萎縮性胃炎
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萎縮性胃炎 | |
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分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 | 消化器学 |
ICD-10 | K29.4 |
ICD-9-CM | 535.1 |
DiseasesDB | 29503 |
eMedicine | med/851 |
MeSH | D005757 |
GeneReviews |
萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん、英: Atrophic gastritis)とは、胃の「慢性胃炎」の状態の多くを占める。「慢性胃炎」とほぼ同義として用いられる。
定義
胃炎における「萎縮(Atrophy)」とは、胃底腺組織の減少と、それにより胃粘膜の菲薄化が生じることである。内視鏡(胃カメラ)では、胃粘膜血管の透見が見られ、粘膜色調も褐色調へと変化し、胃の粘膜皺壁が消失が認められる。
要因
「Strickland & Mackay 分類」で以下の2つに分類されるが、ほとんどの場合はヘリコバクター・ピロリ感染によるものである。
- A型胃炎:自己免疫性胃炎
- 頻度は少ない。欧米のスカンジナビア半島に多く認められていることが報告されている。
- B型胃炎:ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎
- ほとんどの場合の要因である。
所見
「萎縮性胃炎」は多くの場合は「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」による変化の一つであり、ほぼ同義として用いられている。
「ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎」による主な所見[1]。
- 腸上皮化成(intestinal metaplasia)
- 胃底腺萎縮と腸上皮粘膜形成と認めたもので、白色隆起の粘膜所見を呈する。
- 過形成polyp(hyperplastic polyp)
- 鳥肌胃炎 (nodularity gastritis)
- ヘリコバクター・ピロリ感染初期に生じる胃粘膜変化で、鳥皮のような結節状/顆粒状隆起の散在所見を呈する。
- 組織学的にはリンパ濾胞の増生が認められ、感染に対する免疫応答の変化と考えられている。
- ヘリコバクター・ピロリ除菌治療にて消失することが知られている。
- 黄色腫(xanthoma)
- ヘリコバクター・ピロリの感染にて胃に生じる変化。
- 瀰漫性発赤/点状発赤(diffuse redness / spotty redness)
- ヘリコバクター・ピロリが活動的に感染している胃に認められる変化。
- 地図状発赤(map like redness)
- ヘリコバクター・ピロリ除菌後の胃に認められる変化。除菌後の定期的な注意深い監視が必要と指摘されている[2]。
分類
木村・竹本分類
1969年に、東京大学医学部第三内科の竹本忠良(後に東京女子医科大学教授)と、木村健(後に自治医科大学教授)によって提唱された分類で、胃の萎縮性変化の進行を分類したもの。現在でも実臨床で広く用いられている分類。
- Closed type
- C-1 C-2 C-3
- Open type
- O-1 O-2 O-3
京都分類
2013年に、京都で開催された「第85回日本消化器内視鏡学会総会」で、「木村・竹本分類」を基本として「ヘリコバクター・ピロリ」の感染状態を付加して提唱された分類。
- ヘリコバクター・ピロリ感染の活動性
- Active gastritis(現在の感染)
- Inactive gastritis(感染の既往)
- Non gastritis(未感染)
- 萎縮性変化の範囲
- 木村・竹本分類に準ずる
- ヘリコバクター・ピロリ感染の所見
- 萎縮 (A Atrophy):0・1・2
- 腸上皮化成 (IM intestinal metaplasia):0・1・2
- 皺壁腫大 (H hida):0・1
- 鳥肌 (N nodularity):0・1
- 瀰漫性発赤 (DR diffuse redness):0・1・2
関連項目
脚注
- ^ 鎌田智有, 春間賢, 井上和彦, 塩谷昭子, 「Helicobacter pylori感染と内視鏡的胃炎―胃炎の京都分類―」『日本消化器病学会雑誌』 2015年 112 巻, 6 号, p.982-993, doi:10.11405/nisshoshi.112.982
- ^ 鎌田智有, 春間賢, 眞部紀明, 山中義之, 藤本壮八, 井上和彦, 高尾俊弘, 「胃内視鏡検診受診者における「胃炎の京都分類」からみたH. pylori感染動態」『人間ドック (Ningen Dock)』 2018年 33 巻, 1 号, p.29-34, doi:10.11320/ningendock.33.29
萎縮性胃炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/05 21:42 UTC 版)
ピロリ菌感染胃炎の放置により、その一部で胃潰瘍や十二指腸潰瘍を発症することがあるが、10-20年を経て胃の粘膜が萎縮し、胃液が十分に分泌されなくなる「萎縮性胃炎」に進行する。胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、直接胃がんの原因にはならないが、萎縮性胃炎が進行すると胃がんを発症しやすくなる。萎縮性胃炎は、症状が現れないことも多いが、人によっては胃のもたれや痛みが現れたり、少量の食事でも膨満感が起こることがある。
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萎縮性胃炎
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/07/20 04:51 UTC 版)
萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん、英: Atrophic gastritis)とは、腸上皮化生のような腸又は線維組織によって胃組織の置換が起こり、胃腺細胞の減少をもたらす、胃粘膜の慢性炎症の過程をいう(A型及びB型胃炎として知られている)。塩酸、ペプシン、内因子のような基本的な物質の胃での分泌が結果的に障害を起こし、消化器系の疾患、ビタミンB12欠乏と悪性貧血である巨赤芽球性貧血をもたらす。 胃粘膜が萎縮することでビタミンB12の吸収に必要な内因子が低下するためにDNAの合成が障害され異常な巨赤芽球ができるために悪性貧血が起こる。内因子の欠乏は他にも胃全摘後などにも起こるが、悪性貧血と呼ばれるのは萎縮性胃炎によるものだけである。「悪性」と呼ばれるのはビタミンB12が発見されるまでは治療法がなく致死的な経過をたどったため。 萎縮性胃炎は、ヘリコバクター・ピロリの慢性的感染や生まれ持った自己免疫によって引き起こされる。自己免疫性萎縮性胃炎を含むこれらの疾患は、統計的には、胃癌や甲状腺疾患である橋本病や塩酸欠乏症を引き起こす。 A型胃炎は、胃底部や胃体部に影響を及ぼし、一般に悪性貧血を伴うものである。 B型胃炎は、全体的に最も一般的であり、一般的にはヘリコバクター・ピロリに感染して、胃に洞を形成するものである。
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