男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花
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『男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花』(おとこはつらいよ とらじろうハイビスカスのはな)は、1980年8月2日に公開された日本映画。『男はつらいよ』シリーズの第25作目[1][3]。リリー三部作の完結篇[注 1]。
注釈
- ^ 第48作『寅次郎紅の花』が製作されたことにより、「リリー四部作」と呼ぶことも多くなった。ただ、「『ハイビスカスの花』自体が、寅さんとリリーが田舎のバス停で再会するというハッピーエンドで終わっています。いまさら出ていいのかどうか考えてしまったのです」という浅丘ルリ子の発言[4]もあるように、「三部作」でのまとまりを評価する考え方もある。
- ^ この理由付けを裏付ける記述として、「お互い好きでたまらないのに、それをスパッと口に出せないで、意地の突っ張り合い」[5]がある。もっとも、この点について、「私たち夢見てたのね、きっと。ほら、あんまり暑いからさ」というリリーの言葉に注目し、寅次郎が自分の気持ちをごまかしたからリリーもそれに応ぜざるを得なかったという相対的な要因ではなく、「流れ者」としての自分の生き方に(夢から)戻ったという絶対的な要因に帰着する考え方もある。山田監督自身も、「もともと定住することを拒否した二人が一緒になることで、定住する気持ちが生まれてしまう。それで二人はいったい幸せなのかと言えば、自信がない」[6]と述べている。
- ^ 「切なさ」が現れたものとしては、「寅さん、私に『幸せになれよ』と言ったような気がしたけど、ねえ、私の幸せって何?寅さんと一緒じゃなきゃ嫌だ。(寅さんが一緒じゃなかったら)つまんない。寅さんだってそうでしょ?」[7]が挙げられる。「嫌ね、別れって」「うん」というさくら・寅次郎のやりとりももちろんその一環である。その一方で、同棲・結婚や定住の先に来るかもしれない決定的な別れよりも、出会い・別れを繰り返しつつ築かれる永遠の関係を二人が望んだがゆえに、爽やかな別れになったとする考え方もある。「夢だと言いながら、互いにかけがえのない存在になっている。同棲というカタチを超えて……」[8]、「プロポーズのその先には、『平凡で幸せな家庭を築く』というのがハッピーエンドであると思うかもしれませんが、寅さんとリリーは、もうひとつのハッピーエンドを探しているのでしょう」[9]、「二人の愛の物語が『ああしか』(引用者註:『私たち夢見てたのね』と答えるしか)ありえないところに真に永遠のロマンがある」[10]などもその一つであるし、そもそも『寅次郎紅の花』でも紹介されている「何年かぶりで会ったのに、まるでけさ仕事に出かけた男が帰ってきたみたいに、懐かしい挨拶なんかお互いにしない」[11]といった関係もその考え方の根拠になる。
- ^ 12億円[15]、13億円[14]とも。
出典
- ^ a b c d e f g “第25作 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花”. 松竹映画『男はつらいよ』公式サイト. 松竹株式会社. 2021年1月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年5月2日閲覧。
- ^ a b 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)p.390
- ^ a b 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p39
- ^ 『渥美清没後20年 寅さんの向こうに』p.70
- ^ 「リリーからの手紙」(『男はつらいよ2リリー篇』p.459)。元々は「お別れする会」での弔辞。
- ^ 『「男はつらいよ」寅さん読本』p.126
- ^ 『男はつらいよ寅次郎ハイビスカスの花―寅さんへリリーからの手紙[新潮CD]』
- ^ 『「男はつらいよ」50年をたどる。』p.176
- ^ 『「男はつらいよ」の幸福論』p.168
- ^ 『寅さんと麗しのマドンナたち』p.229
- ^ 『男はつらいよ2リリー篇』p.458
- ^ 『pen 2019年6月1日号』p.55
- ^ “【ロケ地巡りの旅】映画「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」 寅さんの思い伝えるバス停 群馬・中之条町”. 産経新聞. (2013年8月4日). オリジナルの2016年7月27日時点におけるアーカイブ。
- ^ a b 『日経ビジネス』1996年9月2日号、p.131
- ^ 1980年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- 1 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花とは
- 2 男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花の概要
- 3 キャスト
- 4 記録
「男はつらいよ 寅次郎ハイビスカスの花」の例文・使い方・用例・文例
固有名詞の分類
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