辛味とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 同じ種類の言葉 > 食物 > 食品 > > 辛味の意味・解説 

から‐み【辛み/辛味】

読み方:からみ

辛い味。辛さ程度。舌を刺激する辛さにも、塩辛さにもいう。「大根おろしの—が足りない

カラシ・ワサビ・ショウガ・サンショウ・トウガラシなど、辛い味のあるもの。薬味(やくみ)とする。

[補説] 「味」は当て字


しん‐み【辛味】

読み方:しんみ

ぴりっとする辛い味。からみ。


辛味

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/04/06 04:57 UTC 版)

唐辛子の辛味は様々な地域の料理で利用される。

辛味(からみ)は、の概念の一つ。刺激的な味を指す。

日本語では特にトウガラシワサビショウガサンショウなどに代表される特徴的な味を指す。なお、辛「味」は当て字で、本来は辛みと書く。「み」は形容詞語幹から名詞を生成する接尾辞である。

総じて強い刺激であって、しばしば耐えがたいと感じさせることもある。しかし、多くの場合、食欲を増進させ新陳代謝を促進する効果があるので、暑さ負けなどに効果がある。様々な食文化で利用されており、特にトウガラシの辛さを好み日常的に多量に使う料理が世界各地にある(朝鮮料理中国湖南料理四川料理など)。激烈な辛さを、日本では「激辛」と俗称する[1]。トウガラシの辛味成分であるカプサイシンを基準とした辛さの度合いはスコヴィル値で示される。

食塩が多いことによる塩辛さについては「塩味」を参照。

辛味は味覚か

辛味は、料理を調理したり食べたりするに当たって、重要な味覚の一つと考えられている。しかし、生理学的定義に基づく味覚は、味覚受容体細胞にとって適刺激である苦味酸味甘味、塩味、旨味の5種(五基本味)を指しており、辛味はこれに当てはまらない。神経刺激としての辛味の核心は口腔のバニロイド受容体(カプサイシン受容体)で感じる痛覚、または冷刺激受容体で感じる温度覚英語版であり、これに他の条件(トウガラシであれば、発汗および発熱)が統合されたものを辛味と呼んでいる。近年、カプサイシン受容体が単離されたが、口腔内に特異的なものではなく全身に分布しており、また従来の味覚受容器とは別のものであるため、5基本味が6基本味になることはない。

辛味と健康

世界各地で特に好んで利用されているトウガラシの辛味は、発汗を促し、新陳代謝を促進する効果があると言われている。ただし慢性的な過剰摂取に関しては悪影響が懸念されている。唐辛子を多く摂る韓国インドのような国では胃癌の発生率が高く、唐辛子の過剰摂取との関連性が指摘されている[2][3][4][5][6]。特に、カプサイシンを特定の物質と共に大量摂取した場合、癌の発生を促進することが建国大学校の研究で明らかになった[7]

様々な辛味と辛味成分

辛味にはいくつかの類型が認められ、基本的には、それぞれ辛味成分の化学的特性に対応している。

  1. ワサビカラシネギニンニクダイコンなどの辛味は、清涼感を伴い、舌や鼻へのツーンとした刺激として知覚される。日本語では「ツーンとくる辛さ」などと表現されることが多い。これは硫化アリルアリルイソチオシアネートといったアリル化合物の作用であり、これらは冷刺激受容体TRPA1を活性化する。下記のカプサイシンとは異なりアリル化合物は揮発しやすいため、辛さを和らげるためにお茶などの熱い飲み物を飲むことが多い(逆に冷水を飲むと辛さが増強される)。
  2. トウガラシの辛味は体を温め、発汗を促す。舌には熱さ、時には痛さに似た刺激をもたらす。「ヒリヒリする辛さ」と表現されることもある。このような作用はカプサイシンと呼ばれる成分によるもので、カプサイシン受容体TRPV1を活性化する。コショウの辛味はトウガラシに似るが、ややマイルドである。この味の主成分はピペリンと呼ばれる。カプサイシン、ピペリンはアルカロイドに分類される。
  3. ショウガにはギンゲロールショウガオール、サンショウにはサンショオールなどの辛味成分が含まれ、発汗と清涼感をもたらす。サンショウの辛味は同時に、舌に痺れるような感覚をもたらす。

また日本語では、強い塩味のほか、ミント炭酸飲料の刺激が強いことを「からい」と表現することがある。現在ではこれを「辛味」と区別して考えることが多いが、古くは「過度に刺激的である」といった意味で概念が近接していたものと思われる(Cf. 「あまい水」と「からい水」、および「点があまい」「点がからい」の対比)。

文化と辛味

辛味に対する好悪は、文化的背景により大きく異なる。

世界的にみて、料理において辛味を尊重する文化は少なくない。特に、朝鮮半島東南アジア南アジアの料理にとってトウガラシは不可欠である(カレーなど)。特にブータンにおいては香辛料としてではなく具材として丸ごとのトウガラシを入れた料理が日常的に食べられており、同国の料理は「世界一辛い」とも評される。中南米でも、辛味のあるソースを用いる料理は多い(タコスなど)。大航海時代ヨーロッパにおいてコショウが同じ重さのと交換されたという逸話は広く伝えられている。

