絶対安定多数
政権与党が国会運営を安定して行うために必要だとされる議席の数。日本では衆議院の議席数を指して用いられることが多いが、参議院でも同様に用いられる表現である。
衆参両院に設置される各委員会の委員は、各党の議席比率にしたがって決定される。そのうち全ての常任委員会における委員長のポストを、与党が独占することのできる議席数を「安定多数」と言う。
各常任委員会の委員長ポストの独占を意味する安定多数の状態に加えて、各種委員会に所属する委員の過半数を与党議員が占めることができる議席数を「絶対安定多数」と言う。
絶対安定多数を獲得することで、与党はより円滑で安定した政権運営を行うことができるとされている。
ぜったい‐あんていたすう【絶対安定多数】
絶対安定多数(ぜったいあんていたすう)
定数480の衆議院では、与党が過半数の241議席を占めていれば、ほとんどすべての議案(法律案)を成立させることができる。したがって、過半数は選挙における一つの勝敗ラインとなり得る。
しかし、法律案は本会議で採決を行う前に、それぞれ専門の国会議員で構成される常任委員会で審査されるのが一般的である。各常任委員会において、法律案は過半数の委員(国会議員)の賛成により可決され、そして本会議での採決が行われる。
現在、衆議院では、予算委員会、議員運営委員会、厚生委員会、法務委員会など合わせて21の常任委員会がある。国会議員は、どれかの常任委員会に所属することになっている。ところが、常任委員会の委員は、会派(政党)の勢力に比例して割り当てられる。ゆえに、国会運営を思うように運営していくためには、すべての常任委員会で過半数を確保することが求められる。
与党が、常任委員会の委員長をすべて独占し、過半数の委員数を確保するのに必要な議席数のことを絶対安定多数と言う。定数480の衆議院では269議席が絶対安定多数となる。
ちなみに、常任委員会での委員数が過半数ではなく、半数以上を占めるときは安定多数と呼ぶ。
(2000.05.31更新)
安定多数
(絶対安定多数 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/18 10:24 UTC 版)
安定多数(あんていたすう)とは、国会で政権与党が安定した国会運営を行うために必要な議席数をいう。特に衆議院の議席数に対して使われる。
注釈
- ^ 実際の議院運営では、常任委員長の人事は議院の決議によって議長に一任され、議長が各会派の議席数に比例して配分のうえ決定することが慣例となっている。
- ^ また、安定多数・絶対安定多数は、いざとなればいつでも与党が委員長の座を与党議員に差し替えて委員会運営をしても、与党にとって支障がないようにするため必要な議席数という意味を持つ。たとえば、2013年(平成25年)の第185回国会(臨時会)では、参議院での法案審議が与党(自由民主党・公明党)の思惑通り進められなかったため、同年12月5日、野党・民主党の水岡俊一内閣委員長と大久保勉経済産業委員長を解任決議によって解任し、代わって自由民主党の山東昭子参議院議員と北川一成参議院議員を後任の内閣委員長・経済産業委員長に選任した。このときまで参議院は、17常任委員会の委員長ポストを与党11(自民9・公明2)、野党6(民主5・みんな1)で分け合っていたが、差し替えの結果、与党13、野党4となった。このような体制にしても、与党で135議席(参議院議長を含む)を占め、安定多数の129議席を上回っているため、与党にとって参議院の審議運営に支障はない。なお、後の会期では元通り、内閣・経済産業両委員会の委員長ポストは民主党議員に戻された。
- ^ 衆議院議員総選挙で振るわなかった責任を追及されて総理総裁が辞任にまで追い込まれるようになったのは、1970年代初めの三角大福の時代以後のことである。
- ^ 2016年(平成28年)5月の公職選挙法改正により、第48回衆議院議員総選挙から、衆議院議員の定数が465人となった。
出典
- 1 安定多数とは
- 2 安定多数の概要
- 3 概説
- 4 政治史における安定多数
- 5 脚注
絶対安定多数と同じ種類の言葉
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