甲斐 説宗とは? わかりやすく解説

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甲斐説宗

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/18 01:48 UTC 版)

甲斐 説宗
生誕 (1938-11-15) 1938年11月15日
出身地 日本兵庫県
死没 (1978-10-31) 1978年10月31日(39歳没)
学歴 東京藝術大学
ジャンル クラシック音楽
職業 作曲家

甲斐 説宗(かい せっしゅう、1938年11月15日 - 1978年10月31日)は、日本現代音楽作曲家兵庫県三田町(現在の三田市)出身。

略歴

東京藝術大学作曲科で長谷川良夫に師事。卒業後、当時の西ドイツベルリン音楽大学で主にボリス・ブラッハーヨーゼフ・ルーファーに師事。ブラッハーと合作をするほどの仲のよさであった。ジェルジ・リゲティのレッスンも受けた。後に東京学芸大学で教え、嶋津武仁井上郷子などの優れた後進を指導した。1969年ヴィオッティ国際音楽コンクール入賞。1970年、ベルリン国際作曲コンクール入賞。

寡作ながらも評価の高い作品を作り続けたが、1978年心不全及び甲状腺癌の肺転移により39歳で世を去る。哲学者の市川浩はその死を悼み、エッセイ「あまりにも早きねむり‐甲斐説宗追悼‐」を著した[1]

作風

帰国後は、リゲティやグレツキからの影響を昇華した独自の作風を展開し、「簡素な初期設定を耳で追える楽しみ」を追求した。原田力男のように絶賛するプロデューサーにも恵まれ、また良き理解者や演奏家にも助けられた。「三人のマリンバ奏者のための音楽」(1975年 - 1977年)や「五人の奏者のための音楽」(1970/1971年)、「ピアノのための音楽 I 」(1974年)など、楽器編成をそのままタイトルとした作品が多い。また、鈴木昭男考案の創作楽器「アナラポス」のために、「アナラポスのためのインターアクティヴィティ」(1977年)を作曲している。テープ音楽にも理解を示し、簡素な素材の変形だけの「テープのための音楽」を作曲した。

晩年は小節線を廃した「ヴァイオリンとチェロのための音楽 II」(1975年 - 1976年)や四分音符と四分休符のみで作曲された「ヴァイオリンとピアノのための音楽 II」(1978年)などに見られるように、切り詰められたストイックな境地に到達した。弟子のピアニスト井上郷子によると、最晩年には「庭で植木にポッチン、ポッチン、ハサミを入れる庭師の仕事のような、そういうふうな作曲ができればなあ」と語っていたという[2]。事実、ほとんどの作品に改訂が施されている。

フル・オーケストラ作品は習作以外残されることがなかったが、創作ノートには完成させる意向の作品プランが記されていた。未完に終わった「コントラバスとピアノのための音楽」は川島素晴が補筆し完成させた。

作品

没後20年演奏会チラシ[3]、国立音楽大学図書館OPAC[4]より作成。

管弦楽

  • オーケストラのためのパッサカリアとフーガ(1962)
  • オーケストラのための緩急(1964)

室内楽

  • 弦楽四重奏曲(習作) (1961)
  • 弦楽四重奏曲 一楽章形式による (1963)
  • 12人の奏者のための4つの楽章 (1966)
  • ヴァイオリンとピアノのための音楽 '67 (1967)
  • 4つのチェロのための音楽 (1969-1970)
  • トリガ 室内オーケストラのための (1970)
  • コントラバスとピアノのための音楽 (1970頃)
  • 5人の奏者のための音楽 《7分打ち》 (1970-1971)
  • トロンボーンと打楽器のための音楽 (1971)
  • 2台のピアノのための音楽 (1972頃)
  • 4人のフルート奏者と1人の打楽器奏者のための音楽 (1972-7973)
  • 2人の打楽器奏者のための音楽 (1973)
  • 10人の邦楽器奏者のための音楽 (1973-1974)
  • ヴァイオリンとチェロのための音楽 I (1975)
  • ヴァイオリンとチェロのための音楽 II (1975-1976)
  • 5人の奏者のための音楽’71 (1971)
  • ヴァイオリンとピアノのための音楽 II (1978)
  • フルートとピアノのための音楽 (1978)
  • 5人の奏者のための音楽 '77 (1977)
  • 3人のマリンバ奏者のための音楽 (1975-1977)

独奏曲

  • ピアノのための音楽 (1974)
  • フルート・ソロのための音楽 (1975-1976)
  • ピアノのための音楽 II (1975-1976)
  • アナラポスのためのインターアクティヴィティ (1977)

声楽

  • メゾソプラノとフルートのための音楽 《4つの歌》 (1968-1969)

テープ音楽

  • テープのための音楽 (1978)[5]

家族・親族

脚注

出典

  1. ^ 『現代芸術の地平』岩波書店、1985年所収。
  2. ^ CD(hat[now]ART 103)の解説より。
  3. ^ 「甲斐説宗の音楽:生誕60年・没後20年に寄せて」1998 2020年9月8日閲覧。
  4. ^ 国立音楽大学図書館OPAC 2020年9月8日閲覧。
  5. ^ 「日本の作曲20世紀」(「音楽芸術」別冊)音楽之友社、1999、p.150

「甲斐 説宗」の例文・使い方・用例・文例

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