父娘婚とは? わかりやすく解説

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父娘婚

1.互いに父親であり娘であることを知らずに、性関係を結ぶ。

好色敗毒散1-1長崎船」 長崎にわか分限者角左衛門が、難波色里太夫打ち込んで通い続け、ついに身請けする祝い酒宴で角左衛門身の上話始め、「かつて貧しかった時代に、6歳の娘を手放した。この太夫見て『娘も生きていればこれぐらい年恰好』と思ったのが恋の始まりだ」と語る。それを聞いた太夫は、「それなら私は貴方の娘です」と言い身請け取りやめになった→〔親孝行〕4。

★2.娘が自分正体隠して父親交わり男児を産む。

『変身物語』オヴィディウス巻10 ミュラは父王キニュラス恋し暗闇の中、自らの正体隠して父王との交わり重ねる。幾夜かの後、キニュラス燈火で女を照らし、それが娘ミュラであることを知る。憤ったキニュラスは剣を抜いてミュラ追いミュラ曠野逃げて男児アドニスを産む(*→〔誕生〕1)〔*ギリシア神話アポロドロス第3巻第14章では、娘の名はスミュルナ父の名はテイアースで、父娘12夜の間臥床をともにした、と記す。『神曲』ダンテ)「地獄篇」第30歌は、ミュラ死後地獄の第8圏谷10濠に堕ち、狂乱状態で裸体のまま走り回っている、と記す〕。

★3.娘二人が、父親眠らせて交わり男児を産む。

『創世記』第19章 ソドムの町から逃れたロト2人の娘は、山の洞穴住んだ。そこには男がいなかったので、2人の娘は父親ロトぶどう酒飲ませて眠らせ父親寝て子を得た父親は、娘が寝に来たのも立ち去ったのも気づかなかった。姉は男児産み、「モアブ父親より)」と名づけた。彼は現在のモアブ人先祖である。妹も男児産み、「ベン・アミ(私の肉親の子)」と名づけた。彼は現在のアンモン人先祖である。

★4a.父親が、眠る娘を犯す

服記』太宰治15歳少女スワ炭焼きの父と2人で、本州北端の馬禿山(まはげやま)の小屋暮らしていた。初雪降った夜、スワ眠っているうちに父に犯された。スワは「阿呆」と叫んで小屋から走り出る。滝まで来て、「おど!」と低く言って飛び込んだスワ小さな化し滝壺吸い込まれていった

★4b.父親が、力ずく自分の娘を犯す

イソップ寓話集岩波文庫版379「娘に恋をした男」 男が自分の娘に恋をした。彼は女房田舎へやると、力ずくで娘を辱めた。娘は言った。「お父さん畜生のようなことをしてくれたわ。こんなことなら、百人の男に身をまかせる方が良かった」。

★4c.父親自分の娘を犯し、娘は女児を産む。

チャイナタウンポランスキー実業家ノア・クロスは、自分の娘・15歳イブリン犯しイブリン女児キャサリン産んだその後イブリンは、水道電力局の技師モーレイ結婚し2人キャサリンをノア・クロスから隠す。ノア・クロスはダム建設利権めぐってモーレイ対立し、彼を殺す。さらに、キャサリン自分元に引き取ろうとするので、イブリンキャサリン連れて逃げる。しかし警察イブリンモーレイ殺し犯人誤解して、彼女を射殺する

★4d.父親自分の娘を愛し、娘は男児を産む。娘は後に、男児を夫とする(父娘相姦の後に、母子相姦が行なわれるわけである)。

『ゲスタ・ロマノルム』244 皇帝自分の娘を愛し、娘は男児産んだ男児捨てられ他国王子として育てられる成人した王子は、皇帝の娘と、互いに母であり息子であることを知らず結婚する。後にこのことを知った皇帝・娘・王子は、7年間、贖罪の行(ぎょう)をする。しかし行を終えた後、皇帝と娘はまたしても性関係を持ってしまう。王子はその現場見て2人殺した

★5.父娘相姦の噂。

『土』長塚節鬼怒川西岸貧農勘次は、妻お品破傷風亡くした(*→〔破傷風〕1)。後には15歳の娘おつぎと、3歳の弟与吉残された。与吉はおつぎに抱かれると、おつぎの乳房いじった勘次にとって、おつぎは貴重な労働力であり、父と娘一緒に田畑を耕す。おつぎが20歳になっても、勘次は嫁に出そうとしない村人たちは「勘次とおつぎは夫婦のようだと言って父娘相姦の噂までした〔*その後火事によって勘次の家が全焼するところ物語は終わる〕。

★6.父親が、自分の娘との結婚を望む。

ペンタメローネバジーレ)第2日第6話 王妃臨終の床で、「私と同じくらい美しい女とでなければ再婚しないでほしい」と、王に請う。そこで王は、妃との間に生まれた娘プレツィオーサに結婚を迫る。プレツィオーサは父王を非難し恐ろしげな熊に変身して(*→〔棒〕1)、父王を脅す。父王がおびえて、ふとんの中に隠れている間に、熊は王宮から逃げ去る

『ろばの皮』ペロー王妃臨終の床で、「私よりも美しく賢い女となら再婚してもよい」と、王に言い遺す。王は新しい妻を捜すが、条件にかなうのは、王と妃との間に生まれた王女けだったので、王は自分の娘である王女結婚しようとする〔*類話千匹皮グリム)KHM65では、妃同様の金髪を持つ美女を捜す〕。王女宮殿から逃げ去り、ろばの皮をかぶって身をやつし、農家下女となる。

★7.父娘婚とも双子婚とも解釈できる物語

『なぜ神々人間つくったのか』シッパー第8章禁断パートナーサニン独力で生まれ独力で息子コントロンを産んだ。コントロンは狩り名手になったある日、コントロンの腿に腫れ物ができ、どんどん大きくなったので、コントロンは狩り用のナイフ腫れ物切開する。中から女の赤ん坊出てきて、たちまち若い娘になった。コントロンと娘は夫婦になったアフリカマリマンディンゴ族)〔*娘はコントロンの子とも、生まれなかった双子の妹とも考えられる〕。

生まれなかった双子→〔双子〕5の『ブラック・ジャック』手塚治虫)「畸形嚢腫」・〔人面瘡人面疽)〕2の『人面瘡』(横溝正史)。

生まれなかった姉→〔腹〕5の『百物語』(杉浦日向子)其ノ60

★8.養父養女結婚

哀しみのトリスターナブニュエル孤児である少女トリスターナは、亡母と関係のあった没落貴族ドン・ロペに引き取られ彼の養女となった。やがてドン・ロペは、トリスターナ養父であるとともに、彼女の夫にもなる。トリスターナは、年齢離れたドン・ロペに愛情を抱くことができず、若い愛人駆け落ちするが、脚に腫瘍ができたため、「父の家で死にたいと言って、ドン・ロペのもとへ戻って来る。彼女は片脚切断手術によって死を免れ、ドン・ロペと正式に結婚する。しかし最後には、彼女は夫を死に追いやった→〔夫殺し〕6。

父娘相姦を示す謎→〔系図2aの『ペリクリーズ』(シェイクスピア)。




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