成人に比べ幼児は辛味のある料理を忌避することが多い。このため、辛味のある食品・料理を 渋味・苦味のある食品・料理と並んで「大人の味覚」と称することがある。

辛味、またはそれに類する概念は文化によって多様であり、その感覚をどのように分類し、名を与えるかは一様ではない。下記はその一例である。

インド

インド伝統医学のアーユルヴェーダなどでは6つの味覚(ラサ)の一つと考えられた。

中国

古代中国では「辛」は五行説により五味の一つと考えられ、金気と関連づけられた。

現代中国語には、日本語の「辛味」に対応または近接する味の概念がいくつかある。

辣(ラー、là)
トウガラシなどの熱を伴う辛味。
麻(マー、má)
サンショウなどの痺れる辛味。
辛(シン、xīn)
ユズシナモンといった、あまり痛覚を刺激せず、日本語的な辛味の範疇に収まらない味。

英語圏

英語における「辛味」の対応・近接概念には以下のようなものがある。

hot
トウガラシなどの辛味。
spicy
様々なスパイスの味の総称。日本語では「ぴりっとした」などと訳されることがある。

日本

日本では伝統的にワサビ、ダイコン、ネギ、ショウガなどの辛味を持つ食材が積極的に利用されてきた。これらを薬味と総称することもある。近代以降は二極化が進み、辛味調味料としてのワサビやショウガ、辛味の少ない食材としてのダイコン、ネギという風に料理の中での位置づけが分かれるようになった。しかし、復古的な立場から、あるいは辛味成分の有用性を強調する立場から、辛味大根のように辛味を復活させた食材もある。

日本における「激辛ブーム」

20世紀後半以降、日本でもトウガラシの辛味に対する受容が進み、辛味刺激の強いことを特色とする食品が多数現れた。これらの食品は、一部の商品名から転じてしばしば激辛(げきから)の語を冠して呼ばれる[1](激辛カレー、激辛スナックなど)。特に専門的にこれらの食品に嗜好をもつ場合、激辛マニアと呼ばれることがある。「激辛」は1986年新語・流行語大賞」新語部門・銀賞を受賞した神田淡平の「激辛煎餅」が発祥の造語である[8]。日本では1980年代から2020年代初頭にかけて4回の激辛ブームが起きた[1]スナック菓子カラムーチョ」のような新製品の発売や、韓流ブームなど外国の影響が景気になり、ブームを繰り返しながら日本の食生活における辛味の受容度が高まる傾向にある[1]

このような辛味自体を嗜好する立場と、カプサイシンの発汗作用を減量と結びつけたり、アリルカラシ油の殺菌作用に注目したりする立場が相まって、辛味のある食品・料理はある流行を形成することがある。

辛味の計測

辛味の度合いを定量的に表す単位として、ウィルバー・スコヴィルが考案したスコヴィル値がある。ただしこれはカプサイシンの含有率を表す値なので、カプサイシンを含まない(トウガラシ類以外の)ものの辛味を測定することはできない。

日本の「暴君ハバネロ」が世界一辛いスナック菓子としてギネスブックに掲載されているが、これもスコヴィル値によって認定されている。

辛味のある化学物質

辛味のある食品

辛味調味料

辛味のある料理

脚注

  1. ^ a b c d 「激辛が人気 第4次ブームに/手軽に自宅で★自粛続きのストレス発散」『読売新聞』朝刊2021年10月24日くらし面
  2. ^ 新宿健康塾ニュース10月号「味覚障害」【Health Index】FINE-club~健康で元気な暮らし情報
  3. ^ Mathew A, Gangadharan P, Varghese C, Nair MK (2000). “Diet and stomach cancer: a case-control study in South India”. Eur. J. Cancer Prev. 9 (2): 89–97. doi:10.1097/00008469-200004000-00004. PMID 10830575. 
  4. ^ López-Carrillo L, López-Cervantes M, Robles-Díaz G, et al (2003). “Capsaicin consumption, Helicobacter pylori positivity and gastric cancer in Mexico”. Int. J. Cancer 106 (2): 277–82. doi:10.1002/ijc.11195. PMID 12800206. 
  5. ^ Archer VE, Jones DW (2002). “Capsaicin pepper, cancer and ethnicity”. Med. Hypotheses 59 (4): 450–7. doi:10.1016/S0306-9877(02)00152-4. PMID 12208187. 
  6. ^ López-Carrillo L, Hernández Avila M, Dubrow R (1994). “Chili pepper consumption and gastric cancer in Mexico: a case-control study”. Am. J. Epidemiol. 139 (3): 263–71. PMID 8116601. 
  7. ^ 「カプサイシンががんの発生促進、建国大教授らが解明」聯合ニュース(2010年9月6日)
  8. ^ 「神田淡平」元祖 激辛煎餅(激辛せんべい)誕生秘話

