ばんだいさん 【磐梯山】
磐梯山(福島県)
1819m 北緯37度36分03秒 東経140度04分20秒 (磐梯山)(三角点) ※座標は世界測地系による
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概要
磐梯火山は、福島県猪苗代湖の北に位置する底径7~10km、比高約1kmの安山岩質(SiO2 56~65%)の成層火山。赤埴山(あかはにやま)、櫛ヶ峰、大磐梯、小磐梯などが沼の平火口を取り囲んで、円錐形火山体が形成されているが、過去に山体崩壊が何度か繰り返されて現在の山容となった。1888年の水蒸気爆発にともなう山体崩壊と岩屑なだれは著名であるが、この他にも南西方の翁島や頭無しなどの岩屑なだれ堆積物があり、それらに対応する崩壊壁が山体に認められる(守屋:1980)。 別名、磐代山、万代山、会津富士。
磐梯火山の形成史は、休止期をはさんで新旧2つの活動時期に大きく分けられる(山元・須藤:1996、三村・中村:1998)。古記の活動ではおもに南の赤埴山や櫛ヶ峰が形成され、新期の活動では大磐梯山や小磐梯山が形成された。新期の活動では南麓に翁島岩屑なだれと軽石流を堆積させた(千葉ほか:1994、三村・遠藤:1997)。崩壊跡地の馬蹄形カルデラ内には、その後に再び山体が形成された。おもなマグマ性の活動は数万年前には停止して、その後は水蒸気爆発の活動へと移行した(千葉ほか:1994、山元・須藤:1996)。
1888年に水蒸気爆発により小磐梯山の山頂を含む北側が崩壊し、その際発生した岩屑なだれで大被害を生じた(関谷・菊池:1980)。爆発にともなって疾風(サージ)も発生した(山元ほか:2000)。山頂部北側の馬蹄形カルデラ壁、北麓裏磐梯高原の流れ山、桧原湖、小野川湖、秋元湖など大小の湖沼はこの活動の山体崩壊と岩屑なだれで生じた特徴的な地形(中村:1987)。
有史後の噴火はすべて水蒸気爆発で、泥流を生じやすい。前記カルデラ壁や山頂沼ノ平火口には微弱な硫気孔が点在する。カルデラ壁の崩壊や山崩れも時々起こっている(町田・渡部:1988)。
最近1万年間の活動
磐梯火山では約2.5万年前以降にはマグマ噴火は記録されておらず、水蒸気爆発だけが起きている(山元・須藤:1996)。堆積物として記録が残る水蒸気爆発は1888年噴火や806年噴火も含めて、最近5000年間で4回発生しており、その発生間隔は1100~1700年である。また、山体崩壊は、小磐梯山の南東側で約2500年前にも発生している。
記録に残る火山活動
※「概要」及び「最近1万年の活動」については日本活火山総覧(第3版)(気象庁編、2005)、「記録に残る火山活動」については前述の活火山総覧及び最近の観測成果による。火山観測
気象庁では、地震計5台(うち常設1台)、空振計2台、GPS観測装置5点、遠望カメラ1台を設置し、そのデータを仙台火山センターへ常時伝送し、火山活動の監視・観測を行っています。
また年に1、2回の現地観測を実施し、赤外熱映像装置による地熱地帯の状況、噴気地帯の状況等の把握を行っています。 さらに平成14年秋から、現地観測に併せて、現地収録型GPS観測装置を使用したより細かな地殻変動観測もおこなっています。
火山活動解説資料
気象庁が実施した火山観測データの解析結果や、火山活動の診断結果を掲載します。毎月1回、上旬に公表します。
最新号(2009年6月の火山活動解説資料(pdf:828kb)) (なお、2009年7月の活動解説資料は、2009年8月7日に発表予定です。)
磐梯山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/28 01:43 UTC 版)
磐梯山(ばんだいさん)は福島県耶麻郡猪苗代町、磐梯町、北塩原村にまたがる1,816mの活火山である。会津盆地側からは、綺麗な三角の頂が見えることから会津富士(あいづふじ)、あるいは民謡にあるように会津磐梯山(あいづばんだいさん)とも呼ばれている。日本百名山に選定されており、福島県のシンボルの一つとされている[1]。
注釈
出典
- ^ 交通・自然・統計情報(福島県定住・二地域居住関係ポータルサイト)
