触媒サイクル
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触媒サイクル (しょくばいサイクル、catalytic cycle) は化学分野で現れる用語であり、触媒が関与する多段階からなる反応機構を表す[1]。生化学、有機金属化学、物質科学などにおいて触媒の役割を説明するとき、触媒サイクルがよくつかわれる。触媒サイクルにはしばしばプレ触媒 (precatalyst) の触媒への変換が現れる。触媒は再生産されるものなので、触媒サイクルはたいてい一連の化学反応のループとして書かれる。そのようなループでは、第一段階には必ず反応物と触媒の結合が伴い、最終段階には生成物と触媒の分離が伴う。モンサント法、ワッカー法、ヘック反応などは触媒サイクルを用いて説明される。
- ^ Kinetics of catalytic reactions 2005 M. Albert Vannice
- 1 触媒サイクルとは
- 2 触媒サイクルの概要
触媒サイクル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/25 02:41 UTC 版)
この触媒反応における活性種は cis-[Rh(CO)2I2]− アニオンである。触媒サイクルは6段階になり、上図中央にあたるメタノールがヨウ化メチルに転換する反応とヨウ化アセチルの加水分解による酢酸の生成の2反応にはロジウム触媒は関与しない。まず始めに、cis-[Rh(CO)2I2]− にヨウ化メチルが酸化的付加して八面体形分子構造の[(CH3)Rh(CO)2I3]− が生成する。このアニオンは配位子のCO挿入反応によって速やかにカルボニル基が生成され、5配位のアセチル錯体である [(CH3CO)Rh(CO)I3]− が生成する。この5配位錯体は一酸化炭素と反応して6配位のジカルボニル錯体となり、還元的脱離によってアセチルヨウ素が遊離して再び活性種である cis-[Rh(CO)2I2]− に戻る。遊離したアセチルヨウ素は加水分解して酢酸およびヨウ化水素となり、ヨウ化水素はメタノールと反応して再びヨウ化メチルが生成される。 この反応はヨウ化メチルとロジウム触媒との反応が開始段階であるため、この触媒サイクルの律速段階は触媒へのヨウ化メチルの酸化性付加であると提唱されている。これはヨウ化メチルの炭素がロジウム中心に求核攻撃することで進行すると考えられている。
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