相利共生とは? わかりやすく解説

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そうり‐きょうせい〔サウリ‐〕【相利共生】

読み方:そうりきょうせい

共生一型で、両種ともに利益を受ける関係。アリアブラムシヤドカリイソギンチャクの関係など。


相利共生

英訳・(英)同義/類義語:mutualism

共生関係にある生物種のいずれにも有利な点のある共生関係一方のみの場合片利共生もしくは寄生

相利共生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/11/27 10:04 UTC 版)

相利共生(そうりきょうせい、mutualism)とは、異なる生物種が同所的に生活することで、互いに利益を得ることができる共生関係のことである[1]

ここでいう利益には、適応力や生存能力などが含まれる。同じ種内で双方が利益を得るような関係は、協力として知られる。相利共生を共生と同義とされることもあるがこれは誤りで、実際には共生というと片利共生[2]片害共生寄生などが含まれる。

概要

菌類藻類の共生生物である地衣類。この関係は絶対的相利共生にあたる。

相利共生は種間競争と対比することができる。種間競争では、ある種が別の種を犠牲にして利益を得るため、それぞれの種の適応力や種が獲得できる利益は相利共生とは反対に減少する。

相利共生は、生態学的に重要な関係である。たとえば、70%以上の陸上植物の根には菌根菌が共生しており、植物は無機化合物や微量元素を菌根菌から受け取る一方、菌根菌は植物から光合成産物を受け取っている。

さらに、虫媒花に見えるランなどに代表される花の形状は、送粉者の形態や行動に合わせ、より受粉率を上げるような形状に進化し、また送粉者もより蜜などを得やすい形態に進化することで、共進化が起こっていることが考えられる。しかし、相利共生による進化の促進効果は、他の種間関係(捕食-被食関係や寄生など)による進化の促進効果よりも小さいものと考えられる[3][4]

植物と送粉者の関係のように、各個体が得られる利益に差がある関係では、各個体が相利共生によってどれほどの利益を得ているのかを単純に測定することはできない。そのため、相利共生を考える際に、共生関係が必ず発生しているかそうでないかによって、前者を「絶対的相利共生[5]、後者を「条件的相利共生」と区別することもある。しかし前者に関しては、他種との共生関係なしでは生存できないという場合や、他種の細胞に共生できないと生存できないという場合などを含む。

地衣類と共生藻は入手性や実験操作の簡便性などの点で学校現場での実験教材として有望である[6]

脚注

  1. ^ 北條, 賢 (2016). “相利共生の比較生理生化学”. 比較生理生化学 (日本比較生理生化学会) 33 (2): 60?67. doi:10.3330/hikakuseiriseika.33.60. NAID 130006847648. https://doi.org/10.3330/hikakuseiriseika.33.60. "相利共生は個体が互いに利益を与え合う生物種間の協力的な関係であり,関係を持つ個体同士が栄養や防衛,繁殖といった商品やサービスを交換し合う。" 
  2. ^ 清水義雄, 中村雅彦「カモ類における相利共生的および寄生的採餌混群 : 人為給餌実験」『日本鳥学会誌』第49巻第1号、日本鳥学会、2000年7月、17-30頁、doi:10.3838/jjo.49.17ISSN 0913400XNAID 10007420955 
  3. ^ Bronstein, JL. 1994. Our current understand of mutualism. Quarterly Review of Biology 69 (1): 31-51 MAR 1994
  4. ^ Begon, M., J.L. Harper, and C.R. Townsend. 1996. Ecology: individuals, populations, and communities, Third Edition. Blackwell Science Ltd., Cambridge, Massachusetts, USA.
  5. ^ 例としてミツバアリとアリノタカラカイガラムシ
  6. ^ 時澤味佳, 竹下俊治「地衣類を用いた相利共生の実験教材」『生物教育』第55巻第1号、日本生物教育学会、2014年、33-39頁、doi:10.24718/jjbe.55.1_33ISSN 0287-119XNAID 130007719622 

相利共生

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 14:26 UTC 版)

根圏細菌」の記事における「相利共生」の解説

植物根圏細菌から可給態の栄養素受け取ることができ、そのためには根圏細菌生存適した場所と条件提供する必要がある根圏細菌のために根粒生産した維持したりするための植物の負担は、光合成の全出力12-25%とされている。マメ科植物は、栄養素利用不能となるとすぐに付近の場所へ移住することがしばしばある。一度移住する根圏細菌マメ科植物の根の周辺栄養素豊かにし、今度宿主植物と他の植物との競争を招く。このように根圏細菌との共生関係宿主植物競争の激化につながることもある。 PGPRは植物による土壌中の栄養素利用能を高める。その過程第一に栄養素の非可給態の可溶化である。根圏細菌有機酸脱リン酸化酵素分泌し、H2PO4−といったリン不溶性かつ非可給性形態を可給態へと変換する第二に、シデロホア産生し、このキレート剤によって根細胞への栄養素運搬効率的にする。PGPRにはPseudomonas putidaAzospirillum fluorescens、およびAzospirillum lipoferumなどがいる。マメ科植物共生している窒素固定細菌の中では、Allorhizobium属、Azorhizobium属、Bradyrhizobium属、およびRhizobium属が特に重要とされている。 上記のように微生物接種作物有益である可能性がある。しかし、多く作物に対しての、大きな規模での利用経済的に実行可能な技術至っていない。このため産業的農業広く活用されていない例外は、エンドウマメのようなマメ科植物への根粒菌接種である。PGPRの接種効率的な窒素固定もたらすことは確認されている。この技術100年以上にわたり北米農業利用されてきた。

※この「相利共生」の解説は、「根圏細菌」の解説の一部です。
「相利共生」を含む「根圏細菌」の記事については、「根圏細菌」の概要を参照ください。

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  • 相利共生の関係を築く
  • 相利共生と寄生違い
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