餅つき(餅搗き)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 20:23 UTC 版)
搗き餅をつくることを「餅つき」(もちつき)と言う。北陸方言では「餅をかつ」と言ういう。 もち米を蒸し、臼の中に置き杵で繰り返し叩く。餅つきの様子を表す擬音は「ペッタン」や「ペッタンコ」と表現される。 多くは正月、節句、祝い事などでつく。餅つきはある程度の人数分をまとめてでないと行いづらく、大人数が集まって作ることが多く、年中行事、祭り、神事などの場で行われることが多い。餅は神道や仏教の供物としても用いる(鏡餅、菱餅など)。また町内会や子供会などの行事としても人気があり、歳末の風物詩となっている。 つきたての熱い状態の餅は不定形で粘り気があり、他のものに付きやすい食べ物である。常温になると固まるため、円盤状や球状、板状にして保存する。保存形状により丸餅、伸し餅(のしもち)、切り餅などと呼び分けられる。できたてのものは、きな粉をまぶしたり、醤油などの付け汁に入れたりして、くっつかないようにして食べる。味付けの仕方により、きな粉餅、醤油餅などと呼び分けられる。また様々な材料を混ぜ込むものもあり、よもぎ餅、豆餅、海老餅などと呼び分けられる。保存したものは、焼いたり、煮たり、揚げたりし、再び加熱してから食べる。加熱方法により、焼き餅、揚げ餅などと呼び分けられる。 一般に年末の12月29日は「苦を搗(つ)く」という音韻から九日餅(くんちもち)と呼び、年の暮れの数日間のうち、29日だけは餅をついたり購入したりすることを避ける風習がある一方で、二九を「フク(福)」と読んで29日に餅をつく地域もある。 機械化された工場で「餅つき機」を用いて餅を製造する業者が増え、一年を通してスーパーマーケットなどの小売店で餅が流通するようになった。また家庭用の餅つき機も普及しつつあり、餅を日常的に食べる人も増えた。1974年に小型の電動(自動)餅つき機が普及し、一般家庭で古典的な餅つき風景を見ることは少なくなった。電動餅つき機は、大量の餅を作る精米店や餅菓子を販売する和菓子店、高齢化が進んだ農家等で人手が足りず人力による餅つきができなくなってきた場合に多く利用されている。 電動餅つき機は、杵(きね)と臼(うす)でつく機構の機械は商業用のものに多く、家庭用の小型機は蒸した米をメーカー独自の特殊形状のヘラで練り、十数分でついた餅と同じ状態になる。ヘラで練る方式の機械で作った餅は、杵つき餅と比べて細かい気泡が多く含まれ、雑煮に入れた場合に柔らかくなりすぎたり、伸ばした時の表面の肌目の細かさなどといった食味の違いがあるが、一般には杵と臼でつく餅を比較する機会が少ない理由から、同等の食味を持つものとして扱われている。 餅つきに用いる臼の大きさは、直径を尺貫法の寸で表す。
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