相続
相続法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 21:34 UTC 版)
旧民法で仏法系の技術的規定と日本固有の家督相続制が矛盾衝突したため、独民法草案を介してローマ法の遺言相続主義の法理を採り入れ、学理的整備を行っている。 しかし、通説は根本的修正ではないと解しており、独民法草案が頻繁に参照されたにもかかわらず、相続法は仏民法の影響が強く残っている。
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相続法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:50 UTC 版)
相続自由の原則が認められる現在の米国の相続法だが、イングランド法を継受しているために、人の財産関係はキリスト教精神との関係から一代で完全に消滅するとの建前により、遺産管理の主たる目的は死者のもつ債務の履行であるとされ、その法理は当然に死者の債務も債権も相続人に移転するとの態度をとらない。 13世紀末ごろのイングランドでは、遺産は、相続人が死者の債務を全て弁済した後、遺言執行者に引き渡し、遺言執行者が死者の意思により遺産を分配していた。また、この頃から相続人の死者の法律上の債務についての責任は、遺産の総額の範囲内とされ、現在の日本の限定承認に似た制度が「あるべき法」としてみとめられていた。 合衆国各地域がイギリス植民地時代を終え、その慣習法の継受が終了した段階では、すでに相続人と遺言執行者の地位は逆転していたが、1830年の遺言執行者法(Executors Act,1830)を継受していないため、アメリカでは遺言執行者はコモン・ローの原則どおり、遺言執行者が明らかに遺言者の意思に反しているとされた場合以外は残余財産の所有権は遺言執行者に帰属するとの原則どおりとなり、遺言の執行に関して大きな権限をもつ。つまり、遺言執行者の法的地位は、死者の全ての財産関係の代表者、完全な管理清算機関である。また、遺言執行者と相続人は相互に干渉しないとの原則も受け継がれている。 以上の経緯により、アメリカでもイングランド相続法の人格代表者制度(personal representatives)を採用しており、死者の意思たる遺言により、遺産の受託者的な遺言執行者は死者の意思たる遺言を執行する。なお、これらの建前は相続人を包括継承人として扱い、当然に遺産の財産権が相続人に移転するとする、日本、ドイツ、フランス、などの相続法と大きく異なっている。 検認裁判は遺言の有効性と遺言執行者の遺産への権利を証明するために行われる、死者が無遺言の場合、もしくは遺言の中で遺言執行者を選任していない場合に行われる、英米法独自の相続手続である。人格代表者制度(personal representatives)の建前から、死者名義の所有権のある財産で、共同所有(ジョイントテナンシーJoint Tenancy)や、トラストや契約によるもの以外は、死者との利害関係人との債務の清算のために、プロベートと呼ばれる検認裁判を経て遺産の分配が行われる。 検認裁判(プロベート)では、死者が遺言を残していればその遺言が裁判所に提出され、遺言がなければ遺言なしの申請を裁判所に行い検認の手続を開始させる。検認裁判は、(1)遺産管理人を任命する。(2)遺言書や遺言があればそれを裁判所が検分する(3)遺産の実質的な内容と価値の査定(4)死者の負債と租税の確認と清算(5)遺言があればそれに添って遺産を配分処分し、遺言がなければ法定相続人や国庫へ遺産を配分する。資産の内容は公開とされ、裁判所費用、弁護士費用、鑑定士経費などが、相続財産から差し引かれる。そのため、ある免責額(例えばカルフォルニア州法では10万ドル)が制度として、各州において定められている。 遺産の相続先は、原則として死者の意思による。そのため、人のみでなく、犬や猫(物)にも遺産の相続が認められる(遺言執行者の死者の意思の代理行為)。例外として、共同所有(ジョイントテナンシーJoint Tenancy)の場合は、生存者に当該所有権が検認裁判所の手続なしで当然に継承される。 夫婦の共有財産(コミュニティ・プロパティ、夫婦が結婚してから作ったと認められる財産)は、全て配偶者が相続できるが、遺言で共有財産の半分(死者の持分)を誰にでも相続させ得る(離婚している場合は離婚裁判で財産の分与は既に済んでいる)。法定相続分は、夫婦の共有財産でない場合は子と妻の立場は対等になる。 遺言がない場合は、州法などによって相続人の範囲が定められており、その詳細は州によって異なるが、個人の意思(遺言)がない場合は、妻、子供、孫、曾孫、父母、兄弟姉妹、祖父母、叔父叔母従兄弟が相続人と定められ、関係者がいない場合は各州が収納する。 以上のように清算手続を経てプラスの残余財産がある場合に相続人は初めて相続することから、故人(被相続人)の負債は遺産の範囲外であり、そもそも日本のように相続放棄により負債を逃れる必要はない(日本では黙って相続すると、債務まで引き継ぐことになり得るがアメリカの場合はない)。なお、相続を放棄することは自由である。 もっとも、検認裁判では複雑な手続と費用が必要なため、これを回避する目的で、米国では、老若男女・遺産の多寡にかかわらず、多くの人が指定遺言執行者(Executor)か管財人(Administrator)が遺産の分与を執行する旨の遺言状を作成するのが通常であり、他に生前信託も大いに利用されている。
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