錨とは?

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用語解説

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いかり 0錨/碇】

海中の石を意味する古語「いくり」と同源か〕

(1)綱や鎖をつけて水底投下し、これによって船をその場所に停止させておく船具古代から中世には石または石と木を組み合わせ木碇を使ったが、近世以後鉄製となる。
(2)緒の端につけるいかり形の器具。物にかけて引き寄せたり、つなぎとめたりするのに用いる。
「―の緒/枕草子 89
(3)家紋の一。(1)図案化したもの。
» (成句)錨を打つ
» (成句)錨を下ろす



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出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2009/06/24 22:03 UTC 版)

(碇、いかり、アンカー、Anchor)とは船舶等を水上の一定範囲に止めておくために、ロープを付けて海底や湖底、川底へ沈めて使う道具のこと。

爪などが底質に刺さる事で抵抗力(把駐力)を生む物をアンカー、それ自身の重さによって抵抗力を生むものをシンカーと分類している。アンカーとシンカーでは構造や使用方法が全く異なる。底質ではなく、水の抵抗を利用したビニール製のパラシュート状の錨も存在し、特別に「シーアンカー」または「パラアンカー」(パラシュートアンカー)と呼んでいる。

船や航海を連想させるものとして、シンボル的に用いられることも多い。

ポズナンにある錨

目次

語源

英語での「Anchor」(アンカー)の語源は「[Ank]」(曲がった)に由来しており、「Ankle」(アンクル、かかと)や「Angle」(アングル、角度)なども同源の単語である。また米国アラスカの港湾都市「Anchorage」(アンカレッジ)は投錨地を意味する「anchorage」に由来している。

機能

ストックレス・アンカー
1.左:従来型ストックレス・アンカー(無かん錨、Stockless anchor)JIS型 2.右:新型ストックレス・アンカー AC-13型 3.アンカー・リング 4.シャンク(錨柄、Shank) 5.爪(アーム、Arm、錨腕) 6.ヒンジ(Crown pin, Hinge pin) 7.アンカー・ヘッド(錨冠、Anchor head, Crown) 8.耳(Ear、トリッピング・パーム)[1]

錨と錨鎖は海底面等との間で生じる抵抗により船の移動を制止する働きをする。

21世紀からはほぼ全ての中大型の船舶でストックレス・アンカーが使われているため、以下の説明はストックレス・アンカーについて行なう。また、大きな錨は錨鎖によって船と結ばれるが、小型船の小さな錨ではロープが使用される事があり、小さな錨はほとんどがストックレス・アンカーではない。

各部名称・構造

ストックレス・アンカー
ストックレス・アンカーはその中心に柄の部分にあたる太く丈夫な1本の「シャンク」を持ち、錨鎖と結ばれる。シャンクの先に「爪」と一体になった「アンカーヘッド」が「ピン」によって接続され、アンカーヘッド部分はシャンクから40度前後の角度で正面又は裏面に自由に動くことが出来る。アンカーヘッド部分の両側にシャンクをはさむように平たい爪が計2本伸び出して、この部分が海底土砂に食い込む。アンカーヘッドを一周するように平たい張り出し部である「耳」があり、耳が海底面を擦ることで爪が下向きに押される仕組みになっている。

把駐力

把駐時の動き
抜錨時の動き

把駐力(はちゅうりょく)とは安定して食い込んだ錨が支えられる最大抵抗力であり、錨鎖で生じる抵抗分は含まない。海底(湖底、川底)の土質に左右される。 把駐力は錨の2本の爪が正しく海底土砂に食い込むことで生まれる。旧来使用されてきたストック・アンカーのストックはこれらの爪の1本が海底に突き刺さるように機能していたが、ストックレス・アンカーになってからはヒンジによってシャンクから爪が下方へ折れ曲がることや、耳の抵抗、爪が平らになったことによって、2本とも海底面に食い込むよう設計されている。

把駐係数

把駐係数は錨の自重の何倍の把駐力が生じるかを示す数値であり、3-5程度となる。JIS型ストックレス・アンカーでは泥質海底で2-6、砂質海底で3-5である。岩質では把駐力が期待できない。

錨鎖の摩擦抵抗係数

錨鎖も海底に接していれば摩擦によって抵抗が生まれる。錨鎖の摩擦抵抗係数とは錨鎖の自重の何倍の抵抗力が生じるかを示す数値であり、泥質海底で1、砂質海底で0.75程度である。

