連想
『心理試験』(江戸川乱歩) 殺人事件の容疑者・蕗屋清一郎は、ある語を聞いてどのようなものを連想するか、判事によって試験されることを知り、「殺す」「血」など犯罪に関わる語に対し、素早く無難な語で応答できるように練習しておく。しかし、かえってその不自然さを明智小五郎に見抜かれる。
★2.妻を思い浮かべる。
『鬼瓦』(狂言) 長らく在京していた大名が、国もとへ帰る名残りに、太郎冠者を連れて因幡堂に参詣する。御堂を拝する大名は、屋根の鬼瓦を見て突然泣き出す。鬼瓦が、国にいる妻の顔によく似ていたのであった。
『熊の皮』(落語) 横丁の医者が慶事の赤飯を近所へ配ったので、長屋の男が礼を言いに医者の家へ行く。男は「お赤飯を頂戴いたしまして、ありがとう存じます・・・」と口上を述べつつ、座敷の熊皮の敷物を無意識に手まさぐりする。その感触で男は妻を思い出し、「あっ。女房がよろしくと申しておりました」と言い添える。
*傘を見て、巨大な男根を連想する→〔器物霊〕3の『西鶴諸国ばなし』(井原西鶴)巻1-4「傘(からかさ)の御託宣」。
『サザエさん』(長谷川町子)朝日文庫版・第20巻46ページ 夏の夜、サザエがカツオとワカメを外に呼んで、美しい上弦の月を示す。しかしカツオとワカメは、半月形から冷蔵庫の中のスイカの1切れを思い出し、家へ駆け戻る。
『風呂桶』(徳田秋声) 古家を買った津島は、湯殿を作ろうと思い、妻と一緒に風呂桶を注文しに行った。彼は久しぶりで内湯に入ることができたが、銭湯に慣れた身には、風呂桶は窮屈だった。「この風呂桶は何年もつだろう」と津島は考える。「おれが死ぬまでに、この桶1つでいいだろうか?」。そう思うと、今入っている風呂桶が、自分の棺桶のような気がしてきた。
『子連れ狼』(小池一夫/小島剛夕)其之8「鳥に翼 獣に牙」 ならず者の一団が山奥の湯治場に入り込み、病身の侍や僧など湯治客たちを皆殺しにしようとする。侍は「切腹するから介錯を頼む」と請い、僧は合掌して念仏を唱える。ならず者たちの頭目は、「介錯」という言葉を聞き、「拝む」僧を見て、湯治客の1人でどこか見覚えのある浪人が、もと公儀介錯人・拝一刀であることに気づく。拝一刀は、ならず者たちをすべて斬り殺す。
★5.連想の連鎖。
『モルグ街の殺人』(ポオ) ある晩、「ぼく」はデュパンと散歩していて、果物屋に突き飛ばされ、歩道の敷石に足をすべらせた。「ぼく」はその敷石をきっかけに、截石法(ステレオトミー)・・・原子(アトミー)・・・エピクロスの原子論・・・と、次々に心に浮かぶ思いを追っていったが、デュパンは、「ぼく」の心の中で展開している連想の連鎖をすべて見抜き、「ぼく」を驚かせた。
『東海道中膝栗毛』(十返舎一九)2編下「蒲原」 木賃宿で、回国の六部が弥次郎兵衛・喜多八に次のような物語をする。「数年前、江戸で大風が吹いた時、ほこりが舞って大勢が目をわずらった。目の不自由な人が大勢できれば、皆三味線引きになる。三味線には猫の皮がいる。猫がいなくなると鼠がふえる。鼠は箱などを齧(かじ)るから箱が売れるだろう。そこで針箱・櫛箱・薬箱など、多量の箱を仕入れて大儲けをねらったが、さっぱり売れなかった」。
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