紙本金地著色四季花鳥図〈狩野正信筆/六曲屏風〉
主名称: | 紙本金地著色四季花鳥図〈狩野正信筆/六曲屏風〉 |
指定番号: | 1910 |
枝番: | 00 |
指定年月日: | 1991.06.21(平成3.06.21) |
国宝重文区分: | 重要文化財 |
部門・種別: | 絵画 |
ト書: | 七十四歳の款記がある |
員数: | 一双 |
時代区分: | 室町 |
年代: | |
検索年代: | |
解説文: | 向かって右隻を春・夏、左隻を秋・冬の景とする四季花鳥図屏風である。地面・土坡【どは】・雲に金箔【きんぱく】を貼り(雲の周囲には金泥を盛り上げる)、花鳥・岩・水には良質の顔料で鮮やかな彩色をほどこしている。鳥の種類や形態、その構成、また松の幹・枝・岩の筆法などは、宋-明の中国絵画に由来する、いわゆる漢画の手法になり、一方、地面や雲形への金箔の使用、松葉・桜花・梅花・楓葉の描法などは、やまと絵の画法による。和漢の画法を取り合わせて描かれた華麗な大画面花鳥画ということができる。 款記は両隻とも「狩野越前法眼元信【かのうえちぜんほうげんもとのぶ】生年七十四筆」と記され、「元信」朱文壺形印を捺【お】す。狩野元信(一四七六-一五五九)の七十四歳は天文十八年(一五四九)に当たる。この款記の書体は「神馬図額【じんめずがく】」(重要文化財、兵庫県・賀茂神社蔵)などに較べれば異例であるが、印章については「花鳥図屏風下絵」(兵庫県・個人蔵)などと同印と見なされ、元信が用いた印章のひとつと考えてよい。また、本図の箱の底には、天文二十年(一五五一)に新調した旨の墨書(元和九年・一六二三の写し)があり、款記にいう制作時期をほぼ裏付ける。 元信は、父正信【まさのぶ】の画風を発展させるとともにやまと絵の手法を摂取し、狩野派の様式の基礎となる画風を確立した。そのレパートリーのなかに、次代の桃山時代で隆盛を見る金碧障屏画【きんぺきしようへいが】が含まれていたことは、特に注目される。記録によれば、天文十年(一五四一)、元信は大内義隆【おおうちよしたか】から明に贈る金屏風三双と扇一〇〇本の注文を受けた。屏風の画題は「鶴亀松竹鴛鴦鴨小鳥」「月日桐孔雀鳳凰」「松楓柳桜小鳥」であったというが(「至大唐御進物別幅分」、『天竜寺文書』)、現存する作例では、本図がこの種の金碧花鳥図の唯一の例である。元信の和漢にわたる画法摂取の成果を示す貴重な作例といえよう。奈良県・興福寺に伝来した。 |
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