使用状況

規定

錨と錨鎖は船の載貨重量と船種によって決まる「艤装数」に基づいて、各船が備えるべきものが規定されている。

錨泊

錨泊時に錨を伸ばす方法については船#錨泊を参照のこと。

錨鎖

繰り出す錨鎖の長さは水深の10~20倍程度が一般的である。錨鎖が長い分だけ抵抗が増すが、1本の場合には振られる幅も大きくなる。

小型軽量化

船が受ける風圧や波、潮流などに対して十分安全なだけの抵抗を生む錨と錨鎖が使用されることで停泊時の安全が保たれることが基本である。の時には錨泊する場合には錨と錨鎖はぜひ必要な装備であるが、それ以外の通常航海時には大きな揚錨機も含めて、場所と重量の分だけ無駄となる。そのため、21世紀初頭での実際の使用環境では、錨と錨鎖だけでなく主機関による推進力によっても安全が担保できるとして、錨と錨鎖が小型軽量化されることがある[2]

走錨

嵐などで船が受ける力が錨と錨鎖の抵抗力やプロペラの推進力を上回れば、錨が海底から外れて錨鎖とともに引きずられる。これが「走錨」である。一度、走錨状態になると摩擦と把駐による抵抗力が半減するために船を止めることは難しくなる。この場合はアンカーの打ち直しを行う。旧来のストック・アンカーでは走錨が起こりにくいとされている[1]

歴史

確認されているもっとも古い錨は、紀元前2500年から紀元前2000年頃に使われていたと考えられている。 この頃の錨は、重りとなる石にロープをくくりつけて、石の重さで船をとどめておく原始的な仕組みだった。 エジプト新王国時代の頃の錨は、石に複数の穴があけられており、一箇所にはロープをくくりつけ、残りの穴には木の棒などをはめて爪の役割を持たせたものが使われていたと考えられている。

1927年にイタリアを支配していたベニート・ムッソリーニが国威高揚の為に、ローマ第3皇帝カリグラ(在位A.D37-41)が建造したとされる船を見つけるために、ローマ郊外にあるネミ湖から水を全て排出し発掘を行った。3年後の1930年、巨大船と共に2つの錨が出土し、1つは鉛のストックを持つ木製の碇で、1つは木板で覆われた鉄製の錨であった。これらの船と錨は、出土した地層から紀元1世紀頃の物である事が分かっている。 鉄製錨は300kgを超える大きなもので、更にストックが可動式で取り外す事ができ、この時代に現在の錨に通じるものが既に確立されていた事がわかる。また、この鉄錨は、現存する最古の鉄製錨としてローマ文明博物館に保管してある。 これらの事から、紀元前2-3世紀には鉄製錨が使われていたであろう事が推測できる。[3]

紀元前6世紀頃にはすでにストック・アンカーが使われていたが、18世紀末になると、長く使われていたストック・アンカーに代わり、ストックのないストックレス・アンカーが発明され、現在のアンカーの主流となっている[4]

種類

ストック・アンカー
左が使用する状態。 右が格納のためにストック(桿)を畳んだ状態。下の爪とは直交するストックが海底面で横になるとき、爪の一方が海底面に突き立てられる。
海軍帽章に錨の意匠が用いられている例(アメリカ海軍将官制帽)
マレーシア海軍旗
漁船用ダンフォース型アンカー
  • クラブネルス・アンカー - 爪が何本も放射状に付いたもの。
  • マッシュルーム・アンカー - 爪の代わりにマッシュルーム状、又は傘状の円盤が取り付けられているもの。
  • ストック・アンカー
    • トロットマンスアンカー
    • ダンフォースアンカー
    • コンモンアンカー
    • スタウトアンカー
  • ストックレス・アンカー
    • ホールスアンカー
    • アドミラル・アンカー
    • バルドーアンカー
    • エールスアンカー
    • スペックアンカー
    • ストークスアンカー
    • マルチンス・アンカー
    • チェーンアンカー(主に船を確実に固定せずに流し釣りをするときなどに使用する。)
    • AC-14
    • AC-17

シンボルとしての錨

有名なアメリカン・コミックスのキャラクターポパイには、錨の刺青が書かれており、このキャラクターの特徴ともなっている。

各種の旗や徽章で、海事を象徴する意匠として錨が用いられる。中でもイギリス海軍帽章の、錨を葉で囲み、上に王冠を配したデザインは有名で、世界各国の海軍沿岸警備隊、民間海運会社の帽章に影響を与えた。

錨から派生した語句

出典・脚注

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  1. ^ a b 池田吉穂著 「図解雑学 船のしくみ」 ナツメ社 2006年5月10日初版発行 ISBN 4-8163-4090-4
  2. ^ 池田良穂著 「船の科学」 BLUE BACKS 講談社 ISBN 978-4-06-257579-9
  3. ^ 海事史研究 第39号 地中海における鉛のアンカーストックの時代 上田雄
  4. ^ 新星出版社編集部編 『船のしくみ』 新星出版社 (2008年頃の出版) ISBN 9784405106727

関連項目

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