場の公演の1日目に『ark』の収録曲、2日目にアルバム『ray』の収録曲を中心に構成したものとなった。また、演出面でも1日目公演と2日目公演で細かい差違があり、2日目公演に限り、最初のメンバー登場がポップアップを使用したものになっている。

なお、1999年8月21日22日に行われたツアー最終公演となる東京ビッグサイト 駐車場特設ステージ公演では、自己最多動員数の12万5千人(両日25万人)を動員している。さらに、同年8月21日の東京公演はViewsic(現: MUSIC ON! TV)で生中継されている。そして翌日の8月22日公演では、スターTV・香港が最初に立ち上げた中国およびアジアの有料テレビ音楽ネットワーク、channel V英語版で、自身初のアジア各国におけるコンサートの同時生放送が行われ、各国合計の視聴者数は約1億人を記録した[6]。余談だが、この東京公演の開演前には、「L'Arc〜en〜Cielのコピーバンド企画」が実施されており、企画応募者によるカバーが披露されている[7][8]。なお、後にKi/oon Musicの代表を務めることになる石川将人もこの企画に応募しており[7][8]、コピーバンドの一員として参加している[4][7][8]

本ツアーの模様は、1999年12月1日に発売されたライヴビデオ『1999 GRAND CROSS CONCLUSION』に東京公演の2日目の模様が収められている。また、2007年4月4日に発売された『FIVE LIVE ARCHIVES』に東京公演の初日の模様、2011年4月6日に発売された『FIVE LIVE ARCHIVES 2』に大阪公演の初日の模様が収録されている。なお、2021年7月16日には、同年に開局30周年を迎えたテレビ局、WOWOWとバンドのコラボレーション企画「WOWOW×L'Arc〜en〜Ciel 30th L'Anniversary Special Collaboration」の一環として、東京公演の2日目の模様がWOWOWで放送されている。

メンバーは後年に受けたインタビューで、「L'Arc〜en〜Cielの歴史の中で記憶に残っているライヴ」としてこのツアーをあげている。hydeは、2012年に発表した自叙伝で「あのツアーはどこの会場もそうだったんだけど、地平線がね、人の海だったんですよ。あれはもう、今でも忘れられない光景だね[2]」と述べている。また、tetsuyaは「ラルク史上最大規模のツアーだから印象に残っています[9]」と2021年のインタビューで述べている。なお、kenは、このツアーで訪れた会場の景色をイメージし「LOVE FLIES」という楽曲を制作したという[10][11]

公演日程

公演日 会場  
7月17日 大阪コスモスクエア 特設ステージ
7月18日
7月24日 福岡マリノア
7月25日
7月31日 安比高原 特設ステージ
8月1日
8月7日 真駒内オープンスタジアム
8月8日
8月14日 ポートメッセなごや 特設ステージ
8月15日
8月21日 東京ビッグサイト 駐車場特設ステージ
8月22日

1999 GRAND CROSS CONCLUSION

1999 GRAND CROSS CONCLUSION
L'Arc〜en〜Cielライブ・ビデオ
リリース
録音 1999年8月22日
東京ビッグサイト 駐車場特設ステージ
ジャンル ポップ・ミュージック
ロック
時間
レーベル Ki/oon Records
プロデュース 鶴岡雅浩
チャート最高順位
  • 週間1位(オリコン・VHS版)
  • 週間1位(オリコン・DVD総合/音楽)
  • 2000年度年間7位(オリコン・VHS版)
ゴールドディスク
  • プラチナ(日本レコード協会[12]
  • L'Arc〜en〜Ciel 映像作品 年表
    CHRONICLE
    1999年
    1999 GRAND CROSS CONCLUSION
    1999年
    CHRONICLE 2
    2001年
    テンプレートを表示

    解説

    1999年12月1日発売。発売元はKi/oon Records

    本作品は、全国6都市で全12公演を開催したライヴツアー「1999 GRAND CROSS TOUR」から、同年8月22日東京ビッグサイト 駐車場特設ステージで行った2日目公演のライヴの模様を収録したライヴビデオである。

