菊池の松囃子とは? わかりやすく解説

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菊池の松囃子

名称: 菊池の松囃子
ふりがな きくちのまつばやし
種別1: 民俗芸能
保護団体名: 松囃子御能保存会
指定年月日 1998.12.16(平成10.12.16)
都道府県(列記): 熊本県
市区町村(列記): 菊池市大字隈府
代表都道府県 熊本県
備考
解説文:  菊池の松囃子は熊本県菊池市伝承される芸能で、毎年十月十三日菊池神社の秋の大祭初日に、征西将軍懐良【かねよし】親王ゆかりの将軍木【しようぐんぼく】と称するムク大木向かって建てられている能舞台演じられる
 松囃子とは中世流行した芸能で、もともと新春祝言述べ種々の芸能演じたもので、拍・奏などとも記した松囃子は、演じられる芸能種類から、つくりもの仮装など風流系のものと、能・狂言系統大別される。菊池の松囃子は能・狂言演じ松囃子として、古風な面影残している。
 菊池の松囃子の起源について確たる資料を欠くため不明確であるが、地元の伝承では一四世紀懐良親王菊池迎えた菊池武光たけみつ】により、年頭祝儀として正月二日催したのを始まりとしており、また、現在伝承されている詞章などからみて少なくとも室町時代から伝承されていると考えられる
 菊池の松囃子は、立烏帽子たてえぼし】・直垂ひたたれ】・大口袴おおぐちばかま】・白足袋姿の舞人一名、裃姿の地謡じうたい】方(人数不定)、裃姿の大鼓二名太鼓一名囃子方、および介添え一名によって演じられる。その次第は、最初に地謡切戸口きりどぐち】より出て鏡板を背にして二列に着座し、続いて橋掛【はしが】かりから大鼓太鼓介添え役が出て地謡前に座る。その後、一メートルほどの笹を右肩担いだ舞人橋掛かりから摺り足登場し舞台正面進み着座して、将軍木に向かい一同一礼する。演技三段構成されており、初段舞人立ち上がり、「天下泰平国家安穏武運長久息災延命、弓は袋に入れ、剣は箱に納め我が朝にては、延喜の帝の御代ともいいつべし。もろこしにては堯舜【ぎようしゆん】の御代ともいえり。千年丹頂歳緑毛の亀、めでたき御代にて御座候毎年嘉例をはやし申そう」と祝言述べ二段目地謡囃子合わせて笹を持って三番叟さんばそう風の舞を舞う。三段目では、舞人太鼓の横にいる介添え役のところに進み三宝さんぽうの上に笹を載せかわって扇を右手持ち舞い納めるその後一同将軍木に向かい一礼して舞人介添え役・囃子方橋掛かりより、地謡切戸口から退出するここまでいわゆる松囃子」であるが、地元ではこの部分を「勢利婦【せりふ】」と称しその後仕舞【しまい】「老松おいまつ】」をはじめとする仕舞狂言が数番ずつ演じられ全体を「御松囃子御能」と称している。全体として舞い振り古風であり、謡の調子にも素朴な要素とどめるものといえる。
 このように、菊池の松囃子は中世松囃子の一形態伝えるものとして貴重であり、能の変遷過程を知るうえで特に重要である。

菊池の松囃子

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