わし‐ざ【×鷲座】
わし座
名称:わし座(鷲座)
学名:Aquilla
小分類:南半球
構成する主な星雲、星団、恒星:アルタイル(アルファ星)
神話の主な登場人物:パーン/テュフォン/ゼウス
日本で観測できる時期:3月中旬〜10月下旬の約8カ月間
見ごろの季節:秋 (20時正中は9月中旬)
古代バビロニア時代から知られていた星座で、赤い1等星アルタイルを真ん中に明るい星が3つ並んだ形がよく目立ちます。実際はエイのような形の大きな星座です。アルタイルとは、アラビア語で「飛ぶ鷲(ハゲタカ)」ともいい、太古から鷲になぞらえたさまざまな伝説を持ちます。中国の伝説では、七夕の「彦星」がこのアルタイルです。
1.見つけ方のポイント
白鳥座のデネブとこと座のベガを結び、その線の中心からほぼ垂直に、東へ向かって目線を移していくと、赤い1等星アルタイルが見つかります。これらの3つの1等星は「夏の大三角」と呼ばれ有名です。わし座全体はもっと大きく、ひし形に尾を付けたような形をしています。アルタイルはちょうど鷲の目にあたります。
2.神話の内容について
ギリシャ神話によると、わし座はゼウスが敵を倒す雷の矢を運ぶ使者だといわれています。また、ゼウスの化身としてトロイの美少年ガニメデをさらってオリンポスへ連れてくるなど、いくつかの逸話も残しています。
中国の神話では、アルタイルは「牽牛(彦星)」と呼ばれ牛飼いでしたが、天上の織り姫(こと座の1等星ベガ)と道ならぬ恋に落ちたことから天帝の怒りに触れ、天の川で分かたれてしまいました。会えるのは7月7日の年に1度だけで、その日は天の川にかささぎの橋(白鳥座)がかかると言われています。
3.同じ時期に見える星座について
わし座のアルタイルと白鳥座の間には、こぎつね座、や座、いるか座などの小星座がいくつか散らばっています。また、わし座のひし形の東にはヘルクレス座が、南東にはへびつかい座が位置しています。さらに、わし座が東の空から昇った後には、みずがめ座がその姿を現します。
※参考文献:誠文堂新光社「星座クラブ」(著者・沼澤茂美)、日本放送出版協会「NHK銀河宇宙オデッセイ・大星夜ウオッチング」(監修・古在由秀、NHK取材班編)、ナツメ社「星空ガイド」(著者・沼澤茂美、脇屋奈々代)、教育社「NEWTONコレクションNASA宇宙開発のパイオニアスペースシャトル/歴史と未来」(監修・竹内均)
わし座
Aquila | |
---|---|
属格形 | Aquilae |
略符 | Aql |
発音 | 英語発音: [ˈækwɨlə] Áquila, 口語的に英語発音: [əˈkwɪlə]; 属格:/ˈækwɨliː/ |
象徴 | the Eagle |
概略位置:赤経 | 20 |
概略位置:赤緯 | +5 |
広さ | 652平方度[1] (22位) |
バイエル符号/ フラムスティード番号 を持つ恒星数 | 65 |
3.0等より明るい恒星数 | 3 |
最輝星 | アルタイル(α Aql)(0.76等) |
メシエ天体数 | 0 |
流星群 | June Aquilids Epsilon Aquilids |
隣接する星座 | や座 ヘルクレス座 へびつかい座 へび座(尾部) たて座 いて座 やぎ座 みずがめ座 いるか座 |
わし座(わしざ、鷲座、Aquila)は、トレミーの48星座の1つ。日本では夏の星座とされる。
α星は、全天21の1等星の1つであり、アルタイル(七夕の彦星)と呼ばれる。アルタイルと、はくちょう座のα星デネブ、こと座のα星ベガの3つの1等星で、夏の大三角と呼ばれる大きな二等辺三角形を形成する[2]。
主な天体
恒星
わし座は天の川にあり、多くの明るい星がある。
以下の恒星には、国際天文学連合によって正式な固有名が定められている[3]。
- α星:アルタイル[4] (Altair) は、わし座で最も明るい恒星で、全天21の1等星の1つ[5]。アラビア語で鷲を意味する。3重連星である。見かけの等級0.77等、スペクトル型A7V。
- β星:アルシャイン[4] (Alshain) は、スペクトル型G8IV。視等級3.71等。
- γ星:タラゼド[4] (Tarazed) は、スペクトル型K3II。視等級2.72等。
- ζ星:Okab。
- ξ星:リベルタス (Libertas) は、フォルティチュード (Fortitudo) という名の太陽系外惑星を持つ。
その他、以下の恒星が知られている。
- ε星:デネブ (Deneb) と呼ばれることもあったが、この名は現在はくちょう座α星に対して使われる。
- η星:明るいケフェイド変光星。周期約7日で視等級3.48等〜4.33等に変化する。
- 15番星:見かけの二重星。5.4等のK型星の脇に7等の星がある。小さな望遠鏡でも観測可能である。
- MAXI J1910-057/Swift J1910.2-0546:軟X線が強いという特徴を持つ珍しいX線新星。
上記以外に歴史上、2つの明るい新星の観測記録がある。1つめは紀元前389年、金星と同じくらいに明るく輝いた。[要出典]もう1つは1918年わし座新星で、アルタイルよりも明るく輝いた。
星団・星雲・銀河
2つの特徴的な惑星状星雲がある。
その他
由来と歴史
ドイツの研究者パウル・クーニッチは、バビロニアやシュメールにおいてアルタイルが鷲の星とされており、わし座の起源はこの時代まで遡る、としている[7]。
神話
ギリシア神話では以下の物語が伝わっている。
- トロイアの王子ガニュメーデースがあまりに美しい少年だったため、ゼウスが神の宴の給仕をさせるために、天に連れ去るときに遣わした鷲。またはゼウスが変身した鷲。天上では、ガニュメーデースをモチーフとするみずがめ座の隣にわし座が位置しており、星図でもみずがめ座に飛び掛るように描かれている[7]。
- ゼウスが用いる雷の矢を運ぶ鷲。わし座に隣接しているや座がゼウスの雷の矢を表している[7]。
東アジアの七夕伝説
東アジアでは七夕伝説がある。わし座のアルタイルが牽牛星(彦星)という牛飼いの男で、こと座のベガが織女という機を織る娘である。
脚注
出典
- ^ “星座名・星座略符一覧(面積順)”. 国立天文台(NAOJ). 2023年1月1日閲覧。
- ^ “夏の星空を楽しもう”. AstroArts (2006年). 2022年7月16日閲覧。
- ^ “IAU Catalog of Star Names (IAU-CSN)”. 国際天文学連合 (2022年4月4日). 2022年7月16日閲覧。
- ^ a b c 原恵『星座の神話 - 星座の歴史と星名の意味』(新装改訂版4刷)恒星社厚生閣、2007年2月28日、169-170頁。ISBN 978-4-7699-0825-8。
- ^ “Results for V* alf Aql”. SIMBAD Astronomical Database. ストラスブール天文データセンター. 2013年1月17日閲覧。
- ^ 岡崎彰『奇妙な42の星たち』誠文堂新光社、1994年4月1日、185-189頁。ISBN 4-416-29420-4。
- ^ a b c Ridpath, Ian. “Star Tales”. 2022年7月16日閲覧。
鷲座
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