衆院解散とは? わかりやすく解説

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衆院解散


衆議院解散

(衆院解散 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/21 04:23 UTC 版)

衆議院解散(しゅうぎいんかいさん)とは、大日本帝国憲法下の帝国議会および日本国憲法下の国会において、衆議院解散すること。解散によりすべての衆議院議員は、任期満了前に議員としての地位を失う。解散に伴う衆議院議員総選挙を総称して解散総選挙と呼ぶ。


注釈

  1. ^ 日本国憲法第69条の規定により内閣不信任決議案が可決あるいは内閣信任決議案が否決されて解散する場合についても日本国憲法第7条により天皇の国事行為の対象となる[1](詳細は後述)。
  2. ^ 衆議院解散には7条解散と69条解散があるという説明がされることがあるが、この分類は解散原因を基準とするか詔書の文言を基準とするかにより文献によって異なる場合がある(詳細は後述)。
  3. ^ なお、日本国憲法施行後、最初の衆議院解散となった1948年(昭和23年)12月23日の解散の際には、松岡駒吉議長が『衆議院において、内閣不信任の決議案を可決した。よつて内閣の助言と承認により、日本國憲法第六十九條及び第七條により、衆議院を解散する。』と詔書を朗読している[16]
  4. ^ 理論上は、衆議院解散に限らず、内閣としてのすべての決定事項は一人内閣で決することができるが、議院内閣制を定めた日本国憲法の規定上、内閣の構成員たる国務大臣の多くは、衆議院の多数を占める与党の議員から迎えられることが想定されている。もし内閣総理大臣が与党の意に極端に背き、「一人内閣」にならざるを得ない事態になった場合、衆議院は内閣不信任決議を可決することでその内閣を倒すことができる。しかし、内閣総理大臣が解散権を行使すれば、それによって内閣不信任決議案は廃案となってしまうため、結局内閣総理大臣が解散権を行使しようとすれば、いかなる手段を以ても封じることはできないのである。衆議院解散の判断の是非は、解散後の総選挙によって国民に判断されることになる。
  5. ^ 議長が詔書を朗読する際には、「第七条」を「だいしちじょう」ではなく、「だいななじょう」と発音することが慣例となっている。これは(議場において議員や速記者等が)「一」や「四」と聞き間違えることを防ぐためである。ただし、1969年(昭和44年)解散時の際に松田竹千代議長が「だいしちじょう」と読んだ例も存在する[32]
  6. ^ 所謂天の声解散である。
  7. ^ 通常は、御名御璽以下の部分は朗読しない[33]。一部の解散時に御名御璽や解散日時・首相の副署部分まで朗読する場合があるが、回数は極めて少ない(1955年(昭和30年)1月24日の松永東議長[注 6][34]や2014年(平成26年)11月21日の伊吹文明議長[35]の例などがある)。
  8. ^ 詔書が読み上げられて衆議院議員が万歳三唱を行う際には、議員以外の職員、記者、一般傍聴人は、議場の秩序維持のためにこれに呼応した万歳及び喚声を上げてはならないとされており、解散が決定すると、あらかじめ傍聴席などに衛視を配備して警備を強化すると言われている
  9. ^ もっとも、日本国憲法施行後の昭和20年代では議長が解散詔書を読み上げた後に散会を宣言した例が存在したり(1948年(昭和23年)12月23日の衆議院解散の際の松岡駒吉議長、1953年(昭和28年)3月14日の衆議院解散【いわゆるバカヤロー解散】の際の大野伴睦議長[36]が「これにて散会いたします」と述べており、国会会議録に掲載されている)、近時の解散時に散会宣言があった例(2014年(平成26年)11月21日の伊吹文明議長)もある。
  10. ^ 衆議院事務局の見解では、解散詔書が発せられたことが内閣から議長に伝達された時点で解散が成立するとされている。
  11. ^ この直前に第2次松方内閣唯一の与党であった進歩党の政権離脱によって、衆議院がすべて野党側(無所属除く)で占められる状況下で内閣不信任上奏案が上程されるが、内閣は上程直後に衆議院を解散するとともに内閣総辞職を決定した。日本憲政史上、議会解散と内閣総辞職が同時に行われた唯一の例である。
  12. ^ 開院式は1891年(明治24年)11月29日、閉院式は1892年(明治25年)3月8日に行われた。
  13. ^ 任期満了選挙によるものであり衆議院解散ではないが、ロッキード解散と呼ばれることもあるので便宜上掲載。日付は任期満了の日である。
  14. ^ 第78回国会(臨時会)は、1976年(昭和51年)11月4日に閉会。その後、1976年(昭和51年)12月9日に衆議院議員の任期満了。
  15. ^ 前述のとおり、厳密には衆議院解散ではない。