辛味

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/23 22:02 UTC 版)

トウガラシ属」の記事における「辛味」の解説

トウガラシ属果実には辛味成分カプサイシンを含む物が多くトウガラシ辛さ代名詞ともなっている。トウガラシ辛さを表す単位としてスコヴィル値使用されるトウガラシ属果実が辛味を持った理由として、なるべく動物よりも辛味を感じない鳥類食べられる事によってより広い地域に蒔種するためと考えられている。やがて人類香辛料として利用される様になり、広く世界中分布される事となった。

※この「辛味」の解説は、「トウガラシ属」の解説の一部です。
「辛味」を含む「トウガラシ属」の記事については、「トウガラシ属」の概要を参照ください。


辛味

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/13 08:43 UTC 版)

ブート・ジョロキア」の記事における「辛味」の解説

2000年インド防衛研究所 (Defence Research LaboratoryDRL) はブート・ジョロキアスコヴィル値 (SHU) を855,000SHUと報告した2004年インド会社は1,041,427SHUを報告した。これはハバネロのほぼ2倍に相当する。なお純粋なカプサイシン15,000,000 - 16,000,000SHUである。 2005年ニューメキシコ州立大学(英語版トウガラシ研究所英語版)のポール・ボスランド (Paul Bosland) 名誉教授ニューメキシコ州南部ラスクルーセス近郊で種から育てたものからHPLCで1,001,304SHUを記録した2007年2月には、世界一辛い唐辛子としてギネス世界記録に認定された。その後、より辛いキャロライナ・リーパーCarolina Reaper、「カロライナ死神」の意、サウスカロライナ州耕作者が生産)が現れ2012年測定では平均1,569,300 スコヴィルであった。更に2017年には、イギリス開発されドラゴンズ・ブレス248スコヴィル)が最も辛い唐辛子とされた。その数ヶ月後、ペッパーX318スコヴィル記録し世界一辛いトウガラシとなった気候ブート・ジョロキアスコヴィル値主観テストによる辛さ指標)に与え影響大きい。アッサム州テズプル(英語版)とマディヤ・プラデーシュ州グワーリヤル育ったものでは、気温同程度だが乾燥した気候後者ではカプサイシン含有量半分以下となっていた。素手で触るとかぶれるなどして危険なため取り扱い時はゴム手袋等を着用する必要があるジョロキア触れた後は決して目を擦ったりしてはならない

※この「辛味」の解説は、「ブート・ジョロキア」の解説の一部です。
「辛味」を含む「ブート・ジョロキア」の記事については、「ブート・ジョロキア」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「辛味」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ

辛味

出典:『Wiktionary』 (2021/04/30 16:35 UTC 版)

この単語漢字
しん
常用漢字

第三学年
音読み 音読み
この単語漢字
から
常用漢字

第三学年
訓読み 音読み

名詞

(しんみ または からみ)

  1. 辛い味。
  2. トウガラシワサビ・ショウガ・サンショウなど刺激のある味のもの。

「辛味」の例文・使い方・用例・文例

Weblio日本語例文用例辞書はプログラムで機械的に例文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。



辛味と同じ種類の言葉


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「辛味」の関連用語

辛味のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



辛味のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの辛味 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのトウガラシ属 (改訂履歴)、ブート・ジョロキア (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Text is available under Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA) and/or GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblioに掲載されている「Wiktionary日本語版(日本語カテゴリ)」の記事は、Wiktionaryの辛味 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、Creative Commons Attribution-ShareAlike (CC-BY-SA)もしくはGNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。
Tanaka Corpusのコンテンツは、特に明示されている場合を除いて、次のライセンスに従います:
 Creative Commons Attribution (CC-BY) 2.0 France.
この対訳データはCreative Commons Attribution 3.0 Unportedでライセンスされています。
浜島書店 Catch a Wave
Copyright © 1995-2024 Hamajima Shoten, Publishers. All rights reserved.
株式会社ベネッセコーポレーション株式会社ベネッセコーポレーション
Copyright © Benesse Holdings, Inc. All rights reserved.
研究社研究社
Copyright (c) 1995-2024 Kenkyusha Co., Ltd. All rights reserved.
日本語WordNet日本語WordNet
日本語ワードネット1.1版 (C) 情報通信研究機構, 2009-2010 License All rights reserved.
WordNet 3.0 Copyright 2006 by Princeton University. All rights reserved. License
日外アソシエーツ株式会社日外アソシエーツ株式会社
Copyright (C) 1994- Nichigai Associates, Inc., All rights reserved.
「斎藤和英大辞典」斎藤秀三郎著、日外アソシエーツ辞書編集部編
EDRDGEDRDG
This page uses the JMdict dictionary files. These files are the property of the Electronic Dictionary Research and Development Group, and are used in conformance with the Group's licence.

©2024 GRAS Group, Inc.RSS