猪熊葉子とは? わかりやすく解説

猪熊葉子

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/02/19 04:58 UTC 版)

猪熊 葉子(いのくま ようこ、1928年8月16日 - )は、日本の近代文学研究者・イギリス近代文学研究者、児童文学者翻訳家聖心女子大学名誉教授。

来歴

千葉県生まれ。旧姓・葛原。父は外科医の葛原輝、母は歌人葛原妙子聖心専門学校をへて、1952年聖心女子大学国文科卒業、須賀敦子とは大学時代からの友人。54年同大学院修士課程修了。同大学助手、56年専任講師、57年から一年間オックスフォード大学留学、J・R・R・トールキンに師事した。72年助教授、78年教授、90年白百合女子大学教授、1999年定年退職。

ローズマリー・サトクリフメアリー・ノートンフィリッパ・ピアスイディス・ネスビットなど英国の女性児童文学者を中心に多数の翻訳がある。1970年サトクリフ『ともしびをかかげて』(で児童福祉文化賞出版部門奨励賞、86年「かさどろぼう」の訳で日本の絵本賞絵本にっぽん賞特別賞、また『まよなかのパーティ』(の訳でサンケイ児童出版文化賞を受賞。

「子どもの本・九条の会」代表団員を務めている[1]。宗教はカトリック。聖心女子大学に入学した1949年に受洗したが、そのとき受洗に反対した母妙子に対して、最晩年に洗礼を授けた。

著書

共編著

  • 『児童文学とは何か』(安藤美紀夫共著、明治書院) 1974 
  • 『英米児童文学史』(瀬田貞二,神宮輝夫共著、研究社出版) 1971
  • 『イギリス児童文学の作家たち ファンタジーとリアリズム』(神宮輝夫共著、研究社出版) 1975
  • 『ファンタジーの諸相』(白百合女子大学大学院猪熊葉子ゼミ編集委員会、白百合女子大学児童文化研究センター) 2001

翻訳

  • ちびくろサンボ』(バンナーマン講談社) 1966
  • 『マツの木の王子』(キャロル・ジェイムズ、学習研究社) 1967
  • 『海のたまご』(ルーシー・M・ボストン大日本図書) 1969、のち岩波少年文庫 
  • 『トムの塔』(ジャネット・マクネイル、学習研究社) 1970
  • 『村は大きなパイつくり』(ヘレン・クレスウェル、岩波書店) 1970
  • 『どれいになったエリア』(アイザック・バシェヴィス・シンガー福音館書店) 1971
  • 『夜明けの人びと』(ヘンリー・トリース、大日本図書) 1971、のち岩波少年文庫 
  • 『ジョゼフのにわ』(チャールズ・キーピング、らくだ出版デザイン) 1971
  • 『まどのむこう』(チャールズ・キーピング、らくだ出版デザイン) 1971
  • 『砂に消えた文字』(アン・スウェイト、大日本図書) 1972
  • 『ぼくはレース場の持主だ!』(パトリシア・ライトソン評論社) 1972
  • 『少女シルビーの旅だち』(メイビス・クラーク、講談社) 1972
  • 『雲の森の少年』(ジョーン・ノース、学習研究社) 1973
  • 『おひめさまのたんじょうび』(アニタ・ローベル、文化出版局) 1974
  • 『光と影の序曲』(マデレイン・レングル、大日本図書) 1975
  • 赤毛のアン』(モンゴメリ、講談社文庫) 1975
  • 『マリアンヌの夢』(キャサリン・ストー、冨山房) 1977、のち岩波少年文庫 
  • 『オンリー・コネクト 児童文学評論選』全3巻(S・イーゴフ,G・T・スタブス,L・F・アシュレイ編、渡辺茂男,清水真砂子共訳、岩波書店) 1978 - 1980
  • 秘密の花園』(F・H・バーネット、福音館書店) 1979
  • 『へんてこりんなサムとねこ』(エヴァリン・ネス、佑学社) 1981
  • 『海賊の大パーティ』(マーガレット・マヘイ、大日本図書) 1982
  • 『星に叫ぶ岩ナルガン』(パトリシア・ライトソン、評論社) 1982
  • 『青い目のペサラク』(ジャヴァード・モジャービー、桜田方子共訳、ほるぷ出版) 1984
  • 『赤ひげのとしがみさま』(ファリード・ファルジャーム,ミーム・アザード、桜田方子共訳、ほるぷ出版) 1984
  • ビアトリクス・ポターの生涯 ピーターラビットを生んだ魔法の歳月』(マーガレット・レイン、福音館書店) 1986
  • 『海からきた白い馬』(ヘレン・クレスウェル、岩波少年文庫) 1986
  • 『かさどろぼう』(シビル・ウェタシンヘ、福武書店) 1986、のち復刊(徳間書店)
  • 『仕事と私 ベティ・マクドナルドの生き方』(ベティ・マクドナルド、晶文社) 1988
  • 『暮らしと私 ベティ・マクドナルドの生き方』(ベティ・マクドナルド、晶文社) 1989
  • 『海賊の大パーティ』(マーガレット・マーヒー、大日本図書) 1992

