直角カルダン駆動方式
直角カルダン駆動方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/11 04:17 UTC 版)
「カルダン駆動方式」の記事における「直角カルダン駆動方式」の解説
かさ歯車やハイポイドギヤもしくはウォームギア単独あるいははすば歯車との組み合わせにより、駆動軸がレール方向に平行となるように主電動機を台車に装架したもの。歯車の整備性に難があること、駆動装置そのものの重量・容積が大きいこと、軸距が長くなり台車の重量が増大しやすいことなどが欠点として挙げられる。もっとも、電機子の軸方向の長さが車輪のバックゲージに制約されないため、狭軌向けであっても比較的大出力の主電動機を選択できることに加え、電動機の前後に電機子軸を出すことで容易に1台車2軸駆動構成とすることができ、また、スパイラル・ベベルギアを利用することで平行カルダンと比較して格段に大きな静粛性が得られるというメリットがある。日本においては、特に初期の狭軌私鉄向け高性能電車や路面電車で多用された。もっとも、大きな力のかかる歯車全般、中でも特にスパイラル・ベベルギアは表面の耐摩耗性と内部の靱性の両立に加え、きわめて高精度な切削処理が要求されるため、材料の選定や加工が非常に難しく、日本で最初にこの方式に挑んだ東芝では材料となる合金鋼の製造・表面処理に手を焼いた。そのため、それらのノウハウが確立され且つ高精度な加工を可能とするアメリカ製の専用工具が導入された1954年まで、充分実用に耐える製品が製造できなかったという。日本では東芝の他、日立製作所も製造を行っており、後者では大口納入先の一つであった相模鉄道の技術陣がこの方式に固執した事もあって、その製造は21世紀に入りインバータ駆動三相誘導電動機と組み合わせるまで続けられた。近年は広島電鉄5100形電車のように、左右の車輪を別々に駆動する必要のある超低床路面電車において、1台車の前後の車輪を左右別々に、かつ1台車あたり2基の主電動機で駆動する手段としてこの方式を採用するケースが存在する。
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