神を見る
『遠野物語』(柳田国男)91 鳥御前という男が、山で赭い顔の男と女に出会う。彼らは鳥御前の近づくのを制止するが、鳥御前は戯れて腰の切刃(きりは)を抜き、男に蹴られて気絶する。鳥御前は友に介抱されて家に帰り、3日ほど病んで死ぬ。山の神の遊んでいる所を邪魔したため、祟りを受けて死んだのだった。
『日本書紀』巻14〔第21代〕雄略天皇7年(A.D.463)7月 雄略天皇は「三諸丘(みもろのをか)の神の姿を見たい」と思い、臣下の少子部連(ちひさこべのむらじ)スガル(*→〔同音異義〕1c)に、「行って捉(とら)えて来い」と命ずる。スガルは三諸丘に登り、大蛇を捉えて天皇に見せる。大蛇は雷音をとどろかせ、目をきらきらと輝かせた。天皇は恐れ、目をおおって大蛇を見ずに殿中に退き、大蛇を丘に放たせた。
*→〔夫〕4の『日本書紀』巻5崇神天皇10年9月・『変身物語』(オヴィディウス)巻3・〔水浴〕3の『変身物語』(オヴィディウス)巻3・〔盲目〕3aの『ギリシア神話』(アポロドロス)第3巻第6章。
*双頭の蛇を見ると、死ぬ→〔蛇〕9aの『太平広記』巻117所引『賈子』。
*毛の生えた蛙が家に現れたら、誰かが死ぬ→〔蛙〕4bの『蛙』(ゲーザ)。
*龍の姿を見て、気絶する→〔龍〕8の『今昔物語集』巻24-11。
*後ろ手で、神に捧げ物をする→〔後ろ〕1bの『奇談異聞辞典』(柴田宵曲)「戸隠明神」。
『大鏡』「昔物語」 宇多天皇がまだ侍従であった元慶2年(878)頃、11月下旬に鷹狩りに出かけたが、急に霧が立ちあたりが暗くなり、供人は薮の中に伏し震えていた。その間1時間ほど、賀茂明神が出現して侍従に託宣していた。
『古事談』巻3-58 長久の頃、最勝講の時、道場に持国天以下の四天王が現れたが、後朱雀院以外の人はこれを見なかった。
『出エジプト記』第19~20章 雷鳴と稲妻と厚い雲がシナイ山に臨み、角笛の音が鳴り響いて、神がモーセ(モーゼ)を山の頂へ呼ぶ。イスラエルの人々は山の下で待つ。神はモーセに十戒を語る。
『出エジプト記』第24~32章 後にモーセは40日40夜、山にこもって神の言葉を聞き、神が指をもって記した2枚の石の板を授かった。
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