- ^ 磐梯山2.32メートル低く 新三角点活用し調査(河北新報 2010年12月28日)
- ^ 磐梯山[ばんだいさん Bandaisan【常時観測火山】] 気象庁
- ^ 守屋以智雄:磐梯火山の地形発達史 地学雑誌 1988年 97巻 4号 p.293-300, doi:10.5026/jgeography.97.4_293
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- ^ a b c 吉田英嗣:土砂供給源としてみた日本の第四紀火山における巨大山体崩壊 地学雑誌 2010年 119巻 3号 p.568-578, doi:10.5026/jgeography.119.568
- ^ 「会津若松市史13」『会津の大地-自然の生いたちと姿』(自然編3地誌)2004年、会津若松市、p.10
- ^ 福島県立図書館デジタルライブラリー:福島県立図書館所蔵 磐梯山噴火120年関係資料目録
- ^ 大森房吉:第三十表 磐梯山噴火(本州中部及北部噴火表、日本噴火志上編) 震災豫防調査會報告 第86號、1918.2、pp.135-138, hdl:2261/17329
- ^ 磐梯山について - 磐梯山噴火記念館
- ^ 1888年磐梯山爆発 国立科学博物館地震資料室
- ^ 『特別展 皇室の名宝』1989年 No.139の解説
- ^ 山口伊佐夫『山・川・自然災害逸史』デマンド社p178
- ^ 北原糸子他 座談会(後編)「災害の歴史から何を学び、どう向き合うか 災害列島に生きた人々」/ 保立道久・成田龍一監修、北島糸子他著『津波、噴火、、、日本列島地震の2000年史』 朝日新聞出版 2013年 p.110 ISBN 9784023311701
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- ^ 米地文夫:噴火以前の磐梯山の地形復元 地学雑誌 1988年 97巻 4号 p.317-325, doi:10.5026/jgeography.97.4_317
- ^ 絵画資料の分析による小磐梯山山頂の旧形と1888年噴火経過の再検討 東北地理 1989年 41巻 3号 p.133-147, doi:10.5190/tga1948.41.133
- ^ 紺谷和生、谷口宏充:磐梯山1888年噴火によるサージ堆積物と被災記録 東北アジア研究 2004年 8号 p.71-90, ISSN 1343-9332, hdl:10097/41091
- ^ 伊豆大島2013年ラハールの堆積学的特徴:ラハール堆積物の粒度組成による分類 地質学雑誌 2014年 120巻 7号 p.233-245, doi:10.5575/geosoc.2014.0022
- ^ 2000年の磐梯山の火山活動と行政の対応 内閣府 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 2005年3月
- ^ 磐梯山の火山活動解説資料(平成21年5月) 気象庁 (PDF)
- ^ 磐梯山の火山活動解説資料(平成26年8月) 気象庁 (PDF)
- ^ “福島 磐梯山 一日の火山性地震観測数が過去最多で臨時解説情報”. NHK NEWS WEB (2022年12月28日). 2022年12月28日閲覧。
- ^ “磐梯山の火山活動解説資料”. 仙台管区気象台 地域火山監視・警報センター. 2022年12月29日閲覧。
- ^ shikihidebeyaのツイート(883578458537738240)
磐梯山
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/13 17:57 UTC 版)
詳細は「1888年の磐梯山噴火」を参照 1888年、水蒸気爆発が引き金となって磐梯火山で大規模な崩壊が発生。岩屑なだれによって長瀬川がせき止められ、桧原湖、小野川湖、秋元湖、五色沼などの湖沼ができた。磐梯山の場合、山から湧いていた温泉により岩石の風化が進んでいたことが崩壊の要因となった。
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