DPFとは? わかりやすく解説

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DPF−ためて燃やす排ガス除去装置

DPF

 ディーゼル自動車排出ガス中には粒子状物質PMParticulate Matter)が含まれています。例えば、トラック黒煙出しながら走っているのを見たことがあるのでは。その黒煙主な成分PM燃料燃え切らなかったために生じる煤(すす:主成分炭素といえばわかりやすいかも。

 PM粒子の大きさマイクロメートルと大変小さくて軽く大気中に浮遊します。吸い込む肺胞沈着しやすく、健康を害する恐れ懸念されています。近年PM大きくクローズアップされるようになり、環境省でもPM対策力を入れてます。

 DPFは、ディーゼル・パティキュレート・フィルター(Diesel Particulate Filter)の略で、ディーゼルエンジン排出ガス含まれる粒子状物質黒煙を、排気管装着されるフィルター捕集除去する装置のこと。業界大手イビデンのDPFはPMをほぼ100%取り除くことができ、世界で初めヨーロッパ欧州)の自動車メーカー採用されたのもイビデン製のDPFです。

 その仕組みは、燃焼ガスエンジンマフラーの間に装着したDPFを通過する。DPFの内部には濾過壁があり、ここでPM捕集してためる。でも、ためすぎると目詰まり起きる。そこで、目詰まりする前にセンサー感知しエンジン排気温度上昇させる。そして、PM300から400度の熱を加え燃焼させる

 DPFは円柱形で、排出ガス入り口出口である端面には八角形など多数の孔があり、まるでハチの巣ようです。これをハニカム構造いいます。またDPFの実物をよく見ると、あることに気づきます。端面の孔の開き方。孔は交互に閉じられており、入り口側と出口側ではそのパターン逆になっています。つまり、ある孔の入り口側は開いているが、出口側は閉じている。これにより入り口側のある孔に入った排出ガスを、そこで止めてPMをしっかり捕集してから、出口側の別の孔から排出するわけです。

 イビデンのDPFは炭化ケイ素SiC)というセラミックス使ってます。製造方法は、まず粘土状のSiC押し出し成形機にかけ、その後、窯で焼成する焼成した何本ものユニット組み合わせて一本円柱形仕上げますSiC製は熱の伝導率高く燃焼熱拡散するのに優れているとのこと

 DPFはイビデンのほかに、日本ガイシデンソーなども手がけています。素材SiC製のほかにコージライト菫青石きんせいせき)製がありますコージライト製は熱膨張率低く、高い耐熱衝撃性を持つ。また比重軽く大型化した場合でも軽量化できるのも特徴です。

 現在、DPFは欧州中心に急速に普及してます。その背景にあるのが排出ガス規制ユーロ」。ユーロによる規制は大変厳しく、しかも段階的に強化されており、これが普及拍車をかけています。

 例えば、2000年導入された「ユーロ3」は走行距離キロメートル当たりのPM排出規制値を0・05グラム定めていた。05導入の「ユーロ4」ではこれが半分の0・025グラム強化。さらに08以降導入予定の「ユーロ5」では強化進み、0・005グラムなります。こうなれば規制地域ディーゼル車で走るにはDPFの装着欠かせません。欧州では新車販売占めディーゼル車割合増え、今では50近く占めるようになってます。

 自動車私たちの生活を支え企業経済活動にも欠かせない輸送用機器今日世界中のいたる所で走り、まさに大車輪の活躍をしています。

 ディーゼルCO2二酸化炭素)の排出少なエンジンとして、わが国でも改め注目されています。電気自動車燃料電池車普及するころには、DPFはその役割終えるかも知れませんが、当分は環境保全のために欠かせない装置といえるでしょう


 写真ヒータ黒煙浄化装置本体耐熱性高く低圧損のSiCフィルタにより黒煙をほぼ100%除去します。写真提供:イビデン株式会社



(掲載日:2007/02/20)

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※「大車林」の内容は、発行日である2004年時点の情報となっております。

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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/05/30 02:02 UTC 版)

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