金子兜太とは? わかりやすく解説

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かねこ‐とうた【金子兜太】

読み方:かねことうた

19192018俳人埼玉生まれ加藤楸邨師事、「寒雷同人。のち「風」参加し社会性俳句前衛俳句旗手となる。昭和37年1962)「海程」を創刊主宰句集少年」「東国抄」など。


金子兜太

金子兜太の俳句

*かりん老樹に赤児抱きつく家郷かな
あお向きしとき月ありぬ一つの月
あきぐみに陽の匂う風吹き来たる
あきらかに鴨の群あり山峡漂泊
あけびの実軽しつぶてとして重し
あらゆる金属に魅せられ街を旅のように
ある家から鈴虫道は流れたり
いつのまに涙のまなこ昼螢
いのちと言えば若き雄鹿のふぐり楽し
おおかみに螢が一つ付いていた
おびただしい蝗の羽だ寿よ
かあーと光る松を見つめてわれ有りぬ
かまつかに吾れくろぐろと征かむとす
からすの村からすより大きい囮のからす
きよお!と喚いてこの汽車はゆく新緑の夜中
ぎらぎらの朝日子照らす自然かな
けもののごとき温さ黄濁の初夏長江
ここに着く三角倉庫のならぶ港
ここのところに俺の子枯山もう暗い
こっそり来て尿してゆきし祭かな
さすらえば冬の城透明になりゆく
しんじつの草の根沈み蛇は穴に
たつぷりと鳴くやつもいる夕ひぐらし
つばな抱く娘に朗朗と馬が来る
どどどどと蛍袋に蟻騒ぐぞ
どれも口美し晩夏のジャズ一団
なめくじり寂光を負い鶏のそば
にほん恋しや絵葉書売りに海泣く今
ひぐらしや点せば白地灯の色に
ふる里はあまりに遠しマンゴー剥く
ほうれん草つめたリュツクヘ妊る
まつりごとみだれて夏の石女たち
まら振り洗う裸海上労働済む
もまれ漂う湾口の莚夜の造船
よく眠る夢の枯野が青むまで
れんぎように巨鯨の影の月日かな
わが世のあと百の月照る憂世かな
わが歌のふと蜩に和したりき
わが湖あり日陰真暗な虎があり
わが紙白し遠く日當る荷役あり
わが行けばどんぐり光り触れ合えり
わらんべの蛇投げ捨つる湖の荒れ
ガスタンクが夜の目標メーデー来る
キヤツサバ林軍靴を照らす火の果てに
シニカルな小さな駅の売られる果実
スコールに濡れたるままの夕餉かな
スコールの雲かの星を隠せしまま
デルタの草に銀行員沒す終戰日
ノートに触れ冬の犬の尾固かりき
パパイアの青果たわわに額さむし
 

金子兜太

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/12 14:37 UTC 版)

金子 兜太(かねこ とうた、1919年大正8年)9月23日 - 2018年平成30年)2月20日[1])は、埼玉県出身の日本俳人現代俳句協会名誉会長日本芸術院会員。2008年文化功労者選出。小林一茶種田山頭火の研究家としても知られる。


  1. ^ a b “金子兜太さん死去 戦後日本を代表する俳人”. 朝日新聞. (2018年2月21日1時9分). https://www.asahi.com/articles/ASL2N7SV4L2NUCLV01C.html 2018年2月21日閲覧。 
  2. ^ a b c 『金子兜太 高柳重信集』 三橋敏雄解説、371頁。
  3. ^ a b 五島高資 「金子兜太」 『現代俳句大事典』、152-154頁。
  4. ^ 秩父音頭のふるさと(みんなのみなの 皆野町観光協会) - ウェイバックマシン(2013年6月6日アーカイブ分)
  5. ^ 2011年1月 4日 (火)元旦や餅で押し出す二年グソ
  6. ^ 『官報』第3080号、昭和12年4月12日、p.399
  7. ^ a b c d 安西篤 編 「金子兜太略年譜」『金子兜太』196-199頁。
  8. ^ 水戸高等学校一覧 自昭和15年至昭和16年』水戸高等学校、1940年、221頁。 
  9. ^ 『官報』第4272号、昭和16年4月7日、p.310東京帝国大学一覧 昭和16年』東京帝国大学、1941年、591頁。 
  10. ^ 『金子兜太 高柳重信集』 三橋敏雄解説、372頁。
  11. ^ 『俳句人』1958年8月号「新委員推薦」、25頁。
  12. ^ 『金子兜太 高柳重信集』 三橋敏雄解説、373頁。
  13. ^ 佐藤達哉 (2018年6月23日). “都内でお別れ会 750人兜太さんしのぶ”. 埼玉新聞 
  14. ^ 『現代の俳人101』 125頁。
  15. ^ あらきみほ 『図説 俳句』 180頁。
  16. ^ 坪内稔典 「叙情と含羞の日常」『金子兜太の世界』 36-37頁。
  17. ^ 高野ムツオ 「社会性俳句」『現代俳句大事典』 275-276頁。
  18. ^ 筑紫磐井 「金子兜太の実像」『金子兜太の世界』 42-46頁。
  19. ^ 金子兜太・村上護「対談 わが俳句を語る」 『金子兜太』 25頁。
  20. ^ 斎藤貴男, AERA (2018年3月19日). “「好戦派、恥を知れ」率直に生きた俳人・金子兜太の言葉”. 2022年6月21日閲覧。のなかで、例えば門人のマブソン青眼は金子兜太について「兜太先生の俳句はGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonに代表されるプラットフォーマー)にも支配されない、レジスタンスなんだ。AI(人工知能)には不可能な、時間やイメージの飛躍を恐れない凄み、感性と知性がひとつになった人だけにできること」と述べている。
  21. ^ 安西篤 「わが師、わが結社」 『金子兜太』 191-192頁。
  22. ^ 朝日新聞東京版)2015年7月19日付朝刊、35面
  23. ^ 朝日賞 2001-2018年度”. 朝日新聞社. 2023年1月3日閲覧。


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