出典

  1. ^ 浅野一郎 & 河野久 2003, pp. 35–36、芦部信喜 1984, pp. 513–514
  2. ^ 伊藤正己著『憲法 第三版』 弘文堂、1995年、518頁
  3. ^ 日本経済新聞社 2011, p. 96.
  4. ^ 日本経済新聞社 2011, pp. 96–97.
  5. ^ a b c d 芦部信喜 1984, pp. 513–514.
  6. ^ a b c d e f 浅野一郎 & 河野久 2003, p. 36.
  7. ^ a b c d e f g h 佐藤幸治 1991, p. 58.
  8. ^ a b 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、845頁
  9. ^ 野中俊彦 et al. 2006, p. 206.
  10. ^ a b 佐藤幸治 1991, p. 59.
  11. ^ a b c d e f g 松澤浩一著 『議会法』 ぎょうせい、1987年、341頁
  12. ^ a b c 芦部信喜 1984, p. 508.
  13. ^ 野中俊彦 et al. 2006, p. 207.
  14. ^ a b 野中俊彦 et al. 2006, p. 205.
  15. ^ 小嶋和司 『憲法概説』 良書普及会、1987年、437頁
  16. ^ 衆議院本会議第21号 会議録」(PDF)『第4回国会』議事録、1948年12月23日、273頁。
  17. ^ a b c d e f 浅野一郎 & 河野久 2003, p. 35.
  18. ^ 詳細については福岡政行著 『変わる!政治のしくみ』 PHP研究所、2010年、131頁など参照
  19. ^ 詳細については宮下忠安・小竹雅子著 『もっと知りたい!国会ガイド』 岩波書店、2005年、20頁など参照
  20. ^ 憲法制定の経過に関する小委員会報告書』。pp.137.[出典無効]
  21. ^ “可決4回、解散直結 「不信任決議の乱」を振り返る”. 日本経済新聞. (2011年6月2日). https://web.archive.org/web/20140409054501/http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS3104T_R30C11A5NNH000/ 2014年4月9日閲覧. "記事本文の一部のみ公開(会員限定領域有)"  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  22. ^ a b 藤本一美 2011, p. 15.
  23. ^ 帝国議会時代の衆議院帝国憲法改正案委員会(1946年(昭和21年)7月20日)における議員原健三郎に対する憲法担当国務大臣金森徳次郎答弁。
  24. ^ 衆議院選挙の日程に関する質問主意書に対する答弁(2009年5月22日
  25. ^ 公職選挙法 第31条 第5項”. e-Gov. 2020年1月27日閲覧。
  26. ^ 佐藤功著 『新版 憲法(下)』 有斐閣、1984年、840頁
  27. ^ 樋口陽一・中村睦男・佐藤幸治・浦部法穂著 『注解法律学全集3 憲法Ⅲ(第41条~第75条)』 青林書院、1998年、218頁
  28. ^ “解散は阻止できず 反対閣僚、罷免も”. 日本経済新聞. (2012年11月15日). http://www.nikkei.com/article/DGXDASFS14027_U2A111C1EA2000/ 2014年4月9日閲覧。 
  29. ^ a b 佐藤功著 『新版 憲法(上)』 有斐閣、1983年、56頁
  30. ^ a b c 参議院総務委員会調査室編 『議会用語事典』 学陽書房、2009年、118頁
  31. ^ 福岡政行著 『変わる!政治のしくみ』 PHP研究所、2010年、130頁
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  34. ^ 衆議院解散 昭和30年(1955年) - 2014年11月24日閲覧。
  35. ^ 2014/11/21 衆議院本会議「解散」 - 2014年11月24日閲覧。
  36. ^ 第015回国会 本会議 第41号 衆議院会議録 1953年3月14日
  37. ^ 総選挙の場合被災地の延期認めず 政府答弁書を決定 - 共同通信・日本経済新聞2011年5月17日
  38. ^ “消費税解散に3つの壁…支持率・1票格差・公明”. 読売新聞. (2012年3月9日). https://archive.is/6P1lf 2012年5月1日閲覧。  ※ 現在はウェブアーカイブサイトarchive.is」に残存
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  41. ^ “天皇陛下外遊中の衆院解散、首相「法律上、何ら問題ない」”. 日本経済新聞. (2009年7月2日). https://web.archive.org/web/20090705095546/http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090702AT3K0201A02072009.html 2009年7月18日閲覧。  ※ 現在はインターネットアーカイブ内に残存
  42. ^ 参議院予算委員会2000年4月25日議事録
  43. ^ 立民、首相の解散権制限で改憲検討を提案”. 47news. 共同通信社. 2023年11月16日閲覧。
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  52. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 「ごめんね カオナシ 自民党 お手上げ――解散、名付けると」『朝日新聞』2009年7月22日付朝刊、第13版、第38面。
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  59. ^ "安倍氏「コロナ脱却V字回復解散」立共を猛批判". 産経ニュース. 産経デジタル. 14 October 2021. 2021年10月14日閲覧


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衆院解散

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 21:16 UTC 版)

ハプニング解散」の記事における「衆院解散」の解説

5月19日、灘尾議長本会議開かず議長応接室に各会派の代表を集め解散詔書朗読出席者のみで三唱される歳が応接室空しく響く中、前回選挙からわずか7ヶ月余で衆議院解散となった内閣不信任決議可決当日衆議院解散しなかったのはこの時だけである。大平首相解散選んだ理由として「確かに道は解散総辞職二つある。総辞職致しますと当然野党第一党社会党選挙管理内閣作って頂いてすぐ野党第一党の手解散事態となる。そういう手順踏んで参りますことは政局混迷を却って倍増して行くんじゃないかと判断致しまして何ら迷いもなく解散の道を選んだわけでございます。私は総辞職をする理由もないし、不信任理由承認できないので、これに対して政府国会という立場原点返って国民判断を仰ぐのが憲政の常道解散決意した」と答えている。 野党不信任案可決されることを予測しておらず、自民党内の反主流派戦略なく行き当たりばったりで本会議欠席し結果として解散至ったため、「ハプニング解散」と呼ばれる当初から不信任案可決解散流れ警戒していた春日可決後、「切れないノコギリ自分の腹に当てやがって」(首相退陣追い込むどころか提出した側が全員失職した意)と野党未熟ぶりを嘆いたという[要出典]。

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