メアリー・ノートン

  • 『魔法のベッド南の島へ』(メアリー・ノートン、学習研究社) 1968
  • 『魔法のベッド過去の国へ』(メアリー・ノートン、学習研究社 1968
  • 『小人たちの新しい家』(メアリー・ノートン、岩波書店) 1983、のち岩波少年文庫 
  • 『どっこい巨人は生きていた』(メアリー・ノートン、岩波書店) 1999
  • 『空とぶベッドと魔法のほうき』(メアリー・ノートン、岩波少年文庫) 2000

ローズマリ・サトクリフ

  • 『太陽の戦士』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1968、のち岩波少年文庫 
  • 『ともしびをかかげて』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1969、のち岩波少年文庫 
  • 『運命の騎士』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1970、のち岩波少年文庫
  • 第九軍団のワシ』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1972、のち少年文庫 
  • 『王のしるし』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1973、のち岩波少年文庫
  • 『思い出の青い丘』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1985
  • 『銀の枝』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1994、のち少年文庫 
  • 『竜の子ラッキーと音楽師』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1994
  • 『小犬のピピン』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 1995
  • 『辺境のオオカミ』(ローズマリ・サトクリフ、岩波書店) 2002、のち岩波少年文庫

イディス・ネスビット

  • 『緑の国のわらい鳥』(イディス・ネスビット、大日本図書) 1968
  • 『魔法使いの心臓』(イディス・ネスビット、講談社、こどもの世界文学) 1972
  • 『王女さまと火をはくりゅう』(イディス・ネスビット、岩波書店) 1981
  • 『火の鳥と魔法のじゅうたん』(イディス・ネスビット、岩波少年文庫) 1983
  • 『国をすくった子どもたち あっちこっちりゅうだらけのお話』(イディス・ネスビット、大平社) 1987

フィリッパ・ピアス

  • 『まぼろしの小さい犬』(フィリッパ・ピアス、学習研究社) 1970、のち岩波書店、のち岩波少年文庫 
  • 『りす女房』(フィリッパ・ピアス、冨山房) 1982
  • 『まよなかのパーティー』(フィリッパ・ピアス、冨山房) 1985、のち岩波少年文庫 
  • 『エミリーのぞう』(フィリッパ・ピアス、岩波書店) 1989
  • 『ふしぎなボール』(フィリッパ・ピアス、岩波書店) 1989
  • 『川べのちいさなモグラ紳士』(フィリッパ・ピアス、岩波書店) 2005

J・R・R・トールキン

ジョーン・エイキン

  • 『しずくの首飾り』(ジョーン・エイキン、岩波書店) 1975、のち岩波少年文庫 
  • 『海の王国』(ジョーン・エイキン、岩波書店) 1976
  • 『とんでもない月曜日』(ジョーン・エイキン、岩波少年文庫) 1978
  • 『かってなカラスおおてがら』(ジョーン・エイキン、岩波書店) 1981
  • 『カラスゆうかいじけん』(ジョーン・エイキン、岩波書店) 1981
  • 『子どもの本の書きかた』(ジョーン・エイキン、晶文社) 1986
  • 『魔法のアイロン』(ジョーン・エイキン、岩波少年文庫) 1988
  • 『月のしかえし』(ジョーン・エイキン、徳間書店) 1995
  • 「アーミテージ一家のお話」(ジョーン・エイキン、岩波少年文庫)
    1)『おとなりさんは魔女』 2010
    2)『ねむれなければ木にのぼれ』 2010
    3)『ゾウになった赤ちゃん』 2010

ルーマー・ゴッデン

  • 『ディダコイ』(ルーマー・ゴッデン、評論社) 1975
  • 『台所のマリアさま』(R.ゴッデン、評論社) 1976
  • 『元気なポケット人形』(ルーマー・ゴッデン、岩波書店) 1979
  • 『木馬のひみつ』(ルーマー・ゴッデン、大日本図書) 1981

メリー・カルホーン

  • 『スキーをはいたねこのヘンリー』(メリー・カルホーン、佑学社) 1980
  • 『るすばんねこのぼうけん』(メリー・カルホーン、佑学社) 1982
  • 『とびねこヘンリー』(メリー・カルホーン、佑学社) 1983
  • 『クリスマスのねこヘンリー』(メリー・カルホーン、リブリオ出版) 2006
  • 『ふねにのったねこのヘンリー』(メリー・カルホーン、リブリオ出版) 2007

脚注

  1. ^ 子どもの本・九条の会




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