    フィジカルは通常盤(VHS/DVD)の1形態でリリースされている。なお、本作に収録された公演の模様は、スターTV・香港が最初に立ち上げた中国およびアジアの有料テレビ音楽ネットワーク、channel V英語版でライヴの全編が生中継されているが、本作ではMC部分がほぼ未収録となっている。また、VHS版の初回限定仕様はスケルトンカセット、DVD版の初回限定仕様はスペシャルパッケージおよびスーパーピクチャーレーベル仕様となっている。さらに本作のDVD版に限り、サブアングル映像が収録されており、「snow drop」はメインアングルと異なる映像も収録されている。そして、各メンバーにスポットを当てたサブアングル映像も4曲収録されており、「いばらの涙」はyukihiro、「fate」はken、「」はhyde、「Shout at the Devil」はtetsuyaに焦点をあてたアングルになっている。

    本作は発売初週となる1999年12月13日付のオリコン週間ビデオチャートで4度目の首位を獲得している。また、オリコン週間DVD総合チャートでは自身初の首位[13]を獲得し、日本レコード協会からプラチナ認定(出荷枚数25万枚以上)を受けている[12]

    2014年2月26日には本作を含む音楽作品18タイトルを収録したBD-BOXL'Aive Blu-ray BOX -Limited Edition-』が発売され、本作のライヴ音源CDも収録された。さらに、同年3月19日には、前述のボックス・セットに収められた本作のBlu-ray Disc版が単体でリリースされた。

    収録曲

    • #6〜#9、#16はDVD版のみサブアングル付き
    1. trick
    2. HONEY
    3. 死の灰
    4. It's the end
    5. Sell my Soul
    6. いばらの涙
    7. fate
    8. snow drop
    9. the silver shining
    10. 花葬
    11. 浸食 〜lose control〜
    12. Caress of Venus
    13. HEAVEN'S DRIVE
    14. DIVE TO BLUE
    15. Shout at the Devil
    16. Perfect Blue
    17. Driver's High
    18. Blurry Eyes
    19. Pieces

    関連項目

    出典

    1. ^ a b c d e f "第117回 大石 征裕 氏 マーヴェリック・ディー・シー・グループ代表 / 一般社団法人日本音楽制作者連盟 理事長". Musicman. 15 January 2014. 2023年4月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月16日閲覧
    2. ^ a b 『THE HYDE』、p.96、ソニー・マガジンズ、2012年
    3. ^ a b c 『ark 15th Anniversary Expanded Edition』特典DVD、2006年
    4. ^ a b c d e 『ray 15th Anniversary Expanded Edition』特典DVD、2006年
    5. ^ "L'Arc~en~Ciel舞台装置|新製品紹介|川崎重工". 川崎重工. 2014年2月22日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年7月1日閲覧
    6. ^ 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、p.58、CCCミュージックラボ、2021年
    7. ^ a b c 『大石征裕 自伝 夢の船』、p.199、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020年
    8. ^ a b c 『大石征裕 自伝 夢の船』、p.200、シンコーミュージック・エンタテイメント、2020年
    9. ^ 『Rolling Stone Japan L'Arc-en-Ciel 30th L'Anniversary Special Collectors Edition』、p.19、CCCミュージックラボ、2021年
    10. ^ 『ROCKIN'ON JAPAN』、p.64、ロッキング・オン、2004年3月号
    11. ^ 『ROCKIN'ON JAPAN』、p.65、ロッキング・オン、2004年3月号
    12. ^ a b ゴールドディスク認定 2006年11月 - 日本レコード協会
    13. ^ "L'Arc〜en〜Ciel、通算7作目のDVD総合首位で男性アーティスト歴代1位タイ". オリコン. 27 May 2009. 2023年4月7日時点のオリジナルよりアーカイブ。2023年4月7日閲覧

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